新型VWティグアンにディーゼルエンジン+4WDの「TDI 4MOTION」が登場!航続距離は1400km以上?高速×長距離なら最高の組み合わせ

今、フォルクスワーゲン(以下、VW)で世界販売ナンバーワンモデルとなっているのがティグアンだ。2024年に新型ティグアンが日本での販売が開始されたが、その時点ではハイブリッドのFF車のみだった。そしてこのほどディーゼルエンジン「TDI」と4WD「4MOTION」を組み合わせたモデルも販売が始まった。今回はそんなティグアンTDI 4MOTIONを"いもっち"こと井元貴幸レポート。スバル大好き乗り物ライターから見たVWティグアンとは!?
REPORT:井元貴幸(IMOTO Takayuki) PHOTO:井元貴幸(IMOTO Takayuki)/MotorFan.jp

輸入車らしさを感じさせつつ落ち着きのある洗練されたエクステリア

VWティグアンTDI 4MOTIONエレガンス

2024年11月に販売を開始したばかりの新型VWティグアン。VWどころか輸入車に縁もゆかりもない筆者が試乗させていただける機会を得た!
試乗したモデルは2.0L直列4気筒DOHCディーゼルターボエンジンを搭載する「TDI 4MOTIONエレガンス」。

現在、VWの世界でのトップセールスがこのティグアン。かつてはVWの最多量販車といえはゴルフだったが、SUVブームの影響を強く感じさせる状況だ。
この新型ティグアンは2024年11月に、まずマイルドハイブリッド+FFの「eTSI」が導入され、2025年にTDI+4MOTION(4WD)が追加された。

VWティグアンといえば、先代まではちょっと背の高いステーションワゴン風のエクステリアだった印象だが、新型ではフロントセクションの厚みが増し、ひと目でSUVらしさを感じる印象へと変貌した。

ボディサイズは全長4545mm×全幅1840mm×全高1655mm。
ホイールベースは2660mm。
車重は1750kg。

それでも全高自体は先代よりも低く抑え、日本仕様では1655mmとなっている。SUVでありながらCd値(空気抵抗係数)が0.28(先代は0.33)という空力性能の高さにも驚かされる。

バンパー内の可動式シャッターも空力性能に寄与している。写真は閉じた状態。(写真は「eTSI」)

輸入車の多くは各メーカーの特色を強調するデザイン傾向にあり個人的には「アクの強い」エクステリアのモデルが多い中、VWはティグアンに限らず洗練されたデザインだ。

ボディカラーは「ナイトシェードブルーメタリック(V2)」。レザーシートパッケージとラグジュアリーパッケージのオプション装着車。前記オプションを装着した「TDI 4MOTIONエレガンス」は670万2000円となる。

ひと目で輸入車とわかるスタイルは日本のユーザーにも受け入れやすく、クルマを知らない人にも「あの人なんかオシャレな外車乗っていたよ!」と印象づける点はVWならではの魅力だ。

純正フロアマットには車名が、サイドシルのスカッフプレートにはグレード名の「ELEGANCE(エレガンス)」の文字が刻まれる。

マッサージ機能まで備えた至れり尽くせりのシートはロングドライブに最適

インテリアは15インチという大きなディスプレイとデジタルコックピットプロと呼ばれるフル液晶メーターの組み合わせが最新モデルらしさを感じる部分。コンソール中央に配置されたドライビングエクスペリエンスコントロールとタッチパネルで、慣れれば直感的に操作が可能。

「エレガンス」のコックピット。(写真は「eTSI」)
フル液晶メーターのデジタルコックピットプロ。
ディスカバープロMAXの15インチディスプレイ。
音声入力も可能なドライビングエクスペリエンスコントロール。

インパネは全体的にピアノブラックのパネルでシンプルにまとめられているが、ドアトリムとの一体的なデザインで程よい包まれ感を演出。30色ものカラーからチョイスできるアンビエントライトが気分によって変更できるのは欧州車らしい演出で好印象だ。

アンビエントライトは30色も用意されており、好みに合わせて設定可能。メーターのカラーも連動している。

センタートレイに内蔵されたスマートフォンのワイヤレス充電は、同時に2台充電できる点も細かな部分だが気が利いている。

センターコンソールに用意されたスマートフォン用のワイヤレス充電スペースは縦に2個置けるようになっている。奥にはUSB-Cのソケットも2つ配置されている。

試乗した「エレガンス」はシートがマニュアルタイプだが、シートヒーターやシートベンチレーションは標準装備となっている点はありがたい。シート形状は適度なホールド感があり、クッションは比較的硬めだが、長距離ドライブで疲れにくい印象を受けた。

「エレガンス」のフロントシート。前後上下はレバー式、リクライニングはダイヤル式の手動調整。(写真は「eTSI」)

何より面白いのはエア式のシートリラクゼーション機能が内蔵されているところ。レザー張りのパワーシートならともかく、布張りのマニュアルシートにも装備されるのはうれしいポイント。実際に使ってみると腰痛持ちの筆者には非常にありがたいアイテムで、押圧パターンなど細かく変更できるため、とにかく快適にロングツーリングを楽しめた。

シートリラクゼーション機能
マッサージの種類

後席もレッグスペースは十分で、シートヒーターも内蔵され、リクライニングはもちろん分割でスライドも可能となっている。さらにエアコンも後席専用の吹き出し口や温度調整機能など至れり尽くせりだ。

「エレガンス」のリヤシート。(写真は「eTSI」)
センターコンソールボックス後端の後席用エアコン。独立した温度調整が可能なほか、左右別のシートヒーターを装備。さらにUSB-Cのソケットが2つ用意されている。

トルクフルな走行性能と燃料価格の安さが魅力のディーゼルエンジン

パワートレーンは今回試乗したディーゼルエンジンTDIのほか、気筒休止システムを装備する1.5L直列4気筒DOHCガソリンターボエンジンを搭載するマイルドハイブリッドのeTSIもラインナップ。トランスミッションは7速のデュアルクラッチ式DSGを採用。TDIは全車フルタイム4WDの4MOTIONとなる。

リヤゲート右下端に控えに入る「4MOTION」のエンブレム以外にぱっと見であまり違いはない。

TDIは最高出力142kW(193PS)/3500-4200rpm・最大トルク400Nm(40.8kgm)/1750-3250rpmを発生するEA288 evoエンジンを搭載。
Ad blue(アドブルー=尿素水)を使用した排ガス浄化技術のSCRシステムを採用しているが、現行のTDIエンジンでは2基のSCR触媒コンバーターを直列に配置するツインドージング(デュアルAd Blue噴射)システムを採用。

DXN型2.0L直列4気筒DOHCディーゼルターボのEA288 evoエンジンは最高出力142kW(193PS)/3500-4200rpm・最大トルク400Nm(40.8kgm)/1750-3250rpmを発揮する。

排ガス温度が低い領域では第1SCR用Ad blueインジェクターを使い、排ガス温度が高い領域においては第2SCR用Ad blueインジェクターを使用することで、Ad Blueの量を増やさなくてもNOx(窒素酸化物)の排出量を効率的に抑制できるシステムを搭載している。

ティグアンTDI 4MOTIONエレガンスのエンジンルーム。

これによりNOx排出量が先代モデルと比較して最大80%も削減されており、まさにクリーンディーゼルの名に相応しい環境性能を実現していると言えるだろう。

動力性能で言えば1.5Lガソリンターボ+マイルドハイブリッドよりもトルクはもちろんのこと、パワーでも上回る。ただし、車重はディーゼルターボ+4WDで1割程度重くなっている。

ディーゼルエンジンは、構造上、高い圧縮比に対応するためガソリンエンジンよりも堅牢に設計されているため、1台を長く乗り続けるユーザーにはおすすめのパワーユニットといえる。筆者の個人的な嗜好ではevoというネーミングにも萌える(笑)

低回転からトルクフルなディーゼルエンジンは優れたドライバビリティを発揮。低速域はもちろん、クルージングで威力を発揮する。

また、低い回転数から最大トルク・最高出力を発揮する点もエンジン負荷が低く長く付き合えるパワーユニットといえるだろう。もちろん低回転で走行可能であるため、燃料消費が少ないだけでなく、燃料単価自体もレギュラーガソリンより20円以上安いため、お財布にも優しい。

乗り心地は「エレガンス」というグレード名に相応しいしなやかさ。それでいて意外とスポーティにも走れる印象。

まさに良いことづくめのディーゼルエンジン。強いてデメリットを上げるとすれば、燃料のほかAd blueの補給が必要になる点、ガソリン車よりも若干車両本体価格が高くなる点などがあげられる。それでもひと昔前であれば、黒煙、振動、騒音とデメリットが目立つディーゼルも、革新的な技術の進歩により、いずれのデメリットも解消されており、ガソリン車以上の恩恵を受けられるといっても過言ではない。

燃費トライアルでJC08モード燃費の143.8%となる24.3km/Lを達成!

さて、今回の試乗では、東京の御殿山トラストタワーを出発して、新潟県長岡市を目指す行程だが、実は出発してから途中の赤城高原SAまで、メディア対抗の燃費対決が行われた。
正直、普段燃費とは無縁の筆者は、エコランのテクニックがあるわけでもなく、ほかのメディア陣のそうそうたる顔ぶれに、スタート前から「こりゃビリ確定だな(笑)」と早々と戦意喪失。同行編集担当さんには出発前に「すいません!多分勝てないです!」と先に謝罪しておいた(笑)

燃費バトルのコースは御殿山トラストタワーから関越自動車道赤城高原SAまでの約157km。使用車両はティグアンの他にパサート、T-Roc、ゴルフ、ゴルフヴァリアントの5モデル8台。全車ディーゼルのTDIで、ゴルフ系以外は4WDの4MOTIONというラインナップ。参加者は1人〜3人組と、この点も燃費に影響したかもしれない。

対決には、JC08モード燃費に対しての達成率で勝敗が決まるため、ゴルフTDIなどに比べ、車両重量の面で不利なティグアンでも公平なバトルとなっていた。スタートとゴールを守ればルートは自由。エアコンはONで22.0℃という条件だ。

高速道路では概ね80km/hをキープ。事故渋滞を一般道に降りて回避したのは良かったのか悪かったのか……車載燃費計では最大25.1km/Lまで伸びたが、駒寄PAから先の長い登りで落ち込んでしまった。

テクニック面では全く自信のないエコラン対決だったが、結果発表に驚愕!
JC08モード16.9km/LのティグアンTDI 4MOTION Eleganceで24.3km/Lをたたき出し、達成率143.8%で8台中3位を獲得!

ゴール近くで他の試乗車とランデブー。ちなみに、燃費バトルはこの新型パサートTDI 4MOTION R-Lineが1位だった。1名乗車かつ巧みなエコドライブで180%というVW関係者も驚きの達成率。

エコランの苦手な筆者がクルーズコントロールを使わず、アクセルワークだけでこの燃費が出たのは正直驚いた!はっきり言って、私が出せる燃費なので、おそらく誰が乗ってもちょっとだけ燃費を気にして走ればこれくらいの数値が出るのではないだろうか。エアコンを使用し、シートリラクゼーションを使用しながらストレスなく快適に走って出た数値には決して非日常的な走りではないということを付け加えておく。

ティグアンTDI 4MOTIONの燃料タンクは61Lもあるため、今回の燃費であれば満タンで1400km以上走れる計算になる。この航続距離の長さもディーゼルエンジンの魅力だ。

TDIの低燃費と、ティグアンの高い空力性能、ストレスフリーな快適な移動空間で誰もが満足できるSUVといえるだろう。

メーカーフォルクスワーゲン
車名ティグアン
グレードeTSIエレガンスTDI 4MOTIONエレガンス
全長4545mm
全幅1840mm
全高1655mm
ホイールベース2680mm
車重1600kg1750kg
最低地上高
最小回転半径5.4m
乗車定員5名
トランク容量652〜1650L
エンジンDXD型
水冷直列4気筒DOHCインタークーラーターボ
DXN型
水冷直列4気筒ディーゼルターボ
排気量1497cc1968cc
最高出力150ps/5000-6000rpm193ps/3500-4200rpm
最大トルク250Nm/1500-4000rpm400Nm/1750-3250rpm
燃料/タンク容量ハイオク/60L軽油/61L
WLTC燃費15.6km/L15.1km/L
サスペンションF:マクファーソンストラット
R: 4リンク
ブレーキF:ベンチレーテッドディスク
R:ディスク
タイヤサイズ235/55R18
駆動方式FF4WD
トランスミッション7速DCT
モーター4452
最高出力13.5kW
最大トルク56Nm
総電圧44V
価格547万円621万8000円
ティグアン(「エレガンス」)のスペック

フォトギャラリー:VWティグアンTDI 4MOTIONエレガンス

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著者プロフィール

井元 貴幸 近影

井元 貴幸

母親いわくママと発した次の言葉はパパではなくブーブだったという生まれながらのクルマ好き。中学生の時…