
会見には
ENEOS:藤山優一郎氏常務執行役員 次世代燃料部・水素事業推進部・中央技術研究所 管掌
トヨタ:中嶋裕樹CTO
マツダ:梅下隆一CTO
SUBARU:藤貫哲郎CTO
日産モータースポーツ&カスタマイジング(NISMO):木賀新一専務執行役員
が参加した。
ホンダレーシングは、欠席だったが、「2025年の使用は見送るが、2026年も継続されていたら、参加したい」とコメントを寄せた。

今回の低炭素ガソリンは、植物由来のエタノール(バイオエタノール)は、トウモロコシやサトウキビなどに含まれるグルコースならびに草本系直物植物やパルプ、古紙などを原料とするセルロースを発酵させて製造されている。現状となる植物等が大気中のCO₂を吸収することから、化石燃料と比べて炭素排出量の少ない低炭素燃料だ。

このバイオエタノールを既存のガソリンに混合したものがエタノール混合ガソリンであり、自動車分野で注目されている次世代低炭素ガソリンである。
2025年2月に閣議決定された第7次エネルギー基本計画でもその期待が示されており、官民が協力して導入に向けた環境整備が進められている。
ENEOSは従来からエタノール20%混合ガソリン(E20)の品質(JIS規格)が定義されていないことや国内外での技術情報が不足しているという課題に取り組んできた。
バイオエタノールは、蒸発しやすく高オクタン価(ガソリンが89-100なのに対してエタノールは約110)で異常着火がおきにくい、着火後の燃焼・分解が速いという長所がある一方、容量発熱量が小さいという課題もある。またE20といってもガソリンとエタノールを単純に混ぜ合わせればいいというものでないという。適切な品質のガソリンに仕上げるには相応のノウハウが必要だ。
今回スーパー耐久シリーズでのE20供給を通じて自動車メーカーと燃料メーカーが協力して過酷なレース条件下での開発と実証を目指す。ENEOSは、供給先チーム(トヨタ、スバル、マツダ、NISMO)とSTMO(一般社団法人スーパー耐久未来機構)の協力を得ながら低炭素燃料技術の進展に努めるという。


トヨタ:TOYOTA GOZOO ROOKIE Racing GR86 Future concept(28号車)
スバル:HIGH PERFORMANCE X FUTURE CONCEPT(61号車)
マツダ:MAZDA SPRIT RACING RS FUTURE CONCEPT(12号車)
NISMO:今回は使用を見送るが、必ずやこの燃料を使っての参戦をお約束する(木賀氏)
の各社がスーパー耐久シリーズ第3戦 NAPAC 富士24時間レースからE20燃料を使用する。
「レースで走らせると思いもよらないような課題が出てくる。クルマを鍛えるというのにレースはものすごく良い機会。(SUBARU藤貫氏)
「E20までは量産車でも問題なく使えるようにしているが、過酷なレースの場ではセッティング変更、バルブシート等の変更が必要で、レースを通じてデータを蓄積し検証していく」(トヨタ中嶋氏)
など共挑ならではコメントが続いた。
将来のカーボンニュートラル社会の実現のために必要なカーボンニュートラル燃料の開発にスーパー耐久のレースの現場が使われるという、ワクワクするプロジェクトである。