ダイハツ新型「ムーヴ」、現地写真たっぷりで詳細解説! リヤスライドドアや注目グレードの違いも網羅

ダイハツ工業(以下、ダイハツ)は2025年6月4日に新型軽自動車「ムーヴ」を発表した。2014年以来、久しぶりのフルモデルチェンジを遂げて7代目となった新型ムーヴは、なんと言ってもリヤにスライドドアを採用したのが大きな目玉だ。東京国際フォーラム(東京都千代田区)で開催された発表会に展示された車両の写真を見ながら、新型ムーヴの特徴をご紹介していこう。

リヤスライドア初採用の新型ムーヴ、グレードは4種類

新型ムーヴのグレードは、下から「L」「X」「G」「RS」の4種類。「L」はスライドドア軽乗用車最廉価、「X」は機能と価格のバランスがに優れたメイングレード、「G」は華やかさをプラスした上級グレード、「RS」は上質さと走りにこだわるターボグレード、という位置付けだ。

ダイハツ・ムーヴ X
ダイハツ・ムーヴ X
ダイハツ・ムーヴ RS
ダイハツ・ムーヴ RS

新型ムーヴ 車両本体価格

L:135万8500円(2WD)/148万5000円(4WD)
X:149万0500円(2WD)/161万7000円(4WD)
G:171万6000円(2WD)/184万2500円(4WD)
RS:189万7500円(2WD)/202万4000円(4WD)

エクステリア:カスタムが消えて標準モデルに一本化

新型ムーヴのデザインコンセプトは「ムーヴらしい“動く姿が美しい”端正で凛々しいデザイン」。フロントフェイスはグリルとヘッドライトとの一体感が色濃く、先代よりも先進感がひと際強調されたもの。一方、後ろ姿は初代以来の伝統である縦型テールランプを採用し、ムーヴらしさアピールしている。

なお、初代では「裏ムーヴ」というキャッチフレーズで人気を博して以来、標準モデルと二本柱を構成していた「カスタム」は新型では存在しない。

その代わり(?)、「RS」と「G」ではフロントグリルがガンメタリックとメッキモールを組み合わせたコンビネーションタイプとなっていたり、ピラーをブラックアウトしたりで差別化を図っている。

ダイハツ・ムーヴ X
ダイハツ・ムーヴ RS
ダイハツ・ムーヴ RS
「X」と「L」のホイールは14インチスチール+フルキャップ。
「RS」のホイールは15インチアルミ(切削タイプ)。なお、「G」は14インチアルミホイールを履く。

インテリア:電動パーキングブレーキ採用などで使いやすさが向上

運転席に座ってみると、ピラーの傾斜とヒップポイントの位置が最適化されたことにより、見晴らしが良いことがわかる。インパネデザインも奇をてらったところはなく、あるべきところに必要なものが配置されている、といった印象だ。

また、ドライバーの立場でもうひとつうれしいのは、電動パーキングブレーキの採用だ。スイッチによる操作のみならず、シフト操作に連動してパーキングブレーキが作動し、アクセル操作によって解除される機能も備わっており、快適なドライブにひと役買ってくれること間違いなしだ。

ダイハツ・ムーヴ X
ダイハツ・ムーヴ Xのメーターは一眼式。
ダイハツ・ムーヴ RS
ダイハツ・ムーヴ RSのメーターは回転計が備わる二眼式。
ステアリングコラムの左脇に電動パーキングブレーキスイッチを配置。「HOLD」と書いてあるのはオートブレーキホールド機能スイッチ。

シート:グレードに応じてグレーとネイビーの2色を用意

シートは上品で落ち着いた色合い・素材を用いることで「仕立ての良さ」を表現。また、ドアアームレストにはシートと同様の色と素材をあしらい、インテリア全体の統一感を醸し出している。

「RS」と「G」では、インパネにシルバー塗装やめっき加飾をあしらうほか、シート表皮もシルバーステッチ入りの付きのネイビータイプを採用するなど、より硬派な雰囲気に仕立てられている。

ダイハツ・ムーヴ X
ダイハツ・ムーヴ X
ダイハツ・ムーヴ RS
ダイハツ・ムーヴ RS
前席の中央は格納式のアームレストが備わる。
蓋を開けると、小物入れスペースが出現する。

リヤスライドドア:狭い場所での乗り降りでやっぱり便利!

さて、新型ムーヴの最大のトピックと言えば、リヤスライドドアの採用だ。これまでは、同門のタントやスズキ・スペーシア、そしてホンダN-BOXなどが属する、背の高いスーパーハイト系はスライドドア、それよりも背が低いムーヴやスズキ・ワゴンR、ホンダN-WGNなどが属するハイト系はヒンジドアといった具合に、はっきりと棲み分けができていた。

ところが、「リヤスライドドアが欲しいけれど、価格が高めなタントは手が届かない。もう少しリーズナブルにリヤスライドドアが手に入らないだろうか」という声が多かったようだ。また、ハイト系のリヤスライドドア車といえばムーヴキャンパスが存在するが、あちらは女性ユーザーに特化した可愛い系路線。より幅広いユーザーを対象とすることと、さらには販売実績がスーパーハイト系に押されがちなハイト系の新規ユーザー開拓という使命を担い、ムーブにスライドドアが採用されることとなったわけだ。

リヤスライドドアは最廉価の「L」を除き、電動スライド機構(助手席側)が標準装備。運転席側の電動スライド機構は「RS」で標準、また「X」「G」ではオプションで装着することが可能だ。

ダイハツ・ムーヴ RS
ダイハツ・ムーヴ RS

リヤスライドドアには、降車時に予約しておくと、次にクルマに近づいた時に自動で開錠してドアオープンする「ウェルカムオープン機能」や、ドアノブのボタンを押して施錠を予約するとスライドドアが閉まり切るのを待たずにクルマを離れられる「タッチ&ゴーロック機能」も用意されている。これらの機能も「RS」で標準、「X」「G」ではオプションだ。

電動スライドドアはインパネ右側のスイッチでも開閉操作が可能。開閉スイッチの上にある時計マークが、「ウェルカムオープン機能」の予約スイッチ。
開けた状態でもサイドの張り出し量が少ないのは、スライドドアの大きなメリットのひとつ。

エンジン:自然吸気とターボを用意。燃費はどちらも10%向上

新型ムーヴのエンジンはというと、「L」「X」「G」の3グレードに自然吸気エンジン(52PS/60Nm)、「RS」にターボエンジン(64PS/100Nm)を搭載する。先代に対して燃費性能は10%向上し、2WDのNAで22.6km/L、同じく2WDのターボで21.5km/L(いずれもWLTCモード)をマークする。

また、「RS」にはトランスミッションにD-CVTが組み合わされる。D-CVTは、低速走行時はベルトのみ、高速走行時はベルトとギヤの両方で駆動するというスプリット機構が特徴。高速道路や山道でも力強い加速が味わえるほか、ステップシフトの採用によって走りの気分も盛り上げてくれる。

ダイハツ・ムーヴ Xの自然吸気エンジン
ダイハツ・ムーヴ RSのターボエンジン
新型ムーヴのトランスミッションは全車CVT。「RS」のみ、D-CVTを搭載する。

ユーティリティ:ラゲッジルーム床下に便利な収納ボックスを装備

充実したユーティリティ装備は、歴代ムーヴの長所だ。新型ムーブももちろんそれを受け継いでおり、後席は左右独立してロングスライド(240mm)が可能。また、ラゲッジルームはボードの下には、シューズや小物などの収納に活躍しそうなアンダーボックスも用意されている。

ラゲッジルーム(通常時:リヤシート位置は最後端)
ラゲッジルーム(最大時)

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「ダイハツ新型「ムーヴ」、現地写真たっぷりで詳細解説! リヤスライドドアや注目グレードの違いも網羅」の1枚めの画像
ラゲッジルームのボードを開けると…

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「ダイハツ新型「ムーヴ」、現地写真たっぷりで詳細解説! リヤスライドドアや注目グレードの違いも網羅」の2枚めの画像
深さのあるアンダーボックスが備わる。

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「ダイハツ新型「ムーヴ」、現地写真たっぷりで詳細解説! リヤスライドドアや注目グレードの違いも網羅」の3枚めの画像
ボードはフックで開けた状態のまま固定することが可能。

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「ダイハツ新型「ムーヴ」、現地写真たっぷりで詳細解説! リヤスライドドアや注目グレードの違いも網羅」の4枚めの画像
リヤシート左右分割ロングスライド

軽自動車とはいえ、最新モデルらしく先進安全装備も充実。ダイハツの予防安全機能「スマートアシスト」は、ステレオカメラの搭載によって衝突回避支援ブレーキは夜間歩行者や追従二輪車の検知にも対応したほか、検知距離や対応速度の向上を実現。全車速追従機能付きのACC(アダプティブクルーズコントロール)も「RS」に標準装備される。

デュアルカメラ

新型ムーヴの月間販売目標台数は6000台。5月12日から販売予告が始まっていたが、現在までに想定の2倍の受注を集めているという。多くの人が、新型ムーヴの登場を待ち焦がれていたことの証拠だろう。

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