マシンの4WD化でタイヤも高強度に。フォーミュラEの“溝つきタイヤ”に求められる特殊性【MF的フォーミュラEひとくち解説 その7】

5月17、18日に開催されるフォーミュラEの東京大会、TOKYO E-Prix。国内のモータースポーツイベントとしては唯一の本格的な市街地レースとなる同大会を楽しむための予備知識をお届けする。今回は、フォーミュラEで使われるタイヤについて。

Photo:Formula E

フォーミュラEではモーターやインバーター、ギヤボックスなど、リヤのパワートレイン周りを除いて全チームが同じシャシーを使用するワンメイク方式が採られている。タイヤもまた、2014年のシリーズ発足から一貫してワンメイクとされており、シーズン9からはハンコックがサプライヤーを務めている。

一般的にレースで用いられるタイヤとしてイメージされるのは、溝のないいわゆるスリックタイヤだろう。しかし、フォーミュラEのタイヤは市販車向けのように溝が掘られている。これはサステナビリティの観点から、ドライとウェットの両方を一種類のタイヤで対応するためで、オールウェザータイヤと呼ばれる。

年間カレンダーにおける市街地レースの比率が高いフォーミュラEでは、通常の競技用スリックタイヤとは求められる性能がやや異なる。パーマネントサーキットとは違い、市街地コースでは凹凸があったり、白線など滑りやすい路面があったりするため、あらゆるコンディションにしっかりと対応し、なおかつイベントを確実に走り切ることができるよう設計される。

また、今季導入されたGEN3 Evoはアタックモードを使用時などには前輪も駆動するようになったため、タイヤも今季はより高強度なトレッドパターンとコンパウンドが採用し、耐久性が高められている。それと同時に10%ほどのグリップ向上も実現させたという。

ちなみに、各レースで使用できるタイヤはフロント4本、リヤ4本まで。また、週末に2レースが行われる“ダブルヘッダー”においては、フロント6本、リヤ6本までとされており、週末を通してのタイヤの使い方も勝負を分けるポイントのひとつになる。

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