4WD化で重要度が向上か!? フォーミュラE特有のパワーアップ手段「アタックモード」。誕生の裏には『マリオカート』が【MF的フォーミュラEひとくち解説 その9】

5月17、18日に開催されるフォーミュラEの東京大会、Tokyo E-Prix。国内のモータースポーツイベントとしては唯一の本格的な市街地レースとなる同大会を楽しむための予備知識をお届けする。今回は、フォーミュラE特有の決勝レース中の仕掛け、アタックモードについて。

Photo:Formula E/NISSAN

5月17、18日に東京ビッグサイトを中心に開催されるフォーミュラE第8、9戦Tokyo E-Prix。このシリーズでは、予選と決勝を同日に行うことになっており、予選は10時20分から、決勝は15時04分からという予定になっている。

フォーミュラEでは予選を盛り上げる方策としてトーナメント方式を採用している。ギミックが備えられているのは決勝も同様で、一定時間パワーがアップする「アタックモード」が存在する。

決勝では通常、マシンの出力は300kW(約408PS)に制限される。しかし、アタックモードを作動させると、ある一定の時間のみ出力が350kW(約476PS)まで向上。さらに、今季導入されたGEN3 Evoでは、フロントモーターの駆動も解禁され、4WD状態となる。

アタックモード作動時は車体後方のバーティカルフィンに装着されたLEDが紫に光るため、中継映像でもひと目でわかる。

アタックモードを使用するには、特定のコーナーに設けられた「アクティベーションゾーン」を通過することが必要。これは通常のレーシングラインから外れたコーナーのアウト側に置かれるため、特定のコーナーでタイムをロスし、ライバルと競っている状況では順位を下げるリスクも負うことになるが、追加の50kWを使用してポジションを上げるチャンスを得られる。

今季のTokyo E-Prixにおいては、昨季と同様にターン4のアウト側にアクティベーションゾーンが設けられる予定だ。

前述の通り、今季はアタックモード作動時に4WDとなるため、前輪での駆動が特に活きる低速コーナーからの立ち上がりでは、このモードの恩恵を受けやすくなっているはず。長いストレートにつながるターン8やターン18などの立ち上がりから次のブレーキングポイントまでは、昨季よりも多くオーバーテイクが見られるようになるかもしれない。

Tokyo E-Prixのコースレイアウト。アクティベーションゾーンはターン4となるヘアピンのアウト側に設けられる予定。

その一方、モーター出力がアップするということは、そのぶん使用する電力も大きくなるということで、レースを通したエネルギーマネジメントにも影響を与える。ライバルとの位置関係やバッテリー残量などを考え、アタックモードをいかにうまく機能させるかも勝負を分けるポイントとなる。

ちなみに、アタックモードはシーズン5に導入されたもので、「コース上に設けられた特定のゾーンを通るとパワーアップする」というのは、皆さんご存知の人気ゲームソフト『マリオカート』シリーズから着想を得たものだ。

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