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■ミニ・スカイラインと呼ばれたラングレーが2代目に
1982(昭和57)年6月1日、日産自動車の5代目スカイランイン(ジャパン)をダウンサイジングしたような小型ハッチバック「ラングレー」が、初めてのモデルチェンジを行ない2代目がデビューした。初代はスポーティさを意識して3ドアハッチバックのみだったが、5ドアハッチバックを追加して多彩なエンジンラインナップを用意した。

“愛のラングレー”のキャッチコピーでラングレー誕生
排ガス規制対応を乗り越えた日本の自動車メーカーは、販売の多チャンネル化を進めて車種ラインアップの拡大に乗り出す。日産も、プリンス系列店の小型車の充実を図るため、パルサーの兄弟車の開発を決断した。

このような経緯で1980年6月のこの日、「ラングレー(N10型)」はデビュー。“スカイラインの神話がミニになった”というキャッチコピーで、開発の前提としたのはスカイラインのイメージを生かすことだった。

フロントグリルに角型2灯のヘッドライト、ボンネット先端はブラックで縁取り、そしてリアにはブラックガーニッシュに大きなコンビランプが組み込まれた。パッと見の印象は、5代目愛称ジャパンの「スカイラインGT(C210系)」をダウンサイジングしたようなスタイリングだったが、ラングレーは小型の3ドアハッチバックだった。

パワートレインは、最高出力80ps/最大トルク11.5kgmを発揮する1.4L直4 OHVキャブ、92ps/11.7kgmの1.4l直4OHV EGI(燃料噴射)の2種エンジンと5速MTの組み合わせ、駆動方式はFFだった。翌1981年には、エンジンが1.5L直4 OHVに換装され、3速ATも追加された。
スカイラインをスケールダウンしたようなラングレー、それが奏功したのかは微妙だが、プリンス系店の人気モデルとなった。
バリエーションを増やして商品力強化を図った2代目
1982年6月のこの日、兄弟車パルサーと同時にフルモデルチェンジして2代ラングレー(HN12型)に移行した。

3ドアハッチバックのみだった先代から、5ドアハッチバックが追加された一方で、パルサーの兄弟車「リベルタビラ」に設定された4ドアセダンは用意されなかった。兄弟車のなかで、ラングレーはスカイライン・ミニと呼ばれたようにスポーティさをアピールしたのだ。
ボディサイズは、先代よりも全長15mm、全高30mmほど、ホイールベースは20mm拡大された。スタイリングは、先代の直線基調の台形デザインが踏襲され、パルサーとリベルタビラとはフロントグリルやリアコンビランプの違いで差別化された。

パワートレインは、先代の途中から換装された最高出力85ps/最大トルク12.3kgmの1.5L直4 SOHCキャブレター仕様と最高出力95ps/最大トルク12.5kgmのEGI仕様の2種エンジンと、5速/4速MTおよび3速ATの組み合わせ、駆動方式は初代同様FFだった。
車両価格は、標準グレードが102.3万円(3ドアハッチバック)/104.3万円(5ドアハッチバック)に設定。当時の大卒初任給は、12.5万円程度(現在は約23万円)だったので、単純計算では現在の価値で約188万円/192万円に相当する。ちなみに、1980年登場の「スカイライン20000GTターボ(HP)」は、標準グレードが165.8万円だった。

1983年5月には、115ps/17kgm発揮する1.5Lターボエンジンを搭載した「ターボGT」、さらに61ps/10.6kgmの1.7L直4 SOHCディーゼルターボも追加され、エンジンラインナップの拡充、さらに1985年には内外装のデザインが変更されるなど商品力強化が図られた。
スカイライン・ミニ化をさらに進めるも3代目で終了
1986年10月に登場した3代目ラングレーは、さらにスカイライン化を進めて4ドアセダンを設定。角型4灯ヘッドライトと大型のカラードバンパーに、リアにはスカイラインのトレードマークとなっている丸型4灯コンビを装備。インテリアについても、スカイラインと同形状の3本スポークステアリングが装着され、まさにスカイライン・ミニだった。

3代目ラングレーは、ハッチバックよりも新たに設定されたセダンに人気が集中、特にスカイラインをイメージしたツートンカラーのGTグレードが人気だった。“対向車ですれ違う時、一瞬ラングレーかスカイラインか分からない”という話が出たそうだ。

プリンス系店の小型車として確固たる地位を築いたラングレーだったが、日産は派生車が増えすぎたことで車種整理を実施。モデルチェンジとともに、ラングレーはリベルタビラとともにラインナップから消えて、パルサーに統一された。

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人気モデルの弟分に相当するクルマが設定されるのは過去にもよくあった。安価で入手しやすい、扱いやすいといったメリットはあるが、“柳の下の2匹目のドジョウを狙う”といった安直なイメージがあり、本物志向のファンからは敬遠される傾向があるようだ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。