目次
ホンダの中国向け電動車ブランド「烨(Ye:イエ)」の第二弾モデルが「GT」
世界最大規模のモーターショー、オート上海2025(通称:上海モーターショー)。年間販売台数が3000万台を超える(日本は約450万台)“ドル箱市場”の中国だが、近年は地場メーカーの勢いに押され、日本メーカーはタジタジという状況なのはご存知のとおりだ。しかし、日本勢もただ指をくわえて見ているわけではない。ショー会場の現場では、反転攻勢の体制が着々と整いつつある空気を感じ取ることができた。
ホンダも中国市場を諦めていない日本メーカーのひとつだ。昨年、中国向けの電動車ブランド「烨(Ye:イエ)」を立ち上げたが、上海モーターショーではその第二弾モデルとなる「GT」を発表した。
ちなみに、ホンダは中国で広州汽車と東風汽車、2メーカーとの合弁会社を展開しており、それぞれが「広汽ホンダGT」「東風ホンダGT」として、フロントマスクを差別化したモデルをラインナップする。


「GT」はいかにも精悍なルックスが目を惹くハッチバックモデルだ。格納式リヤスポイラーやブレンボ製ブレーキキャリパーといった装備が与えられていたり、ショー会場にはレッドブルF1のマシンが展示されていたり、プロモーションビデオではRB F1チームのリアム・ローソン選手が登場してGTを走らせていたりと、スポーティさの演出には余念がなかった。
中国企業との協業を加速して、より現地のニーズに沿ったモデルを開発していく
また、ホンダは「GT」の発表に合わせて、中国における今後の開発計画を明らかにした。ひとつは、自動運転技術に長けた中国・モメンタと共同開発を行なった先進運転支援技術の搭載だ。中国では高精度地図に依存せずに目的地までの運転支援を行なうエンド・ツー・エンド(E2E)が広まりつつあるが、ホンダもその機能を「GT」シリーズ以降の機種へ展開する予定だ。
ふたつ目は、DeepSeek(ディープシーク)のAI技術の活用で、より自然な対話を通じて快適な空間を実現するという。こちらは「GT」をはじめ烨シリーズ・全車に適用予定で、2025年春に発売された「烨P7」「烨S7」にもOTA (Over-The-Air) でアップデートする準備が進められている。

三つ目は、CATL(寧徳時代新能源科技)との提携を基にしたプラットフォームの新開発だ。烨シリーズの第三弾モデルではバッテリーを車体構造の一部として統合するCATLお得意のCTB(セル・トゥ・ボデイ)を採用し、バッテリーもリン酸鉄リチウムイオン(LFP)をホンダのEVで初搭載する。
日本メーカーが品質・信頼性・低燃費を武器に中国市場で優位に立っていた時代は過去の話。今は、いかに中国企業の技術を取り入れながら、スピード感をもって現地のニーズに沿ったニューモデルを開発していくか。これが、ホンダのみならず中国での反転攻勢を目論む日本メーカーに共通する取り組みとなっている。
