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■ボディの拡大と軽量化を両立させた4代目レガシィ・ツーリングワゴン

2003(平成15)年5月23日、スバルの4代目「レガシィ・ツーリングワゴン」(BL/BP系)がデビューした。レガシィ・ツーリングワゴンは1989年の誕生以来、好調な販売を続け、日本にステーションワゴンブームを巻き起こした。この日に登場した4代目も、伝統を引き継ぎながらブラッシュアップを図った。

ステーションワゴンブームに火を付けた初代レガシィ

1989年2月に誕生したレガシィ(BC/BF系)は、4ドアセダンと5ドアツーリングワゴンの2タイプで構成。注目の水平対向エンジンは、最高出力110psの1.8L SOHCと150psの2.0L DOHC、そして最強グレードRSに搭載された220psを誇る2.0Lターボの3機種を設定。トランスミッションは、5速MTおよび4速ATで、駆動方式はアクティブスプリット4WDが採用された。

レガシィ・ツーリングワゴンは当時のRVブームの後押しもあって人気が高まり、同年10月に2.0Lターボを搭載した200psの「ツーリングワゴンGT」が追加されると、その人気は一気に加速した。

その後、2代目(BD/BG系 1993年~)、3代目(BE/BH系 1998年~)のツーリングワゴンは、初代が構築したハイパワーな水平対向エンジンを搭載した4WDモデルとして進化し続けて、その人気は絶頂期を迎えた。当然、他社から同様のモデルが続々と出現して日本にステーションワゴンブームが起こったが、そのブームをけん引したのは、やはりレガシィ・ツーリングワゴンだった。

3ナンバーボディとなるが、徹底した軽量化を達成した4代目

そして2003年5月のこの日、“走りの機能と美しさの融合”を開発テーマにした4代目レガシィ・ツーリングワゴン(BL/BP系)が登場。セダン(B4)は同年6月23日、アウトバックが同年10月に発売された。

4代目の特徴は、車幅を広げて3ナンバーボディとなったが、徹底した軽量化を実現したこと。3ナンバー化は、欧米市場を意識したためであり、衝突安全性が向上し、さらに操縦安定性と走行安定性を高めることも期待できた。

軽量化については、アルミ合金や高張力鋼板、軽量素材などを多用し、軽くても強靱なボディを作り上げ、先代に対して50kg~100kgの軽量化に成功した。軽量化すれば、もちろん運動性能や燃費向上に大きく貢献する。

パワートレインは、最高出力140ps/最大トルク19.0kgmのEJ20型2.0L水平対向SOHC、同DOHCエンジンの190ps(MT)/180ps(AT)仕様、同DOHCインタークーラーターボエンジンのトップグレード280ps(MT)/260ps(AT)仕様の3種エンジンと、5速MTおよび4速/5速ATの組み合わせ。さらに翌2004年9月には、250ps/31.0kgmの3.0L 6気筒 DOHCエンジン(EZ30型)も追加された。
車両価格は、比較的廉価な205万円~310万円に設定された。4代目レガシィは、シリーズ全体で発売開始から10日間で7000台を超える受注を獲得し、生産待ちができる人気を得た。

米国市場を意識してさらに大きくダイナミックに変貌した5代目
2009年にはモデルチェンされ、レガシィは5代目(BM/BR系)に生まれ変わった。さらに北米市場を意識してツーリングワゴンのボディは、全長が+95mm、全幅+50mm、全高が+65mmと大きく、スポーティかつ力強さを強調したスタイリングとなり、従来同様にセダンB4とツーリングワゴンおよびアウトバックが設定された。

エンジンは、最高出力170ps/23.4kgmを発揮する2.5L水平対向SOHC、285ps/35.7kgmの2.5Lインタークーラー付ターボの4気筒(EJ25型)に加え、アウトバックに搭載の260ps/34.2kgm の3.6L V6 DOHC(EZ36型)が加わった。2.5L には新開発のリニアトロニックCVTが、他は5速ATおよび6速MTが組み合わされた。
2014年に6代目(BN/BS系)に移行したが、この時点でツーリングワゴンは日本市場では大きくなり過ぎたため、「レヴォーグ」へ引き継がれる形で販売を終了し、レガシィB4とレガシィ・アウトバックの2構成となった。しかし、B4は2020年6月、アウトバックも2025年3月をもって国内販売を終え、多くのスバリストに惜しまれながら名車レガシィブランドは日本市場で終焉を迎えた。

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4代目まではツーリングワゴンブームをけん引していたレガシィだったが、5代目以降はジワジワとミニバンブームとSUVブームに市場を奪われてしまった。さらに、5代目が米国重視のアップサイジングしたことも減速に拍車をかけた。そんな事情もあり、4代目レガシィは、歴代レガシィのなかで今でも高い評価を受け、人気モデルでもある。
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