打倒パジェロ!トヨタ「ランドクルーザー・プラド」2代目は250.3万円~【今日は何の日?5月8日】

トヨタ2代目「ランドクルーザー・プラド」
トヨタ2代目「ランドクルーザー・プラド」
一年365日。毎日が何かの記念日である。本日5月8日は、トヨタの「ランドクルーザー70系」から派生した「ランドクルーザー・プラド」の2代目が誕生した日だ。2代目プラドは、初代よりさらに乗用車的なキャラクターを強めて、当時人気を獲得していた三菱自動車「パジェロ」に対抗した。
TEXT:竹村 純(Jun TAKEMURA)/PHOTO:三栄・トヨタ 新型ランドクルーザー・プラドのすべて、歴代ランドクルーザーのすべて

■さらに乗用車テイストを高めた2代目プラド

1996(平成8)年5月8日、トヨタの最強オフローダー「ランドクルーザー」から1990年に派生した「ランドクルーザー・プラド」の2代目がデビューした。ランドクルーザーの本格的なオフロード性能に加えて、プラド2代目はさらに乗用車テイストを高めて扱いやすい4WDオフローダーとなった。

2代目ランドクルーザー・プラドの5ドア/3ドア
2代目ランドクルーザー・プラドの5ドア/3ドア

プラド誕生までのランクルの歴史

トヨタジープ BJ型
1951年に誕生したランクルの元祖「トヨタジープ BJ型」

ランクルの起源は、1951年に誕生した「トヨタBJジープ」だが、1954年に車名を「ランドクルーザー」に変更して、本格4WDオフローダーとしてのランドクルーザーの歴史が始まった。

ランドクルーザー70系バン
1984年にデビューした「ランドクルーザー70系バン」

その後、20系、30系、40系と進化して、40系の流れからヘビーデューティ系として、1985年に70系バンが登場。一方で、その派生として70系バンをベースにコンパクト化したショートボディの乗用モデルの70系ワゴンが誕生した。70系ワゴンは、サスペンションをコイル化して乗り心地を向上し、室内は十分な乗員スペースを確保するなど乗用車のような快適性を追求した。

ランドクルーザー70系ワゴン
1985年にデビューした「ランドクルーザー70系ワゴン」

パワートレインは、2.4L直4 SOHCディーゼルターボと5速MTの組みあわせで、パワフルなディーゼルターボの特性を生かしたランクルらしいオフロード走行も当然ながら楽しめた。

歴代ランドクルーザーファミリー
歴代ランドクルーザーファミリー
歴代ランドクルーザーファミリー
歴代ランドクルーザーファミリー

それまでのランクルの特徴であった悪路の走破性を重視した本格オフロード4WD車でなく、ライトデューティのオフロードSUVとしてデビューしたランクル70系ワゴン、この後継として1990年に登場したのが「ランドクルーザー・プラド」である。

ラグジュアリーな4WDオフローダーを目指したプラド

最強オフローダー70系をベースにしたランクル・プラド(70系)の誕生の背景には、当時パリダカ(パリ・ダカールラリー)での活躍で人気が高まった三菱自動車の「パジェロ」と、当時盛り上がっていたRVブームがあった。これらに対応するため、ハードなランクルよりソフトなイメージのプラドが必要だったのだ。

初代「ランドクルーザー・プラド」
1990年にデビューした初代「ランドクルーザー・プラド」

プラドの全体的なスタイリングはパジェロに似ていたが、プラドの方がオフロードイメージは強かった。ボディについても、パジェロと同じ3ドア5人乗りの2列ショートボディと、5ドア8人乗りの3列ロングボディも設定された。

パワートレインは、最高出力97psの2.4L直4 SOHCディーゼルターボと5速MTおよび4速ATの組み合わせだったが、1993年には新開発の130psの3.0L直4 SOHCディーゼルターボに換装され、大幅なパワーアップが図られた。また、駆動方式は伝統的な副変速機付パートタイム4WDだった。

プラドは、伝統のオフロード性能を生かしながらも、ランクルよりも小振りで誰でも扱える身近なライト感覚のオフローダーとして、国内はもとより海外で人気を獲得してランクル人気のファン層を増やすことに成功したのだ。

さらに乗用車テイストを高めたプラド2代目

1996年5月のこの日、プラドは初めてのモデルチェンジで2代目に移行した。初代のパートタイム4WDをフルタイム4WDに変更して、オン/オフロードまで快適な走りを楽しめるオールラウンダーを目指した。

2代目「ランドクルーザー・プラド」
1996年にデビューした2代目「ランドクルーザー・プラド」

ボディタイプは初代と同様ショートとロングだが、ショートは丸型ヘッドライトと黒の縦桟グリル、ロングは角型ヘッドライトにメッキ仕上げの横桟グリルと差別化され、両モデルとも標準グレード以外は全幅を拡げた3ナンバーボディとして迫力あるスタイリングとなった。

2代目ランドクルーザー・プラド 5ドアTZ
2代目ランドクルーザー・プラド 5ドアTZ
2代目ランドクルーザー・プラド 3ドアRZ
2代目ランドクルーザー・プラド 3ドアRZ

エンジンは、新たに185psの3.4L V6 DOHCのガソリンを加え、先代から引き継いだ3.0L直4 SOHCディーゼルターボはインタークーラーの追加などにより140psまでパワーアップした。さらに、1997年には150psの2.7L直4 DOHCのガソリンを、さらに2000年にはディーゼルが170psのコモンレール式に換装された。

2代目ランドクルーザー・プラドに搭載された5VZ-FE型3378ccガソリンエンジン
2代目ランドクルーザー・プラドに搭載された5VZ-FE型3378ccガソリンエンジン
2代目ランドクルーザー・プラドに搭載された1KZ-TE型2982ccディーゼルターボエンジン
2代目ランドクルーザー・プラドに搭載された1KZ-TE型2982ccディーゼルターボエンジン

車両価格は、ディーゼルエンジンの標準グレード(5速MT)のショート250.3万円/ロング268.9万円。当時の大卒初任給は、19.4万円程度(現在は約23万円)だったので、単純計算では現在の価値で297万円/319万円に相当する。

2代目「ランドクルーザー・プラド」のコクピット
2代目「ランドクルーザー・プラド」のコクピット
2代目「ランドクルーザー・プラド(ロング)」のシートアレンジ
2代目「ランドクルーザー・プラド(ロング)」のシートアレンジ

2代目プラドは、RVブームの後押しもあり、好調な販売を記録した。ランドクルーザーに憧れていながらもちょっと敷居が高くて躊躇していたユーザーにとっては、プラドはバランスの取れた4WDオフローダーだったのだ。

歴代ランドクルーザー・プラド
歴代ランドクルーザー・プラドをチェック!
2024年にデビューした「ランドクルーザー250系」
2024年にデビューした「ランドクルーザー250系」

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その後も多くのユーザーから支持されたプラドだったが、プラドの後継モデルに相当するランクル250系が2024年に登場したことで、プラドは生産を終了した。ただ250系は、これまでのプラドよりひと回り大きく、オフローダー性能も強化して本家のランクル300系に近いオフローダーとなったため、次期プラドを熱望していたプラドファンにとっては少々残念に思ったかもしれない。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

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著者プロフィール

竹村 純 近影

竹村 純

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までを…