購入に迷ったら「一番パワフルなヤツ!ください!」が新型RAV4の”間違いのない”選び方かもしれない。その理由は?

グローバルにおけるトヨタの柱となっているモデル「RAV4」が6代目へのフルモデルチェンジを発表。3タイプのプロトタイプが公開された。また、ハイブリッドとプラグインハイブリッドの電動化パワートレーンを採用することも明らかとなった。その中でも注目したいのは第6世代システムを採用するプラグインハイブリッド、なにしろシステム最高出力320馬力に達するというのだ。

PHOTO&REPORT:山本晋也(YAMAMOTO Shinya)

日本での発売は2025年度内。パワートレインはHEVとPHEVになる模様

発表会場に展示された新型RAV4

トヨタが新型RAV4を世界初公開した。グローバルに売れているモデルだが、6代目RAV4を発表する場に選ばれたのは東京・有明だった。

グローバルモデルをあえて日本でお披露目することに違和感もあるかもしれない。RAV4の歴史を振り返ると、2013年にフルモデルチェンジされた4代目RAV4は日本で販売されず、海外専売モデルとなっていた過去もあるからだ。

しかし、1994年に初代モデルが誕生、世界にクロスオーバーSUVという新カテゴリーを提案したRAV4の原点は”トーキョー”にある。なぜなら、そのルーツといえるコンセプトカー「RAV-FOUR」は1989年に東京モーターショー(会場:幕張メッセ)に出展されていたから。幕張メッセとは若干離れているものの、同じく東京湾岸エリアである有明で、RAV4をワールドプレミアすることはヘリテージに基づいているのだ。

そして、新型RAV4は初代が新カテゴリーを開拓したのと同じく、6代目においてもチャレンジングなクルマとなっている。そのポイントは、トヨタ初の本格的SDV(ソフトウェア定義車両)であること。トヨタのソフトウェアづくりプラットフォーム「Arene(アリーン)」を開発に初採用したモデルが、新型RAV4になるということだ。

現時点では、日本での発売が『2025年度内』と発表されたのみで、詳細なスペックなども未公開。パワートレーンについてはPHEV(プラグインハイブリッド)とHEV(ハイブリッド)をラインナップするとアナウンスされている。

第6世代システムを搭載するPHEVはパワフルでEV航続距離も長い

スポーティなGR SPORTを設定予定。フロントフェンダーに充電リッドが見えるので、この車両はPHEVのようだ

6代目となる新型RAV4は、CORE/ADVENTURE/GR SPORTと3つのスタイルを用意することで多様なニーズに応えるラインナップになることが発表されている。ただし、各スタイルとパワートレーンの関係については残念ながら未発表となっている。

現時点で判明していることは、HEVについては現行モデルの改良版となる一方で、PHEVはかなりの進化を遂げるということだ。

PHEVの積む2.5Lエンジンはキャリーオーバーとなるようだが、ハイブリッドシステムはシリコンカーバイド半導体を採用したインバーターを搭載するなどした最新の第6世代にアップデートされる(HEVのシステムは第5世代をリファインしたものになる模様)。

COREスタイルの特徴的なバンパー一体グリルは、新時代の提案

つまり、新型RAV4のパフォーマンス面での進化はPHEVに注目すべきといえるのだ。

実際、PHEVのシステム最高出力は320馬力になっているという。現行のRAV4プラグインハイブリッドは306馬力であるから、かなりのパワーアップだ。

また、バッテリーについては現行型の18.1kWhから30%ほど増やされるという。バッテリーに関する詳細スペックは、現時点で未公開だが、電池の種類は三元系リチウムイオンで、水冷方式でパッケージされている。

従来モデルから30%増が見込まれる駆動用バッテリー。23kWh以上の総電力量と予想される

高効率なハイブリッドシステムと総電力量を増やしたバッテリーにより、新型RAV4 PHEVのEV航続距離は150km(目標値)まで伸びるという。現行型が95kmであるから、1.5倍以上に延伸するというわけだ。

使用環境にもよるが、150kmのEV航続距離ということは、日常的な用途においてはほとんどガソリンを使うことはないだろう。実質的にはZEV(ゼロエミッションビークル)に等しい環境性能といえる。それでいて、高効率ハイブリッドは好燃費にもつながるわけで、満タン・満充電からのスタートで現行型の1300kmを超える航続性能を実現することも確実といえる。

くわえてPHEVはDC急速充電(CHAdeMO)にも対応するということで、出先での充電に関する選択肢が増えるほか、災害時に役立つV2H機器との接続も可能になる。

ZEVとHEVをクロスオーバーしたPHEV性能も、新型RAV4の魅力といえそうだ。

北米仕様のWoodland(日本仕様ADVENTUREは同様の顔つきになる)

グレード構成、価格については発表されていないが…

新型PHEVのパワートレーン。エンジン以外は一新され、普通充電ユニットはトランスアクスル上に移動された

というわけで、新型RAV4について現段階で判明しているのは、「3つのスタイルがあること」と「PHEVとHEVのパワートレーンが設定されること」くらい。スペックもグレード構成も、もちろん価格もまったくの不明だ。

筆者のスタイリングに関する第一印象を正直にいえば、「それほど高級シフトはしていない」というものだが、このところの価格高騰や、純エンジン車が用意されないことを考えれば、新型RAV4は現行型よりかなり価格帯が上昇するであろう。

ちなみに、現行モデルにおけるハイブリッドのエントリーグレード「X(E-Four)」のメーカー希望小売価格は385万9900円で、最上級グレードとなるプラグインハイブリッドは566万1700円。

冒頭で記したように本格的なSDVとなることでのコストアップ要因を考慮すると、新型RAV4の価格帯は400万円~600万円となるのではないだろうか。この数字、安く見積もりすぎに思えるかもしれないが、世界中で支持されるRAV4だけに、フレンドリーな価格帯は維持したいと開発陣は考えているはずだ。

今回の新型モデル発表の場で取材する限り、車台であるプラットフォームをキャリーオーバーとしているようだが、それも車両価格を”現実的”な範囲に収めるための工夫であろう。

もし、現行モデルからの価格アップを最小限に抑えるとすれば、もっともコストパフォーマンスに優れているのは進化幅の大きなPHEVになるかもしれない。

このところのトヨタ車に共通する長い納期を思えば、おそらく新型RAV4についても早めにオーダーを入れることが重要だろう。予算が許すならば「もっともパワフルなやつ」、「一番高いモデル」といったシンプルなグレード選びをすることをオススメしたい。

日常は電気だけで走行できるゼロエミッションのエコカーで、いざアクセルを踏み込めば320馬力を味わえるPHEVの二面性は、所有欲についても十分に満たしてくれるだろう。

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著者プロフィール

山本 晋也 近影

山本 晋也

1969年生まれ。編集者を経て、過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰することをモットーに自動車コ…