スズキ「エスクード」、ビルトインラダーフレームやフルタイム4WDなどで進化を遂げた3代目は194.25万円~【今日は何の日?5月16日】

スズキ3代目「エスクード」
スズキ3代目「エスクード」
一年365日。毎日が何かの記念日である。本日5月16日は、オフロード走行と街乗りを両立させたコンパクトSUVのパイオニア「エスクード」の3代目が誕生した日だ。正常進化した2代目に続いた3代目は、パートタイム4WDからフルタイム4WDに変更するなどプレミアムなSUVへと変貌を遂げた。
TEXT:竹村 純(Jun TAKEMURA)/PHOTO:三栄・スズキのすべて、新型エスクードのすべて

■大きな進化を遂げた3代目エクスード

2005(平成17)年5月16日、スズキのコンパクトSUV「エスクード」の3代目がデビューした。オフロード性能に加えて、ビルトインラダーフレームへのボディ構造の変更や4輪独立懸架、パートタイム4WDからフルタイム4WDへの変更などでオールラウンドのSUVとしての性能を大幅にブラッシュアップした。

3代目「エスクード」
2005年にデビューした3代目「エスクード」

ジムニーの小型車版として登場したエスクード

エスクードは、ジムニーの海外での人気の高まりを受け、さらにその上の本格的な小型車のオフローダーへの展開のために1988年に誕生した。

初代「エスクード」
1988年にデビューした初代「エスクード」

そのため、基本的なメカニズムやシャシーはジムニーのノウハウを生かして開発され、軽量・高剛性を両立させた3分割のサイドフレームとクロスメンバーからなるラダーフレームを採用。パワートレインは、最高出力82psの1.6L直4 SOHCエンジンと、5速MTおよび3速ATの組み合わせ。駆動方式は、トランスミッションと2速のトランスファーを一体構造したパートタイム4WDである。

2代目ジムニー(JA71)
「エスクード」開発のベースとなった「ジムニー」。画像は、1986年にデビューした2代目ジムニー(JA71)

フラッシュサーフェス化したボクシーなボディラインに前後に配置したブリスターフェンダーは、本格オフローダーのような武骨さがなく、乗用車感覚のライトなオフローダーを演出。さらに標準グレード147.0万円~というリーズナブルな価格設定もあり、日本はもとより海外でも人気モデルとなった。

トヨタ初代「RAV4」
1994年にデビューしたトヨタ初代「RAV4」。都会派コンパクトSUVとして大ヒット

ただ1994年にトヨタ「RAV4」や1995年のホンダ「CR-V」など、より都会的な雰囲気のライバル車が登場すると徐々に苦戦するようになったが、ややオフロード色の強いSUVとして評価されて堅調な販売を続けた。

アメリカンな雰囲気で上級化した2代目

海外市場でも人気となったエスクード、1997年にデビューした2代目は特に北米を意識して若干サイズアップし、スタイリングも初代のシンプルな直線基調から、曲面基調のダイナミックなアメリカンな雰囲気に変貌した。

パワートレインは、最高出力107psの1.6L直4 SOHC、140psの2.0L直4 DOHCの2種エンジンと、5速MTおよび4速ATの組み合わせ。駆動方式は、走行中に2WDと4WDの切り替えができる「ドライブセレクト4×4」に加えてFR仕様も追加された。

2代目「エスクード」
1997年にデビューした2代目「エスクード」

また、新開発の5リンクリジッドリアサスペンションの採用と、新設計の高剛性ラダーフレームのボディが相まって、乗り心地や操縦安定性が一層向上。1998年には、5ドアに160psの2.5L V6 DOHCおよび92psの2.0L直4 SOHCインタークーラーターボ・ディーゼルを搭載し、3ナンバー車幅のワイドボディ仕様も登場した。

2代目エクスードは初代より大きく上級化したが、初代のラダーフレーム構造とパートタイム4WDという本格派のメカニズムを引き継ぎ、車両価格149.8万円で堅調な販売を続けた。

ビルトインラダーフレームとフルタイム4WDに進化した3代目

3代目エスクード
3代目エスクード 2.7XS 2.7L V6、4LモードとESPによりどんなところでもイケる

2005年5月のこの日にデビューした3代目は、“エスクードのオリジナリティと本格オフロード性能を継承し、進化させた新しいSUV”というコンセプトで、エスクードの伝統を維持しながらすべてが刷新された。

3代目エスクード
3代目エスクード

スタイリングは、広い前後のトレッドと張り出したフェンダーにより、ダイナミックさと安定感をアピール。インテリアは、シートや内装材を黒色基調として質感の高い落ち着いた雰囲気を醸し出し、インパネにはスポーティな大径3連メータが装備された。

3代目エスクード
3代目エスクードの本気の走りを可能にするシステム

最大の変更点は、ビルトインラダーフレーム構造やLSD付センターデフ方式フルタイム4WDシステム、新開発の4輪独立サスペンションなどが採用されたこと。これにより、オフロード走行性能をより向上させるとともに、オンロードでの快適な走行性能もブラッシュアップされた。

3代目エスクード
3代目エスクードのセンターデフ式フルタイム4WDシステム

パワートレインは、145psの2.0L直4 DOHC、184psの2.7L V6 DOHCの2種エンジンと、5速MTおよび4速/5速ATの組み合わせ。駆動方式は、前述のフルタイム4WDのみとなった。

3代目エスクード
3代目エスクードのコクピット

また安全性能については、スリップや旋回時の横滑りを抑えて安定した走行を支援するESP(車両走行安定補助システム)やEBD付4輪ABS+ブレーキアシストが標準装備され、オプションだがSRSカーテンエアバッグとフロントシートSRSサイドエアバッグも採用された。

3代目「エスクード」
2005年にデビューした3代目「エスクード」

車両価格は、リーズナブルな194.25万円~を設定。3代目エスクードの高品質感は大幅に向上し、スズキの国内販売車の最高峰モデルとして堅調な販売を続けた。

歴代エスクード
歴代エスクード

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その後エスクードは、2015年に4代目へと進化を続け、いったん販売を休止したこともあったが、2022年にマイナーチェンジで、ハイブリッドモデルで販売を再開した。しかし、それも2024年に国内販売を終了し、実質的な後継としてインド生産のクーペスタイルの新型SUV「フロンクス」がその年の10月にデビューした。これでエスクードの名前を消えたが、都会派コンパクトSUVのパイオニアであることに異論はない。
ました。毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

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著者プロフィール

竹村 純 近影

竹村 純

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までを…