加速力はF1を凌駕! AWDフォーミュラ『GEN3 Evo』でフォーミュラEのパフォーマンスは世界最高レベルに【MF的フォーミュラEひとくち解説 その5】

5月17、18日に開催されるフォーミュラEの東京大会、TOKYO E-Prix。国内のモータースポーツイベントとしては唯一の本格的な市街地レースとなる同大会を楽しむための予備知識をお届けする。今回は今シーズンに導入されたマシン『GEN3 Evo』について。

Photo:Formula E

今シーズンのABB フォーミュラE世界選手権には、11チーム、22台のマシンが参戦している。

技術規則に沿って各陣営が自由にマシンをデザインするFIAフォーミュラ1世界選手権(F1)やFIA世界耐久選手権(WEC)などとは異なり、フォーミュラEは2014年のシリーズ発足当初から一貫してシャシーは全チームが同じものを使用する“ワンメイク”制が採られている。

今季=シーズン11には『GEN3 Evo』が導入された。これは、シーズン9から2シーズン使用された第3世代マシン『GEN3』の改良型だ。

GEN3は前世代の『GEN2』と比べて軽量、コンパクトになった一方で、最高出力は350kW(約456PS)まで引き上げられるなど、パフォーマンスは大きく向上した。また、フロントにもモータージェネレーターユニット(MGU)を搭載。モーターが2基になったことにより減速時の最大回生エネルギーは600kWに達し、レース中に使用される電力の4割を回生でまかなった。

GEN3 Evoでは、これまで運動エネルギーの回生にしか使われていなかったフロントのMGUを駆動にも利用。予選のデュエル中やレーススタート時、アタックモード中に限りフロントモーターで力行するパートタイム4WDとなった。

これにより、加速力は大幅にアップ。静止状態から60mph(約96km/h)までの加速は1.82秒と、現行のF1マシンよりも30%速い数字を記録する。最高速は200mph(約321km/h)に達する。

また、ワンメイクのボディワークも刷新。アグレッシブなデザインのボディは、空力的に進化するとともに、より壊れにくくなったことで、ホイール・トゥ・ホイールのバトルを促進する。

車両の大部分を統一される一方で、パフォーマンスを左右するリヤのパワートレイン周りなどは独自開発が可能とされている。加えて、共通パーツであるフロントMGUと合わせてどう制御し、どう効率よく使うかを決める制御ソフトウェアの出来は、各陣営の競争力に差を生む要素となっている。

GEN3 Evoが新たに導入された今シーズンを通じて、どのように勢力図が変化していくかに注目だ。

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