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ボディサイズは似ているものの、それ以外は気持ちが良いほど好対照!
新型トヨタRAV4が属するDセグメントSUVは、まさに激戦区だ。Dセグメントとは、全長が4.6〜4.8m程度のボディサイズの車両がカテゴライズされるのだが、ここにはトヨタのみならず、各自動車メーカーが軒並み主力モデルをラインナップ。そして、そのいずれもがマーケットで確固とした存在感を示している。マツダでその役割を担っているのが、CX-5である。
現行型のCX-5は、2017年にフルモデルチェンジを果たした2代目。すでに登場から8年が経っており、近い将来にフルモデルチェンジの予定があることも公式にアナウンスされている。最新モデルの新型RAV4と並べるのはちょっとフェアではないかもしれないが、いろいろな角度から両者を比較してみたい。
ボディサイズ:全長と全幅はわずかに新型RAV4が上回る
新型RAV4は全長4600〜4645mm×全幅1855〜1880mm×全高1680〜1685mm、ホイールベース2690mm。新型RAV4には標準モデル的な「CORE」、オフっぽさを強調した「ADVENTURE」、走りの楽しさを追求した「GR SPORT」という3つのスタイルが用意されており、バンパーのデザインの違いによって全長が異なる。また、フェンダーに別体式のモールが備わるため、「ADVENTURE」と「GR SPORT」は全幅もワイドだ。全高はハイブリッド(HEV)が1680mm、プラグインハイブリッド(PHEV)が1685mmという違いがある。


一方のCX-5は全長4575mm×全幅1845mm×全高1690mm、ホイールベース2690mm。これは全グレードで共通だ。新型RAV4とCX-5のボディサイズはよく似ていて、新型RAV4の方が若干全長・全幅ともにやや上回っている。実は、新型RAV4のボディサイズは現行モデルからほとんど変わっていない。これは世界中のユーザーから「ボディサイズを変えないでほしい」という声に応えたものなのだとか。取り回しや使い勝手、居住空間などのバランスをユーザー目線で考えると、同じようなサイズに収束されるということなのかもしれない。


エクステリア:新型RAV4はハンマーヘッド顔を新採用し、イメージチェンジ
エクステリアデザインは好対照だ。新型RAV4はキープコンセプトながらも、最近のトヨタが得意とする「ハンマーヘッド」を採用することで顔つきをイメージチェンジ。さらに、先代では最大で19インチだったアルミホイールのサイズも20インチに拡大し、よりSUVらしい踏ん張りの効いたスタンスを纏っている。前述のとおり、新型RAV4では3つのスタイルが存在しており、それぞれの個性も明確に分かれているので、自分の好みに応じたチョイスができそうだ。

CX-5はというと、「洗練された力強さ」をキーワードにマツダのデザイン言語「魂動」を進化させたもの。数多あるSUVの中でも、スタイリッシュさは随一だ。先代モデルからAピラーを約35mm後退させて、まるでFR車のような伸びやかなサイドビューも美しい。その反面、オフロードっぽさを感じさせる要素はあまりないのだが、実は最低地上高は210mmも確保されており、RAV4の先代モデルの190〜200mmを上回っている(新型RAV4の最低地上高は未公表)。都会的な姿を纏いながら、十分な悪路走破性を備えているあたりがニクい。なお、ホイールサイズは最大で19インチとなっている。

インテリア:デジタル化が進む新型RAV4、CX-5は運転に集中できる王道スタイル
続いて、インテリアを見ていこう。こちらも実に対照的だ。新型RAV4は水平基調のインパネで、上面を現行モデルから40mm下げることで見晴らしの良さを向上している。収納スペースやスイッチ類は整然と並べられ、視線移動が少なく操作がしやすい「アイランドアーキテクチャー」を採用。メーターがバイザーレスになっていたり、シフトレバーがトグル式のスイッチになっていたりと、先進感も感じられる。スマートフォンのワイヤレス充電のスペースがセンターコンソールの中央部(エアコン吹き出し口のすぐ下)に設けられているあたりも目新しい。
センターディスプレイは12.9インチの大型サイズで、グラフィックも精細でとても見やすい。また、ユーザーの好みに応じて、画面のさまざまなカスタマイズも可能となっているほか、音声認識の精度や速度も格段に向上しているという。インフォテインメント系は日進月歩の世界。この分野は開発年次が新しい新型RAV4の方に分がありそうだ。



CX-5のインパネは、「コクピット」と呼びたくなるような王道スタイル。マツダのこだわりであるドライバーを中心に操作系やメーター類を左右対称にしたデザインは、運転への没入感はピカイチだ。また、インパネ中央部やエアコン吹き出し口などにクロームの加飾をふんだんにあしらうなど、上質感の演出にも抜かりがない。一方でセンターディスプレイは10.25インチと現代の基準からするとやや小ぶりなサイズ(デビュー当初は7インチだった)。また、その操作を行うコマンダーコントロールスイッチもやや慣れが必要。このあたりは地道な改良が加えられているものの、2017年デビューということを感じさせられる部分ではある。


新型RAV4は荷室容量を従来の733Lから749Lに拡大したことも自慢。CX-5の荷室容量は505Lなので、新型RAV4が大きくリードしている。また、新型RAV4ではリヤシートの背もたれを前倒しした際の角度もよりフラットになり、使い勝手が向上している。CX-5では後席格納時に荷室の床面と段差ができてしまう。しかし、これはCX-5が後席の座り心地を重視した結果と見ることもできる。
パワートレイン:電動化が進む新型RAV4、内燃機関にこだわるCX-5
パワートレインは、電動化が進んだ新型RAV4、内燃機関にこだわるCX-5、といった印象だ。
新型RAV4では純エンジン車がラインナップから消えて、ハイブリッド(HEV)とプラグインハイブリッド(PHEV)が用意される。HEVはトランスアクスル、パワーコントロールユニット、電池等の改良により、モーター出力が向上。一方、PHEVはトヨタ初搭載の最新「第6世代ハイブリッドシステム」をベースにした新開発プラグインハイブリッドシステムを採用、電池の大容量化によってEV航続距離が従来の1.5倍となる150kmまで延伸したほか、急速充電機能も追加されている。エンジンはどちらも2.5L直列4気筒。駆動方式はAWD(四輪駆動)だが、北米ではHEVにもFWD(前輪駆動)モデルが初設定されており、こちらの日本導入も期待が募る。
日本仕様のスペックは未公表だが、北米仕様のシステム出力はHEVのFWDモデルが226馬力(先代比+23馬力)、AWDモデルが236馬力(同+17馬力)、PHEVは320馬力(同+18馬力)となっている。
CX-5は2.0Lガソリンエンジン(最高出力156PS/最大トルク199Nm)と2.5Lガソリンエンジン(最高出力188〜190PS/最大トルク250〜252Nm)と、2.2Lのディーゼルターボエンジン(最高出力200PS/最大トルク450Nm)を搭載する。モーターなどの電動機構は付随しない。すべてのパワートレインにFWDとAWDの両方が用意されており、選択肢の幅は広い。乗っていて楽しいのはディーゼルで、2000rpmという低回転から発生する450Nmという大トルクは圧巻だ。2.5Lガソリンエンジンも中〜高回転の伸びが爽やかで、ディーゼルとは違った楽しさがある。内燃機関ならではの味わいが魅力なのがCX-5だ。
とはいえ、次期型では電動化は必至。幅広い領域で高い熱効率を発揮する「スカイアクティブZ」エンジンが開発中で、これにストロングハイブリッドを組み合わせた新パワートレインが次期CX-5に搭載されることが公表されている。

先進安全技術:新型RAV4は新世代のトヨタセーフティセンスを初搭載
先進安全技術に関しては、CX-5もひととおりの機能が搭載されているが、新型RAV4は最新世代のトヨタセーフティセンスを全車に標準装備して一歩リードといったところ。走行中、ドライバーの運転が困難になった非常時に車両を減速・停車させる機能では、路肩へ寄せての停車が可能になったり、3D映像を実現したパノラミックビューモニターを搭載したりと進化を遂げている。これらはCX-5には備わらない機能だ。また、誤発信抑制機能も、CX-5では障害物を検知した場合に限られるが、新型RAV4では障害物の有無に関わらず、アクセルの踏みすぎ・踏み間違いを検知するとクルマの加速を抑制するといった違いがある。

総論:CX-5はコストパフォーマンスの高さが光る。新型RAV4の価格はどうなる?
CX-5はコストパフォーマンスの高さも魅力のひとつだ。2.0LガソリンのFWDモデルならなんと281万500円から購入が可能。2.5LディーゼルもFWDモデルが312万9500円〜、AWDモデルが336万500円〜というお値打ちぶりだ。
新型RAV4は日本で2025年度内の発売ということで、価格は未公表。現行モデルはガソリン車(AWDモデル)が323万7300円〜、HEV(AWDモデル)が385万9900円〜だが、新型ではお手頃なガソリン車の設定がなくなるし、HEVの価格も現行モデルより高くなるのは必至だろう。となると、ますますCX-5のコストパフォーマンスが際立ってくる。
比べれば比べるほど好対照な魅力を備えるこの2台。あなたのお好みはどちらだろうか。