フォーミュラEは、バッテリーEV(BEV)を用いたレースシリーズ。正式名称は『ABB FIAフォーミュラE世界選手権』だ。世界各国の自動車団体により構成される『国際自動車連盟(FIA)』が主催する世界選手権のひとつで、2014年にスタートした。
フォーミュラEの一番の特徴は電動フォーミュラカーで競技を行うことだ。
フォーミュラカー(車輪がむき出しとなっているレーシングカー)によるレースはモータースポーツの世界最高峰『FIAフォーミュラ1世界選手権(F1)』など、世界中に数多く存在するが、メジャーなシリーズはどれも内燃機関(ICE)を使用している。一方のフォーミュラEマシンは電力のみで走行するため、マシンからのCO2排出量はゼロ。また、2014年の創設以来、フォーミュラEはネット・ゼロ・カーボンに認定されている。

なお、レース名については、F1ではGrand Prix(グランプリ)であるのに対し、フォーミュラEではE-Prix(イープリ)と呼称される。
F1など従来のサーキットレースシリーズは、イベントを常設サーキットで行うのが基本であり、市街地での開催は少なめ。しかし、フォーミュラEが“ホーム”としているのは市街地。BEVの優れた静粛性を活かしながら、これまでにニューヨークやロンドン、北京といった世界屈指の大都市でレースを行ってきた。

そして、創設から10年の節目を迎えた昨季シーズン10には、シリーズが初めて日本に上陸した。東京 有明地区の東京ビッグサイトとその周辺の公道を用いたサーキットで、東京大会『Tokyo E-Prix』が開催。四輪のレーシングマシンを用いた市街地レースでは日本初のイベントには、予選と決勝が行われた3月30日だけで2万人が来場した。
2度目の開催となる今年のTokyo E-Prixは、シーズン11の第8、9戦として5月17日(土)、18日(日)に開催される予定だ。
風変わりな見た目のマシンや予選/レースフォーマットなど、“フォーミュラEならでは”の要素はたくさんある。それらも順次ざっくりと解説していきたい。