ジムニー(JA71C)はご存知のように旧軽自動車規格で小さい。では、どのくらいジムニー(JA71C)には積めるか? というとルーフに木造のカナディアンカヌーを積み、ラゲッジスペースに折りたたみ式のファルトボートとエアー式のパックラフトを積むことができる。ただし、キャンプ用品はほぼ入らない。そこで、小さくてかさ張らないキャンプ用品を構築することになる。
TEXT & PHOTO◎伊倉道男(IKURA Michio)
ラケッジスペースのほとんど占めてしまうのがこのファルトボートの船体布。フレームとパドルは助手席に積み、シートベルトを掛けて移動する。運転席以外はもうほとんどスペースはない。 このファルトボートとは骨組みを組み、船体布を被せる組み立て式のカヤックだ。クルマでいうとパイプ鋼管フレームに近い。現在のファルトボートはアルミ製の骨格がほとんどで、20kg以下に納まっていると思う。だが、この舟はクレッパー社(ドイツ)の木製フレームのファルトボートだ。船体布は特別仕様で、さらに強化されているので重い。全長は5mを越え、計ってはいないが、重さは40kgを越えるだろう。
ファルトボートとはこの骨組みに船体布を被せる組み立て式のカヤック。現在販売されtれいるファルトボートは、アルミ製の骨格がほとんどだ。この舟はベーリング海を渡ったクレッパー社(ドイツ)の木製フレームのファルトボート。
トップの写真のテントは、ドーム式のゴアテックス。軽く小さくなる。ICI石井の山岳テント。終売していたが最近再販されるようになった。価格も当時は約10万円もしたが、いまは7万円以下に設定されている。軽量を目的としたアウトドアなら、ひとつは持っていたいテントである。
さて、小さく軽くしたいナンバーワンが調理器具だ。メインは中国製のチタン製のOD缶を使うバーナーを選ぶ。これ、約25gと軽量でまた小さい。パワーは2700W。着火装置はつかない。このバーナーが小さくできたのは、チタンが熱伝導率が低いことを利用して、バーナー部からガスカートリッジへの熱の伝わりが抑えられてるからだと思う。だが過信はいけない。あまり長時間使うときは、ガスカートリッジの温度は気にした方が良い。
この薄いゴトクを展開してみる。オープン、クローズドの精度はかなり高い。一時売られていた中国製、廉価な鉄製のバーナーとは雲泥の差である。もしかするとこのあたり、軍事用の技術が生かされているのかもしれない。中国の進歩を無視してはいけないと、今更ながら感じてしまう(写真左)。付属のグリーンのパッキンはバーナー本体に取りつける物ではなく、どうやらOD缶に取りつけるものらしい。このあたりの説明はされてはいない。紛失しやすいので、パッキンをOD缶に装着したまま破棄しないように注意が必要だ。試しにこのパッキンを使わない状態でOD缶を装着してみたが、ガス漏れはしなかった。
点火してみると心臓部のバーナー部は小さいので、炎が1点に集中してしまうが燃焼は良好である。
前置きが長過ぎだが、この小さなチタン製バーナーを中心に軽く、小さくをテーマに調理器具を構築してみる。0.5合を炊飯して、あとは焼く、煮るだ。 ダイソーメスティン VS チタン製品、2種類での構築。このあたりの調理器具の選択は、こだわり、お気に入りのブランドが各自あると思うので、一例として。このいかに小さくまとめるか(スタッキング)! はアウトドアの楽しみかたのひとつである。
チタン製バーナーに合わせて、「軽く、小さく」をテーマに調理器具を構築してみる。0.5合炊飯。焼く、煮る。ダイソーメスティン VS チタン製品。
チタン構成は大小2個セットになっているチタン製の飯ごうと、焼く担当のチタン板。合わせて238gで納まる。飯ごうは浅い方で炊飯、深い方で煮るを担当させればよい。蓋はひとつ付属。別売がないのが残念である(写真左)。もうひとつは「ダイソーシリーズ」で構成。ミニメスティン、ミディアムメスティン、そしてミニ鉄板。これらをミディアムメスティン内に収納する。重さは452g。重いのはミニ鉄板だ。これを省くには、メスティンの蓋をフライパンとして使えば良い。だたしアルミ製なので耐久性はかなり落ちてしまうと思う。また、収納時に取っ手が邪魔になるなら、外しての収納も可能だ。
作る料理は3種類。夕飯に一品豪華という訳ではない。3食をそれなりに楽しみたい。 もっとも手をかける料理は豚汁と豚の焼き肉。人参、ごぼう、里芋、タマネギ、豚肉。焼き肉の調味料は粉末を使うと、輸送時に液ダレの心配がいらないので助かる。豚汁の味噌は携帯しやすいインスタントのみそ汁を使う。こちらも携帯性は抜群だ。あとは食材を切って煮る、焼くだ。調理は手間を掛けずにシンプルに。味噌の香りが飛んでしまうかもしれないが、みそ汁の素は先に入れる。香りも大切だが、具材にしみ込む味も大切。
遅めのランチはダイソーメスティンセットを使い、豚汁と豚焼き肉。人参、ごぼう、里芋、タマネギ、豚肉(写真左)。豚汁の味付けは携帯しやすいインスタント味噌汁を使う(写真中央)。味噌の香りが飛んでしまうかもしれないが、みそ汁の素は先に入れてしまう。
ダイソーのミニ鉄板。大きさは13.2cm×8.4cmとかなり小さい。だが、厚みがあり、重量があるので心配していた横ずれは少ない。ただ、やはり小さいので焼くときには気を遣う。多少の容積と重さが我慢できるなら、小さなスキレットの方がはるかに使いやすいだろう。
効率を上げる為に、ミニメスティン(下)で炊飯をしながら、上に豚汁のミディアムメスティンを載せる。重しの代わりにもなる。炊飯が終わったら、ご飯は蒸らし、その間に豚汁を加熱する。豚汁ができたら、後は鉄板で豚肉を焼きながら豚汁も楽しむ。豪華「豚汁付焼き肉定食」のできあがり。
2食めは超簡単シリーズ。セブン-イレブンのおだし染みるおでんと炊飯で済ます。あのレジ前のおでん売り場がなくなり、いまはレトルト食品のように、2種類ほどパック販売されている。これは保存にも携帯にも好都合。おでんは飯ごうの大きい方に移し加熱するだけだ。
簡単シリーズはセブン-イレブンの「おだし染みるおでん」と炊飯。 しつこいようだが、チタン製の調理器具はチタンの熱伝導の低さで苦戦する。チタン製の調理器具で炊飯をする場合、沸騰するまでは混ぜながら熱を拡散させた方が上手く炊飯ができる。
少し炊飯で焦がしてしまったが、お焦げもまた楽し、ということで。
3食目は牛タン定食。チタン製の鉄板、飯ごうセットを使う。0.5合なら小さな飯ごうで、1合以上なら大きな方を使う方が良い。牛タンは焼く前にレモンをかけておく。その方が焦げつきにくい。
炊飯が終わり、蒸らしたら焼き肉スタート。
1度に2枚焼くことができるので、返したら次の牛タンを載せる。焼き肉一枚精魂。これはたとえ大きな鉄板の焼き肉屋さんでも、僕のスタイル。
アウトドアの食事は、場所を変えるだけでも楽しいもの。炎はガスでも、アルコールでもガソリンでも、もちろん薪もだが、安らぎを運んでくれる。人に見せる料理ではないけれど、人と比べることもなく、楽しめば良いだけだ。冬はそんな季節だ。
今年も残り少なくなりました。世界的に大変な時代となりましたが、良い年をお迎えくださいませ。2022年もよろしくお願いします。
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