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オーストラリアへの輸出も狙う「新型FFM」
現在、海上自衛隊への配備が進んでいる多機能護衛艦(FFM)「もがみ」型のアップグレード版が「新型FFM」である。既存の「もがみ」型は基準排水量3900トンで、海自の主力である汎用護衛艦(DD)より、ひとまわり小型。日本沿岸・周辺海域における平素からの警戒監視を担う艦として、現在7番艦まで就役している。

新型FFMは何がアップグレードしているのか? 武装ではVLS(ミサイル垂直発射装置)のセル数(発射管数)が倍増し、「もがみ」型16セルに対して新型FFMは32セルを備える。また、「もがみ」型のVLSが対潜水艦用の07式魚雷投射ロケットしか搭載しないのに対して、新型FFMは新型の艦対空ミサイル「23式艦対空誘導弾」や、長射程の対艦・対地ミサイル「12式地対艦誘導弾能力向上型(艦発型)」が搭載され、戦闘力が大幅に向上する。また、「もがみ」型の対機雷戦ソナーに魚雷警戒能力を加えるという話も伺った。これにより「いずも」型など大型艦の直衛艦としての役割も期待できるだろう。

また、新型FFMはオーストラリア海軍の次期フリゲート選定候補ともなっており、官民一体となった売り込みが続いている。もし、採用を勝ち取った場合は最初の2~3隻は日本で建造されることになるという。
将来戦闘機を睨んだ次期練数機導入
三菱重工ブースで目立っていたのが今回初公開された次期練習機「T-X」の模型だ。現在、航空自衛隊では練習機としてT-4を使用しているが、同機の就役から40年近くが経過しており、最新のF-35戦闘機や将来戦闘機を考えたとき、搭載システムや性能面の発展にともない新たな練習機が必要となっている。

こうした変化のなか今回のDSEIジャパンでは、次期戦闘機計画「GCAP」のパートナーであるイタリアのレオナルド社や、韓国のKAIも練習機の模型を展示して日本の次期練習機の座を伺う姿勢を見せていた。

装甲車の車体から自爆ドローンが!?
さて、三菱重工のブースでは89式装甲戦闘車に似た車両のCGが発表されていた。こちらはUGV(無人地上車両)であり、車体後部の乗員用キャビン部分からアメリカの自爆ドローン「スイッチブレード」ような無人機が射出されるというギミックが目を引いた。

UGVとしては大型の車体であり、オプションで乗員が搭乗できたり、隊員輸送なども考えられたりしているのかもしれない。ただ、担当者によればこちらはあくまでコンセプト・モデルであり、そのまま実現するものではないとのことだった。少子化により隊員募集が厳しさを増すなかで、自衛隊の無人機活用はますます重要になっており、空や海に続いて、陸でも偵察や輸送などの用途で各種の無人機を試験的に導入している。こうした大型車両UGVの動向も気になるところだ。