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新型RAV4かハリアーか? 似て非なるトヨタSUVの選び方

2025年5月21日に発表された新型RAV4は、トヨタのグローバル戦略SUVとして6代目に進化を遂げたモデルであり、同社の中核を担うハリアーと並ぶ重要な存在である。
共にTNGA GA-Kプラットフォームをベースにしており、同じミドルサイズSUVというカテゴリーに属しながらも、方向性は大きく異なる。この記事では、新型RAV4と現行ハリアーを比較しながら、それぞれの魅力や違い、そしてユーザーにとっての最適解を探っていく。

■キャラクターの違いは? 都会派のハリアー、冒険志向のRAV4
まず注目すべきは、そのデザインとキャラクターだ。
新型RAV4は、アドベンチャー志向の明確なキャラクターを維持したまま、より精悍な顔つきに進化した。特に注目は、トヨタ最新の“ハンマーヘッド”デザインを取り入れたフロントマスク。ワイド感を強調しつつ、アウトドアギアとしてのタフさを視覚的に伝える造形だ。バンパー下部やホイールアーチに施されたブラック樹脂の使い方も、悪路を走る車としての実用性を物語る。
対してハリアーはあくまで“都会派SUV”としての立ち位置を貫いている。なだらかに傾斜したルーフラインと抑揚のあるサイドパネルがクーペライクな印象を与え、フロントグリルからリヤにかけてのラインは流麗かつ上品。乗る人にステータス性を感じさせるデザインだ。


■ボディサイズは? 街乗りかアウトドアかで選ぶべきは異なる
ボディサイズを比較すると、両者のキャラクターの違いがさらに明確になる。
新型RAV4:全長4,610mm × 全幅1,865mm × 全高1,690mm、ホイールベース2,690mm
ハリアー:全長4,740mm × 全幅1,855mm × 全高1,660mm、ホイールベース2,690mm
全長でハリアーの方が130mm長く、全高はRAV4が30mm高い。この差が生む実際の使い勝手にも違いがある。RAV4はよりコンパクトな全長と高めの全高によって、悪路での視界性や荷室高さの確保に優れる。一方、ハリアーは低重心な設計により、高速安定性や乗り心地の面で優位性を持つ。


■パワートレイン構成は? PHEVに見る方向性の差
パワートレインは、両車ともにハイブリッド(HEV)とプラグインハイブリッド(PHEV)を設定しているが、そのアプローチには違いがある。
新型RAV4は、ガソリンエンジン車を廃止し、HEV/PHEV専用モデルへとシフト。従来の2.5Lエンジンをキャリーオーバーし、ハイブリッドシステムはシリコンカーバイド半導体を採用したインバーターを搭載するなど、最新の第6世代にアップデートされていいる。PHEVモデルのシステム出力は320psと高性能だ。しかもDC急速充電(CCS規格)に対応し、EV航続距離は電池の大容量化で従来の95kmから150kmまで延伸。日常使いをEVだけでカバーできる仕様となっている。
一方のハリアーは、ガソリンモデルを維持したうえでHEVとPHEVを展開。PHEVモデルは現行RAV4と同等のシステム最高出力306ps、EV走行距離93kmとなっている。急速充電には非対応で、基本的には家庭用200Vでの普通充電を前提とするため、利便性や使い勝手の面では新型RAV4がリードしているといえる。

■内装と快適性は? 豪華さを選ぶか、実用性を選ぶか
新型RAV4は、ユーザーインターフェースの刷新により、より先進的な使い勝手を実現。新たに採用された12.9インチの大型ディスプレイと、SDVを本格展開する独自ソフトウェア「Arene(アリーン)」により、操作性と拡張性の両立を図った。Apple CarPlay/Android Autoはもちろん、OTAアップデートによる将来的な機能進化にも対応する。
また、リアシートのリクライニング機構やフルフラットな荷室設計、ルーフレールの標準装備など、アウトドア用途における実用性もきちんと押さえられている。


一方のハリアーは「馬の鞍」をモチーフにしたセンターコンソールを中心に、本革巻きステアリング、本木目調の加飾、調光パノラマルーフなど、上級志向のユーザーを強く意識した仕立てだ。静粛性にも優れ、滑らかな乗り味とともに、移動時間を「くつろぎの空間」として過ごすための工夫が随所に見られる。インテリア面でもハリアーの上質感が際立つ。

■価格は? 価格帯は重なっても、価値は異なる
気になる価格帯について、新型RAV4は現時点で正式価格が未発表である。従来モデルの価格帯から推察するに、400万円~600万円となるのではと予想される。
一方のハリアーは、以下のような価格帯となっている。
ハリアー(ガソリン):約330万円台〜
ハリアー(HEV):約400万円台
ハリアー(PHEV):約470万円〜
新型RAV4のPHEVは価格こそ高くなる見通しだが、急速充電対応、4WD性能、EV航続距離などを勘案すれば、その価値は高い。一方で、ラグジュアリーな移動空間や静粛性を求めるなら、ハリアーPHEVは十分に魅力的な選択肢となる。

■どちらを選ぶか? 生活スタイルが選択の鍵を握る
同じプラットフォーム、似たサイズ感、共にPHEV設定あり…。
それでもこの2台は決して“被って”いない。
RAV4は、アウトドアやレジャー用途が多く、積極的に遠出を楽しみたい人にこそ向いている。タフな外観、実用的な装備、そして走行性能に裏打ちされた万能性がその強みだ。
一方のハリアーは、主に都市部での利用や、高速道路での静粛な移動、同乗者の快適性を重視するユーザーに適している。所有する喜びや質感へのこだわりを大切にするなら、ハリアーは非常に満足度の高い一台となるだろう。
選ぶべきは、スペックではなく「自分のライフスタイルに合うかどうか」 その答えが、この2台のどちらを選ぶかを決定づける。
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