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激戦区のライバルを出し抜く圧巻の思弁性と開放感が魅力

現在の軽自動車で主流となっているスーパーハイトワゴンの市場を開拓したのはタントにほかならない。4代目となる現行型は、「新時代のライフパートナー」として、すべての世代のユーザーのニーズに応える良品廉価な商品となることを念頭に置いて開発された。
エクステリア




小さなサイズからは想像できないほど広い室内空間とともに、助手席側のピラーをドアに内蔵することで圧倒的に広い開口部を実現した画期的な「ミラクルオープンドア」のおかげでベビーカーの積み下ろしや子どもの乗り降りがラクにできることから子育て世代に絶賛されている。現行型では助手席に加えて運転席も超ロングスライドできるようにされて、これまでにも増して高い利便性を手に入れた。
乗降性


シートアレンジについても、現行型の発売当初はリヤシートの背もたれを前倒しすると座面が連動して下がるようになっていたところ、2022年秋のマイナーチェンジでは上下二段調節式デッキボードが設けられ、より便利になった。デッキボードの脚を立てると床下と上部それぞれに積むことができ、立てた状態でリヤシートを倒すと荷室フロアと同じ高さのフラットスペースとなるよう見直されたことで、日常の買い物からアウトドアまで幅広いシーンでより便利に使えるようになった。
インストルメントパネル

9インチスマホ連携ディスプレイオーディオにはエアコンやマルチメディアなどの操作が出来る音声認識機能が搭載され、利便性が向上した。件のマイナーチェンジでは、カスタムが現在のようなフロントまわりを中心に立体感を強調した、より上質で迫力あるスタイルになった。インテリアも大きく変わり、ブラックを基調に深みのあるブルーを配色し、レザー面積を増やしたシート表皮やめっき加飾によりシャープで緻密な印象が強まっている。ボディカラーはタントでは親しみを、カスタムでは上質なイメージを強化し、各モデルの個性を表現したラインナップとなっている。
居住性


24年10月の改良では、リヤコーナーセンサーを2個追加して計4個とし、後退時車両後方確認性の向上を図るとともに、作動解除スイッチとブザー音量調整スイッチが追加されたほか、エントリーモデルのタント「L」に純正ナビアップグレードパッケージが標準装備された。走りの実力もなかなかのものだ。制御の最適化により燃焼効率を高め燃費性能を向上した改良版エンジンと、スプリットギヤを用いて伝達効率を高めるとともにレシオカバレッジを拡大した独自のCVTの組み合わせにより、リニアで力強くかつスムーズで扱いやすい加速フィールを実現している。
うれしい装備





月間販売台数 1万998台(24年7月~12月平均値)
現行型発表 19年7月(一部仕様変更 24年10月)
WLTCモード燃費 22.7 ㎞/ℓ※「L」「X」のFF車

ラゲッジルーム


新世代プラットフォームのDNGAを初めて採用したのが現行のタントであり、その甲斐もあってフットワークの仕上がりも申し分ない。他のダイハツ車同様、事情により23年末から長らく出荷停止となっていたが、24年4月に生産が再開された。各社がしのぎを削る激戦区のハイトワゴンの中でも、ミラクルオープンドアによる圧倒的な利便性と開放感のように他にはない魅力をもつタントの生産再開を心待ちにしていた人は少なくないことだろう。

