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■ボディとエンジンをダウンサイジングした11代目カローラ
2012(平成24)年5月11日、トヨタは11代目となるカローラの「カローラアクシオ」と「カローラフィールダー」を発売した。11代目カローラは、プラットフォームをひとクラス下のヴィッツ用とし、エンジンもダウンサイジングして日本市場のための日本専売モデルとなった。


日本のモータリゼーションを牽引したカローラ


カローラは、パブリカとコロナの中間的な位置づけで、半年前にデビューした日産自動車「ダットサンサニー」に対抗して1966年11月に誕生した。サニーより排気量が100cc大きい”プラス100ccの余裕“が、キャッチコピーだった。スタイリングは、当時最先端のセミファストバックで、パワートレインは最高出力60ps/最大トルク8.6kgm を発揮する1.1L直4 OHVエンジンと4速MTの組み合わせ、駆動方式はFRである。

カローラは発売から3年半で100万台を超え、当時のミリオンセラー最短記録を達成し、小型大衆車トップの座を獲得。日産サニーとともに、日本のモータリゼーションをけん引するという重要な役割を果たした。


・2代目(1970~1974年):カローラスプリンターが独立して兄弟車「スプリンター」が誕生、1972年には「カローラ・レビン/スプリンター・トレノ」が追加。

・3代目(1974~1979年):衝突安全性能に対応するため大型化し、ハードトップやリフトバックなどバリエーションを拡大し、生産台数世界一を記録。

・4代目(1979~1983年):直線的なスタイリングとなり、現在のカローラフィールダーの元祖となるワゴンが登場。

・5代目(1983~1987年):FRからカローラ初のFFに変更。ただし、レビン/トレノはFRを継続、このタイミングで誕生したカローラ・レビン/スプリンター・トレノが現在も高い人気を誇るAE86。

・6代目(1987~1991年):バブル景気を背景に上級志向となり、DOHCエンジンを多くのモデルに採用し、レビン/トレノ(AE92)にはスーパーチャージャーモデルを設定。1990年に国内の年間最多販売台数30.8万台を記録。

・7代目(1991~1995年):さらに上級志向は進み、ボディサイズも拡大し、高級感のある大衆車に変貌。

・8代目(1995~2000年):バブル崩壊とともに、ボディサイズは変えずに最大50kg軽量化に成功。4ドアハードトップの「セレス」とミニバンの「スパシオ」を追加。

・9代目(2000~2006年):流麗でモダンなフォルムで若者層にアピール。従来のツーリングワゴンが「フィールダー」に改名。

・10代目(2006~2012年):モダンなスタイリングを引き継ぎ、5ナンバーとは思えない広い室内をアピール。セダンに「アクシオ」のサブネームが付けられた。
日本市場に合わせてコンパクト化された11代目

2012年5月のこの日に登場した11代目カローラは、先代同様セダンは「カローラアクシオ」、ワゴンは「カローラフィールダー」を名乗った。プラットフォームをひとクラス下のヴィッツ用を使い、ホイールベースはそのままでボディ(全長)とエンジンをダウンサイジングして、国内向けに最適な本来のカローラへの原点回帰が図られた。

テーマである“大人4人が、安心・安全、快適に長距離を移動できるミニマムサイズのコンパクト車”を掲げ、コンパクトカーのような扱いやすさと広い室内空間と荷室が魅力だった。



アクシオのエンジンは、先代の1.8L/1.5Lから1.5L/1.3Lにダウンサイジング。フィールダーについては1.8L/1.5Lエンジンを継続。1.5Lエンジンには新開発のSuper CVT-iが組み合わされ、走行性能と燃費性能ともに向上。トランスミッションはCVTの他に5速MTも選べ、駆動方式は2WD(FF)と4WDが用意された。

車両価格は、FF仕様でアクシオが137.5万(1.3L)~190万円(1.5L)、フィールダーが151.7万(1.5L)~212万円(1.8L)に設定。安定した走りと優れた燃費性能も魅力で、アイドリングストップ機能や2013年にはカローラ初となるハイブリッド車も設定され、環境性能にもこだわり、歴代カローラの中でも人気モデルとなった。

カローラシリーズの世界累計販売台数は、1982年に1000万台、1994年2000万台、1997年には単一モデルの販売台数でフォルクスワーゲン・ビートルを抜いて世界No.1となり、11代目が登場した2012年時点では、4000万台に迫った。

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カローラは、時代のニーズとグローバルニーズに応えて徐々にサイズアップして上級化してきたが、カローラはそんなクルマではないはずという意見も散見された。11代目は、伝統のカローラらしいカローラを目指して、日本市場と日本人にフィットしたカローラとなったのだ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。