ストロングハイブリッドより100kgも軽い!新型フォレスターのターボエンジン搭載モデル「SPORT」の魅力とは!?

2025年4月17日に日本仕様が発表された新型スバル・フォレスター。クロストレックに続きストロングハイブリッドを搭載して、これまでスバルの弱点とされてきた燃費を大幅に改善し、注目を集めている。ストロングハイブリッド搭載により、走りも燃費もレベルアップした新型フォレスターだが、逆にある意味スバルらしいターボエンジン搭載グレード「SPORT」が、その価格設定も含めて見逃せない存在だ。そんなフォレスター「SPORT」を、スバル車にとにかく詳しい"いもっち"こと井元貴幸が詳細にチェックする。
REPORT:井元貴幸(IMOTO Takayuki) PHOTO:井元貴幸(IMOTO Takayuki)/中野幸次(NAKANO Kouji)/MotorFan.jp/SUBARU

ミドルクラスSUVの人気モデルが待望のフルモデルチェンジ

今、クルマ好きに限らずあらゆるユーザーから注目を集めている新型フォレスター。人気のSUVの中でも、最新モデルという点だけでなく、歴代モデルの持つ高い走破性と機能性にも定評があるモデルだ。

フルモデルチェンジされた新型フォレスターのストロングハイブリッド搭載モデル「Premium」(写真はプロトタイプ)。

新型では新たにストロングハイブリッドの設定が話題となっているが、ラインアップには先代にも設定されていたCB18型1.8L水平対向4気筒直噴DOHCターボ搭載車も用意されている。今回は、この1.8Lターボエンジン搭載車の「SPORT EX」を試乗する機会を得たのでレポートしよう。

新型フォレスターのターボエンジン搭載モデル「SPORT」。

数値以上に大きく感じるデザインに対し
視界の良さと最小回転半径で取り回しは良い

新型フォレスター「SPORT EX」。無骨なタフギアだった先代から、都会的なスタリッシュさも兼ね備えてデザインになった。

エクステリアは大きくデザインが変更され。先代までの武骨な印象から、都会的でスタイリッシュな佇まいへと変貌した。大きくイメージが変わったと感じるが、実車を目の当たりにすると、画像や動画からは感じることが難しい立体感や造形の懐深さにより、驚くほど違和感などはなく、すぐになじめる印象で、しっかり従来のフォレスターのもつ世界観を感じる。

スタイルやデザインは変われど、歴代フォレスターがもつ共通の世界観を感じさせる。

ボディサイズは先代と大きく変わらないものの、全長4655mm×全幅1830mm×全高1730mmというサイズは意外と大きさを感じる。それでもフルタイムAWDでありながら最小回転半径5.4mというスペックは、見た目に反して驚くほど取り回しがしやすい。

全長4655mm×全幅1830mm×全高1730mmというサイズは先代モデルから全長+30mm、全幅+15mm拡大。ホイールベース2670mmと最小回転半径5.4は変わっていない。
先代モデルとの詳細な比較はこちらを参照。

すべてのスバル車に共通するポイントだが、視界の良さとスクエアなボディ形状が車両感覚のつかみやすさに貢献してくれる。加えて、新型フォレスターでは全車にデジタルマルチビューモニターを標準装備し、視界拡張による車両周辺の確認をサポートしてくれる。

スバルは安全のために厳しい社内規定があるため、スバル車のドライバー視界は極めて良好。新型フォレスターも同様だ。これば、乗り比べてみるとはっきりわかる。
デジタルビューモニターを全車標準装備。車両周囲の情報を多角的にみることができる。

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「SPORT」は1.8Lターボエンジンと軽めのボディで走り軽快!

フォレスターは「Premium」「X-BREAK」「SPORT」の3グレード構成で、「Premium」と「X-BREAK」がストロングハイブリッドのS:HEV、「SPORT」が1.8Lターボとなっている。運転支援システムの「アイサイト」が全車標準装備で、グレード名に「EX」がつくモデルは、高度運転支援システム「アイサイトX」搭載車だ。

取材車の新型フォレスター「SPORT EX」。純正アクセサリーのSTI製エアロパーツが装着されていた。

S:HEVは2.5L水平対向4気筒DOHC直噴エンジンに88kwの2モーターの組み合わせ。クロストレックにも搭載されているパワーと燃費を両立する人気のパワーユニットだ。
一方、今回試乗したCB18型1.8L水平対向4気筒DOHC直噴インタークーラーターボエンジンは、レヴォーグやレイバックにも搭載される現行スバル車の主力エンジン。コンパクトで軽量ながら、300Nmという大トルクを発生させる。

CB18型1.8L水平対向4気筒DOHC直噴インタークーラーターボエンジンは130kW(177ps)/5200-5600rpm・300Nm(30.6kgm)/1600-3600rpm、WLTCモード燃費は13.6km/Lというスペックで、先代モデルから変更はない。

パワフルさという点ではS:HEVには一歩及ばないものの、車両重量が100kgも軽量な「SPORT」の走りはその名に相応しく軽快な印象。フルインナーフレーム構造に進化したSGP(Subaru Global Platform)の高い剛性感や応答性をピュアに感じることができるのだ。

新型フォレスターのフロアをフロント側から見る。
SGP(Subaru Global Platform)の構造。
SGP(Subaru Global Platform)の構造。

また、「SPORT」には日立アステモ製の超飽和バルブ付きダンパーを専用装備。ダンパーへの入力が微細でも減衰力が素早く立ち上がり、路面を問わずしなやかな乗り心地だ。フル乗車で連続するうねりのある高速道路を走行しても収束が早く、いつまでも車体の上下動が収まらないといったこともない。同乗者にも快適で上質な乗り心地を提供してくれる。

新型フォレスターのリヤサスペンションまわり。
しなやかに動く足まわりのセッティングにより上質な乗り心地を実現している。

一方でコーナーの連続するワインディングでは不安を感じないレベルでのロール量を確保しつつ、気持ちの良いコーナリングを実現。スポーティな走りと快適性を見事に融合した乗り味は、忖度なく絶品の仕上がりだ。街乗り領域でも体感できる乗り心地の良さはぜひ多くの人に体感してほしい。

自然なロールでコーナーをクリアしていく新型フォレスターの走りはスポーティかつ快適で気持ちが良い。

大きく進化を感じる部分はほかにもある。何より静粛性の向上は目を見張るものがある。先代のSK型でも登場時はとにかく静かな車内におどろかされたが、新型ではそれにさらに磨きをかけている。高速走行時のロードノイズはもちろん、風切り音などもよく抑えられており、耳から感じる疲労が大きく低減された印象だ。

ロードノイズや風切り音も抑えられている点は疲労軽減につながる。

試乗車をお借りした2日目にはあいにくの雨天だったが、ルーフやフロントガラスに当たる雨音も、心なしか静かになったことを感じさせる。フロントワイパーには先代モデルから採用されているフラットワイパーが装備されており、視界をクリアに払拭してくれるだけでなく、従来のトーナメント式と比較するとビビり音などもなく、構造もシンプルでありながら、空力性能も向上している点が特徴だ。

先代から採用されているフラットワイパー。
雨天時の視界を確保しつつ、ビビり音もない。

座り心地だけじゃない進化したシートと

インテリアでは、話題の左右非対称形状のフロントシートが特徴的。センターコンソール側のショルダー部の形状を工夫し、後方確認時や、後席の荷物を取り出す際の振り返りやすさを追求。細かな部分だが実際に座ってみると、思わず笑ってしまうほど後ろを向きやすい。

運転席と助手席のシートは内側のショルダーを削って、後方を向いたり後席へのアクセス性を高めているのだが、実際にやってみると”なるほど!”の効果。

また、筆者は椎間板ヘルニアによる慢性的な腰痛に悩まされているのだが、新型フォレスターのフロントシートはランバー部のサポートが抜群に良い!しっかりと腰を支えながらも、圧迫感はなく、長時間座っていてもとにかく快適。

「SPORT」はウルトラスエードと合成皮革のコンビシートが標準。

全車にシートヒーターが標準装備される点もうれしいポイントだ。欲を言えば「Premium」に設定されているシートベンチレーションが、シート表皮を問わず全車でオプション選択できるとモアベターだ。

11.6インチセンターインフォメーションディスプレイの下端がエアコンとシートヒーター、シートベンチレーションのインターフェース。残念ながら「SPORT」にはシートベンチレーションが設定されない。(写真は「Premium」)
シートヒーターは全車標準装備。リヤの左右シートにも2段階調整式のシートヒーターが装備される。USBソケットは3.0AのタイプCと2.4AのタイプAがひとつずつ。(写真は「Premium」)

当然ながらSPORTでは、走行用バッテリーが搭載されないため、サブトランクの容量も大きく、スペアタイヤも搭載。ロングドライブ時の安心感という点ではテンパータイヤの存在は意外と大きい。

ラゲッジルームのサブトランク。
サブトランクの下にはスペアタイヤが収まる。

細かな部分では、アイドリングストップやAVH(オートビークルホールド)の設定を、DMS(ドライバーモニタリングシステム)と連携することで、乗車時に前回の設定をワンタッチで復帰できるようになった。

多くのスバル車で採用されている11.6インチセンターインフォメーションディスプレイだが、アイドリングストップOFFスイッチとAVHのスイッチがタッチパネルとなり、インテリアのスタイリッシュさと引き換えに、物理ボタンに廃止による操作の煩わしさがオーナーの声として耳にした。

ドライバーを登録することで前回乗車時の設定からスタートが可能になった。
乗車時や再始動時に設定を改めて変更する必要がなくなるのは便利。
引き継ぎ設定の確認画面。

しかし、DMSと連携することで、顔認証が完了すると、エンジン始動時に前回の設定を維持するか否かの画面が表示され、はいを押すだけで設定の引継ぎが可能となった(任意で引継ぎ設定のON-OFFが可能)。

「アイサイト」の進化は止まらない
緊急時対応やハンズオフの機能が追加

試乗した「SPORT EX」は、アイサイトXが搭載されているが、ドライバー異常時対応システムと呼ばれる機能に、アイサイトX登場時には装備されていなかったコールセンター自動接続機能(コネクティッドサービス契約が必要)が追加されている。長時間ハンドル操作がない場合など、自動的に減速、停止し、周囲へ警告。ドアロックの開錠をしてくれるというだけで、万が一の時の事故防止に役立つ機能だが、さらなる進化に驚くばかりだ。

オーバーヘッドコンソールにコールセンター自動接続機能のインターフェースが配置されている。(写真は「Premium」)

筆者もアイサイト搭載車を所有して10年で33万キロを走破しているが、とにかく疲労軽減の恩恵が大きい。プリクラッシュブレーキは保険的な意味合いが大きく、ごくまれに警報が作動する程度で、ほぼお世話になったことがないのだが、全車速追従クルーズコントロールに関しては、ロングドライブの渋滞時には欠かせないと思わせるほど頻繁に使用している。

ステアリングの右側スポークにまとめられたクルーズコントロール系のインターフェース。

その制御は絶妙でブレーキのかけ方や車間距離の取り方など、ストレスを感じさせない。アイサイトXでは渋滞時ハンズオフやレーンチェンジアシストなど、さらなる進化をしており、渋滞の多い首都高速などではハンズオフ機能の恩恵を頻繁に受けることができる。

全車速追従クルーズコントロールは高速道路の長距離ドライブや渋滞時の疲労軽減に効果大。

ただし、車両の制御に大きくかかわる機能だけに、万が一アイサイト以外の部分で故障などが発生した場合は使用が停止されるのだが、実は追従なしの定速クルーズコントロールは使用が可能。

ACCの表示画面。
定速クルーズコントロールの表示画面。

アイサイトXに限らず、10年前の筆者のレヴォーグにも装備されており、自走不能までには至らないものの、遠方でちょっとした不具合でアイサイトが使用できない状況でも、快適に走行できるバックアップ機能として装備されている。

ヨーロッパではマイルドハイブリッドのみ
ドイツ人スバリストはターボエンジン搭載モデルに興味津々

ちなみにこのフォレスターをお借りしている期間中、ちょうどドイツのスバル車のオーナーズクラブ「Subaru Freunde Deutschland e.V.」の皆さんが来日。わずかな時間だが、ドイツ人スバリストの目線で新型フォレスターをチェックしてもらった。

たまたま来日したドイツのスバルオーナーズクラブ「Subaru Freunde Deutschland e.V.」の皆さん。
国は違えどクルマ好き……ましてや贔屓のメーカー車のニューモデルともなれば気になるのは世界共通か。

今回来日した9名は、レオーネやアルシオーネのオーナーが多く、あまり新型には興味ないかな?と思わせたが、実車を目の当たりにした瞬間大興奮!
もちろん新型フォレスターはドイツでも販売されているが、実は1.8Lターボ搭載車はラインナップされておらず、2.0Lエンジン+12.3kwモーターを組み合わせたマイルドハイブリッド仕様のみの販売だという。

スバル・ドイッチュラントWebサイトの新型フォレスターブランドページ。
スバル・ドイッチュラントで販売されている新型フォレスターのテクニカルデータ。エンジンは2.0L+マイルドハイブリッドの一択。

国内のスバリストにも負けない熱いスバル愛を持つ彼らは、軽快な走りを予感させるCB18型ターボエンジンに興味津々。ドイツでの販売を熱望していた。細部ではドイツにはウルトラスエード仕様の設定がなく、本革仕様とファブリック仕様のみで、シートの質感なども好印象の様子だ。

ドイツにはラインナップされないターボエンジン搭載モデル。それだけに熱心観察している。
インテリアの仕様の違いも細かくチェック。ドイツとは異なる仕様が気になるようだ。

海外のスバリストも羨む新型フォレスターのターボエンジン搭載モデル。内外装のみならず、走りまでも高い質感を備えるフォレスターは、今スバルオタクである筆者がイチオシの激アツモデルだ。ディーラー試乗でも存分に体感できるので、ストロングハイブリッドだけでなくターボエンジンモデルもぜひ多くの人に試乗してほしい!

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著者プロフィール

井元 貴幸 近影

井元 貴幸

母親いわくママと発した次の言葉はパパではなくブーブだったという生まれながらのクルマ好き。中学生の時…