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変動費の削減
日産は経営再建計画「Re:Nissan」を通じて、2500億円の変動費の削減を目指す。エンジニアリングとコスト効率を向上させ、厳格なガバナンスで推進する。TdCトランスフォーメーションチーフの下に各部門から集められた約300人のエキスパートで構成されるTdC改革オフィスが設置され、コストに関する意思決定を行う。さらに、先行開発や2026年度以降の商品の開発を一時的に停止して、3000人の従業員がコスト削減活動に集中的に取り組んでいく。また、日産はサプライヤーパネルを再構築し、より少数のサプライヤーでより多くの量を確保。非効率さを排除し、従来の基準を見直す。
固定費の削減
日産は変動費の削減に強力に取り組みながら、固定費を削減する機会も追求し、2026年度までに2024年度実績比で2500億円の削減を目指す。
生産の再編と効率化
車両生産工場が2027年度までに17から10の工場に統合される。パワートレイン工場についても見直しを行い、配置転換や生産シフトの調整に加え、設備投資も削減する。北九州市におけるLFP(リン酸鉄リチウムイオン)バッテリー新工場の建設も中止する。
人員の削減
2024年度から2027年度にかけて計2万人の人員削減が行われる(発表済みの9000人の削減を含む)。この対象には、グローバルに生産部門、一般管理部門、R&D部門の直接員、間接員、及び契約社員も含まれる。販売費と一般管理費においても、シェアードサービスの範囲を拡大し、マーケティングの効率向上を推進する。
開発の刷新
エンジニアリングコストの削減や開発スピードの向上を図るため、開発のプロセスを刷新する。グローバルでR&Dのリソースの合理化を通じて、平均の労務費単価を20%削減することを目指す。部品種類を70%削減するとともに、プラットフォームの統合と最適化を進め、プラットフォームの数を2035年度までに現在の13から7まで削減する。また、日産はリードモデルの開発期間を37ヶ月、後続モデルの開発期間を30ヶ月へと大幅に短縮する取り組みを進めているが、本取り組みで開発される車種には、新型日産スカイライン、新型日産グローバルCセグメントSUV、新型インフィニティコンパクトSUVが含まれる。
市場戦略と商品戦略の再定義
収益ある成長を確保するために、市場毎に顧客ニーズに合わせた最適な市場戦略と商品戦略を再構築することで開発リソースをコアビジネスに集中できるようになる。商品戦略は市場とブランドに焦点を当てて再構築される。新たな戦略は、日産ブランドの鼓動を具現化したアイコニックなモデルを中心に、収益や成長に貢献する量販モデル等によって構成される。
市場戦略では米国、日本、中国、欧州、中東、メキシコを主要市場として位置付け、他の市場についてはそれぞれの市場要件にあわせたアプローチを行う。米国では、ハイブリッドなど急速に拡大するセグメントへの対応や、日産ブランドとのシナジーを通じたインフィニティブランドの再生を推進する。
日本では、モデルカバー率を拡大してホームマーケットにおけるブランド強化を実施する。中国では複数の新エネルギー車(NEV)を投入し、市場でのパフォーマンスを強化する。また、中国からの輸出により多様でグローバルなニーズにも対応する。欧州ではB/CセグメントのSUVを集中的に生産する。
また、ルノーグループや中国でのパートナーシップを活用してラインアップの拡充も推進する。大型SUVを中心に販売する中東では、中国からの供給についても検討してラインアップの競争力を向上。メキシコは重要な輸出ハブとしての役割を果たしながら、収益と成長に大きく貢献する市場となる。
パートナーシップの強化
日産はパートナーと協働して商品ポートフォリオを補完し、各市場で固有のニーズに応えるモデルを提供する。アライアンスパートナーであるルノーおよび三菱自動車とはいくつかのプロジェクトが進行中とのこと。三菱自動車とは、先日発表された次期型「日産リーフ」をベースとした北米市場向け新型電気自動車(BEV)や、2025年度に市場投入予定のフィリピン向けの新型バンで協業する。また、日産とホンダは自動車の知能化・電動化における戦略的パートナーシップの枠組みにおける連携を継続する。