スバル水平対向エンジン+4WDを世に広めた「レオーネ」2代目のデビューは79年【今日は何の日?5月22日】

スバル2代目レオーネ
スバル2代目レオーネ
一年365日。毎日が何かの記念日である。本日5月22日は、世界初の量産4WD乗用車を投入した初代に続いて2代目「レオーネ」が誕生した日だ。2代目レオーネは、水平対向エンジン+4WDを看板技術として、4ドアセダン、2ドアハードトップ、スイングバックとワイドバリエーションを図った。
TEXT:竹村 純(Jun TAKEMURA)/PHOTO:三栄・スバル ニューレオーネのすべて、レーシングオン

■大きく上級化してスバルブランドの礎を築いた2代目レオーネ

1979(昭和54)年5月22日、スバルのコアブランドである4WD技術を作り出した初代レオーネの2代目がデビュー(発売は6月1日)した。2代目レオーネは初代より大きく上級化、さらに初代が構築したコア技術(水平対向エンジン+4WD)をモデル展開して、現在のSUBARUブランドの礎を築いた。

2代目レオーネ セダンの谷田部バンクの走り
2代目レオーネ セダンの谷田部バンクの走り

世界初の量産4WD乗用車を投入した初代レオーネ

1966年に登場したスバル1000
1966年に登場したスバル1000

スバルのコア技術である水平対向エンジンを初めて搭載したのは、1966年に登場した「スバル1000」である。ただし、このときの駆動方式はFFだった。

初代「レオーネ・ハードトップ」
1971年にデビューした初代「レオーネ・ハードトップ」

スバル1000の後継として登場したのが、1971年にデビューした「レオーネ」クーペ。流麗なロングノーズとカットインのリアコンビランプが特徴だった。その翌1972年には、国産初のフルオープン・サッシュレスドアを採用した4ドアセダンと2ドアセダンが投入された。

初代「レオーネ・ハードトップ」
1971年にデビューした初代「レオーネ・ハードトップ」
初代レオーネ クーペ1400GSR(1971年)
初代レオーネ クーペ1400GSR(1971年)

そして、同年には世界初の量産4WD車である「エステートバン」を追加。さらに1975年にマイナーチェンジでセダンに4WDモデルを設定し、世界初となる4WD乗用車「レオーネ4WDセダン」が誕生した。

レオーネ4WDエステートバン
1972年にデビューした「レオーネ4WDエステートバン」。量産初の4WD

ここに、今もスバルブランドの象徴である“水平対向エンジン+4WD(シンメトリカルAWD)”が出来上がった。レオーネは、比較的地味だったスバルのイメージを一新、スバルの主力モデルへと成長した。

レオーネ4WDエステートバン
1972年にデビューした「レオーネ4WDエステートバン」。量産初の4WD

一方で、1977年のマイナーチェンジで当時世界一厳しい排ガス規制とされていた“昭和53年規制”に初めて適合した「NEWレオーネ」を追加したことでも話題となった。

レオーネ4WDエステートバン
1972年にデビューした「レオーネ4WDエステートバン」。量産初の4WD
1973年の第20回東京モーターショーに出展されたレオーネクーペRXスペシャル
1973年の第20回東京モーターショーに出展されたレオーネクーペRXスペシャル

ひと回り大きくなって4WD技術を展開した2代目レオーネ

1979年5月のこの日に登場した2代目「レオーネ」は、4ドアセダンがまず発売され、1ヶ月遅れで2ドアハードトップ、そしてハッチバックボディのスイングバックもラインナップに加わった。また1981年には後にヒットモデルとなるステーションワゴンの原型となる「ツーリングワゴン」も追加された。

スバル2代目レオーネ
1979年にデビューした2代目「レオーネ・セダン」

角2灯のオーソドックスな3ボックス型4ドアセダンとサッシュレスのハードップが設定され、直線基調で空力に優れたスタイリングが採用された。初代よりもひと回り大きくなって上級化し、特に前後輪のトレッドは65~85mm拡大されて高速走行の安定化に寄与した。

2代目レオーネ セダンのコクピット
2代目レオーネ セダンのコクピット

ボディの拡大に伴い、エンジンも1.4Lから最高出力87ps/最大トルク12.3kgmを発揮する1.6Lと100ps/15.0kgmの1.8L水平対向OHVエンジンとなった。トランスミッションは、4速/5速MTと3速ATが組み合わされ、エンジン縦置きのFFがベースで、4WDも積極的に展開された。

1979年に登場した2代目レオーネ、画像はセダン
1979年に登場した2代目レオーネ、画像はセダン

その後2代目レオーネは、マイナーチェンジでヘッドライトが角2灯から4灯に変更され、1983年のマイナーチェンジではスバル初のターボモデルと、ツインキャブエンジンのレース用ベース車「RX」がデビューした。

フルタイム4WDが登場した3代目レオーネ

1984年に2度目のモデルチェンジで3代目に移行したレオーネ。当初は、セダンのみの設定だったが、5ドアのツーリングワゴンとエステートバンが追加された。一方で、2ドアハードトップとスイングバックは廃止された。

1984年にデビューした3代目「レオーネ・セダン
1984年にデビューした3代目「レオーネ・セダン

スタイリングは、ボディはさらに大きくなり、セダンよりさらにシャープな空力ボディはCd値0.35を実現。パワートレインは、先代と同じ1.6L水平対向OHVと、SOHC化された新開発の1.8L水平対向SOHCおよび136ps/20.0kgmのターボエンジンの3種エンジンと、4速/5速MTおよび3速ATの組み合わせ。

スバルEA系水平対向エンジン
スバルEA系水平対向エンジン
スバルEJ系水平対向エンジン
スバルEJ系水平対向エンジン

1985年に3ドアクーペがラインナップに加えられ、1986年には3ドアクーペにスバル初のフルタイム4WDを採用した1.8Lターボモデル「RX-II」が追加された。直後にセダンとツーリングワゴンにもフルタイム4WDが設定された。

さらに、セダンとツーリングワゴンの「GT-II」には、電子制御トルク配分式フルタイム4WDシステム「ACT-4」が採用され、従来のパートタイム4WDが廃止されてスバルの看板である4WDシステムが熟成されていった。

1982年にデビューした「レオーネ・ツーリングワゴン」
1982年にデビューした「レオーネ・ツーリングワゴン」

レオーネは1994年に生産を終えたが、この流れは1989年の「レガシィ」と1992年の「インプレッサ」に引き継がれたのだ。

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レオーネは、現在のスバルブランドの礎を築くという重要な役割を果たしたモデルである。また、2代目レオーネに追加された「レオーネ・ターボ」は、「レガシィGT」に引き継がれ、レース用ベース車「RX」は「インプレッサWRX」へと繋がったのだろう。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

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著者プロフィール

竹村 純 近影

竹村 純

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までを…