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輸入車らしさを感じさせつつ落ち着きのある洗練されたエクステリア

2024年11月に販売を開始したばかりの新型VWティグアン。VWどころか輸入車に縁もゆかりもない筆者が試乗させていただける機会を得た!
試乗したモデルは2.0L直列4気筒DOHCディーゼルターボエンジンを搭載する「TDI 4MOTIONエレガンス」。


VWティグアンといえば、先代まではちょっと背の高いステーションワゴン風のエクステリアだった印象だが、新型ではフロントセクションの厚みが増し、ひと目でSUVらしさを感じる印象へと変貌した。
それでも全高自体は先代よりも低く抑え、日本仕様では1655mmとなっている。SUVでありながらCd値(空気抵抗係数)が0.28(先代は0.33)という空力性能の高さにも驚かされる。

輸入車の多くは各メーカーの特色を強調するデザイン傾向にあり個人的には「アクの強い」エクステリアのモデルが多い中、VWはティグアンに限らず洗練されたデザインだ。

ひと目で輸入車とわかるスタイルは日本のユーザーにも受け入れやすく、クルマを知らない人にも「あの人なんかオシャレな外車乗っていたよ!」と印象づける点はVWならではの魅力だ。

マッサージ機能まで備えた至れり尽くせりのシートはロングドライブに最適
インテリアは15インチという大きなディスプレイとデジタルコックピットプロと呼ばれるフル液晶メーターの組み合わせが最新モデルらしさを感じる部分。コンソール中央に配置されたドライビングエクスペリエンスコントロールとタッチパネルで、慣れれば直感的に操作が可能。

インパネは全体的にピアノブラックのパネルでシンプルにまとめられているが、ドアトリムとの一体的なデザインで程よい包まれ感を演出。30色ものカラーからチョイスできるアンビエントライトが気分によって変更できるのは欧州車らしい演出で好印象だ。

センタートレイに内蔵されたスマートフォンのワイヤレス充電は、同時に2台充電できる点も細かな部分だが気が利いている。

試乗した「エレガンス」はシートがマニュアルタイプだが、シートヒーターやシートベンチレーションは標準装備となっている点はありがたい。シート形状は適度なホールド感があり、クッションは比較的硬めだが、長距離ドライブで疲れにくい印象を受けた。

何より面白いのはエア式のシートリラクゼーション機能が内蔵されているところ。レザー張りのパワーシートならともかく、布張りのマニュアルシートにも装備されるのはうれしいポイント。実際に使ってみると腰痛持ちの筆者には非常にありがたいアイテムで、押圧パターンなど細かく変更できるため、とにかく快適にロングツーリングを楽しめた。


後席もレッグスペースは十分で、シートヒーターも内蔵され、リクライニングはもちろん分割でスライドも可能となっている。さらにエアコンも後席専用の吹き出し口や温度調整機能など至れり尽くせりだ。


トルクフルな走行性能と燃料価格の安さが魅力のディーゼルエンジン
パワートレーンは今回試乗したディーゼルエンジンTDIのほか、気筒休止システムを装備する1.5L直列4気筒DOHCガソリンターボエンジンを搭載するマイルドハイブリッドのeTSIもラインナップ。トランスミッションは7速のデュアルクラッチ式DSGを採用。TDIは全車フルタイム4WDの4MOTIONとなる。

TDIは最高出力142kW(193PS)/3500-4200rpm・最大トルク400Nm(40.8kgm)/1750-3250rpmを発生するEA288 evoエンジンを搭載。
Ad blue(アドブルー=尿素水)を使用した排ガス浄化技術のSCRシステムを採用しているが、現行のTDIエンジンでは2基のSCR触媒コンバーターを直列に配置するツインドージング(デュアルAd Blue噴射)システムを採用。

排ガス温度が低い領域では第1SCR用Ad blueインジェクターを使い、排ガス温度が高い領域においては第2SCR用Ad blueインジェクターを使用することで、Ad Blueの量を増やさなくてもNOx(窒素酸化物)の排出量を効率的に抑制できるシステムを搭載している。

これによりNOx排出量が先代モデルと比較して最大80%も削減されており、まさにクリーンディーゼルの名に相応しい環境性能を実現していると言えるだろう。

ディーゼルエンジンは、構造上、高い圧縮比に対応するためガソリンエンジンよりも堅牢に設計されているため、1台を長く乗り続けるユーザーにはおすすめのパワーユニットといえる。筆者の個人的な嗜好ではevoというネーミングにも萌える(笑)

また、低い回転数から最大トルク・最高出力を発揮する点もエンジン負荷が低く長く付き合えるパワーユニットといえるだろう。もちろん低回転で走行可能であるため、燃料消費が少ないだけでなく、燃料単価自体もレギュラーガソリンより20円以上安いため、お財布にも優しい。

まさに良いことづくめのディーゼルエンジン。強いてデメリットを上げるとすれば、燃料のほかAd blueの補給が必要になる点、ガソリン車よりも若干車両本体価格が高くなる点などがあげられる。それでもひと昔前であれば、黒煙、振動、騒音とデメリットが目立つディーゼルも、革新的な技術の進歩により、いずれのデメリットも解消されており、ガソリン車以上の恩恵を受けられるといっても過言ではない。

燃費トライアルでJC08モード燃費の143.8%となる24.3km/Lを達成!
さて、今回の試乗では、東京の御殿山トラストタワーを出発して、新潟県長岡市を目指す行程だが、実は出発してから途中の赤城高原SAまで、メディア対抗の燃費対決が行われた。
正直、普段燃費とは無縁の筆者は、エコランのテクニックがあるわけでもなく、ほかのメディア陣のそうそうたる顔ぶれに、スタート前から「こりゃビリ確定だな(笑)」と早々と戦意喪失。同行編集担当さんには出発前に「すいません!多分勝てないです!」と先に謝罪しておいた(笑)

対決には、JC08モード燃費に対しての達成率で勝敗が決まるため、ゴルフTDIなどに比べ、車両重量の面で不利なティグアンでも公平なバトルとなっていた。スタートとゴールを守ればルートは自由。エアコンはONで22.0℃という条件だ。

テクニック面では全く自信のないエコラン対決だったが、結果発表に驚愕!
JC08モード16.9km/LのティグアンTDI 4MOTION Eleganceで24.3km/Lをたたき出し、達成率143.8%で8台中3位を獲得!

エコランの苦手な筆者がクルーズコントロールを使わず、アクセルワークだけでこの燃費が出たのは正直驚いた!はっきり言って、私が出せる燃費なので、おそらく誰が乗ってもちょっとだけ燃費を気にして走ればこれくらいの数値が出るのではないだろうか。エアコンを使用し、シートリラクゼーションを使用しながらストレスなく快適に走って出た数値には決して非日常的な走りではないということを付け加えておく。

TDIの低燃費と、ティグアンの高い空力性能、ストレスフリーな快適な移動空間で誰もが満足できるSUVといえるだろう。

メーカー | フォルクスワーゲン | |
車名 | ティグアン | |
グレード | eTSIエレガンス | TDI 4MOTIONエレガンス |
全長 | 4545mm | |
全幅 | 1840mm | |
全高 | 1655mm | |
ホイールベース | 2680mm | |
車重 | 1600kg | 1750kg |
最低地上高 | ー | |
最小回転半径 | 5.4m | |
乗車定員 | 5名 | |
トランク容量 | 652〜1650L | |
エンジン | DXD型 水冷直列4気筒DOHCインタークーラーターボ | DXN型 水冷直列4気筒ディーゼルターボ |
排気量 | 1497cc | 1968cc |
最高出力 | 150ps/5000-6000rpm | 193ps/3500-4200rpm |
最大トルク | 250Nm/1500-4000rpm | 400Nm/1750-3250rpm |
燃料/タンク容量 | ハイオク/60L | 軽油/61L |
WLTC燃費 | 15.6km/L | 15.1km/L |
サスペンション | F:マクファーソンストラット R: 4リンク | |
ブレーキ | F:ベンチレーテッドディスク R:ディスク | |
タイヤサイズ | 235/55R18 | |
駆動方式 | FF | 4WD |
トランスミッション | 7速DCT | |
モーター | 4452 | ー |
最高出力 | 13.5kW | ー |
最大トルク | 56Nm | ー |
総電圧 | 44V | ー |
価格 | 547万円 | 621万8000円 |
フォトギャラリー:VWティグアンTDI 4MOTIONエレガンス































