自動車業界が電動化へと突き進む中、メルセデスAMGはV型8気筒エンジンの脈動がまだ健在であることを改めて認識させているようだ。同ブランドは2024年には「C63」を直列4気筒ハイブリッド化したことで多くの批判を浴びた。しかし、AMGはV8エンジンを復活させ、少なくとも当面は廃止しないことが濃厚となった。

シーベ氏は海外メディアに対し、欧州連合(EU)の内燃機関禁止は2035年まで発効せず、アメリカでも内燃機関(ICE)の明確な規制がないため「V8エンジンはまだまだ現役だ」と語っている。同氏は、現行エンジンが何年続くかは明言していないが、驚くことにAMGは現状維持を狙っているだけではないようで、新世代のV8エンジンの開発に積極的に取り組んでいるようなのだ。

「Car and Driver」誌のインタビューで、シーベ氏は次世代V8エンジンが複数の将来モデルに搭載される可能性があると説明した。これにより、このV8エンジンが改良型C63に再び搭載されるのではないかという憶測が飛び交っている。

同氏は「私たちは次世代V8エンジンの開発の最中であり、既存のポートフォリオ、あるいは、もしかしたら新しいポートフォリオの中にも、V8エンジンを搭載できるポジションは数多くあると考えています」と彼は述べている。
最新の報道によると、メルセデスAMGの次世代V8エンジンについて、現行V8ファミリーのクロスプレーンクランクシャフトを廃止し、フラットプレーンクランクを採用するという。また、同社は48ボルトのマイルドハイブリッドシステムに対応したエンジンも開発しており、スターターモーターをギアボックスに組み込むことで、出力と効率性を向上させることができるという。

この戦略は、AMG GT 4ドアのようなモデルの寿命を延ばす可能性もありそうだ。AMGの完全電気自動車のパフォーマンスセダンが市場に登場すれば、GT 4ドアは静かに姿を消すと多くの人が予想されていたが、シーベ氏によると、少なくとも今のところはそうではないかもしれないというから驚きだ。

長い将来を考えれば、AMGの未来は間違いなく電気自動車にあることは確かだろう。しかし、CEOの話しからは、「官能のV8」エンジンを、たとえもう少しの間だけだとしても、さらに強化しようとしているように見える。





