ダイハツ新型「ムーヴ」のおすすめグレード、コスパ重視で選ぶなら「X」だと言える理由とは?

ムーヴ X
思えば、ダイハツの認証不正問題が表沙汰になった2023年4月から同ブランドの新型車は発表されていなかった。認証不正が発覚してから初めての新型車となるのが7代目ムーヴ…というわけで、大手メディアの注目度も高いようだ。そしてユーザー目線でいえば、エントリーグレードで135万8500円というスライドドア車として驚くほど廉価であることが気になっているのではないだろうか。

PHOTO&REPORT:山本晋也(YAMAMOTO Shinya)

エンジンは2種類、4グレードすべてにFFと4WDを用意する

手前がムーヴ X、奥はムーヴ RS

軽ハイトワゴン・カテゴリーの中心的モデルである「ムーヴ」にまで後席スライドドアを採用するというダイハツの商品企画には「後席ドアが、ヒンジドアなのかスライドドアなのかよりも、ムーヴという車名に市場が求める価格帯であることが重要」という判断があったという。

たしかに、新型ムーヴのエントリーグレード「L」のメーカー希望小売価格は2WDで135万8500円、4WDでも148万5000円と手頃な設定となっている。ダイハツの軽商用1BOX「ハイゼットカーゴ」の乗用仕立てグレード「クルーズ」の2WD・CVTが139万7000円であることを考えると、同社のスライドドア車ラインナップにおいても、新型ムーヴの廉価ぶりは際立っている。

もっとも、最上級グレード「RS」の4WDになると202万4000円のメーカー希望小売価格を掲げる。新型ムーヴの中で唯一のターボエンジン搭載グレードとはいえ、「ムーヴで200万円オーバーはちょっとなあ」と感じるユーザーも少なくないだろう。

そのほか中間グレードの「X」、「RS」と同じフロントグリルなどを与えられたNAエンジンの「G」という4つのグレードが用意される。全グレードで2WD(前輪駆動)と4WDを選ぶことができるラインナップとなっている。

●新型ムーヴ メーカー希望小売価格(消費税込み)
L:135万8500円(2WD)/148万5000円(4WD)
X:149万0500円(2WD)/161万7000円(4WD)
G:171万6000円(2WD)/184万2500円(4WD)
RS:189万7500円(2WD)/202万4000円(4WD)

「X」で十分に思えるが電動パーキングブレーキはつかない

ムーヴ X ボディカラーは新色「グレースブラウンクリスタルマイカ」

日常的に長距離や高速移動が多く、ターボエンジンが必須というのであれば新型ムーヴのグレード選びで迷うことはないだろう。ターボエンジン搭載グレードであり、ACCを標準装備する「RS」一択となる。あえていうならば、駆動方式で迷うくらいだが、それも主な使用エリアが降雪地かどうかで決まってくるはずだ。

「L」「X」「G」に搭載される自然吸気エンジン(52PS/60Nm)
「RS」に搭載されるターボエンジン(64PS/100Nm)

購入時のグレード選びにおいて迷うのはNAエンジン車のほうだ。

価格設定からも感じられるように、それぞれのグレードで明確に価格帯がわかれている。そして、この価格差は装備の違いにつながっている。

たとえば最廉価グレード「L」はマニュアルエアコンとなるし、新型ムーヴで唯一スマートキーを標準装備していない。後席スライドドアについても左右ともに手動タイプとなる。明らかに装備を省くことで、この価格を実現している。

ひとつ上の「X」になると、オートエアコンやスマートキーが備わり、後席スライドドアについては助手席側がワンタッチオープン機能付きパワースライドドアになる。しかし、メーターは速度計が中央に置かれた単眼タイプで、パーキングブレーキは足踏み式となり、フロントグリルはブラックタイプとなるなど、内外装の雰囲気は「L」グレードと同等だ。

NAエンジンの最上級グレード「G」は、14インチアルミホイール、メッキモール付きフロントグリル、サイドストーンガード、LEDフォグランプなどで外観をグレードアップ。インテリアについても、タコメーターの備わる二眼デザインとなり、インパネのシルバー加飾やオートホールド付きEPB(電動パーキングブレーキ)も装備される。

単純化すると、「G」グレードはパワートレイン以外が「RS」と同等の装備を持つ内容となっている。ただし、後席スライドドアについては「RS」が両側パワースライドドアなのに対して、助手席側のみパワースライドタイプになるという違いがある。

リヤスライドドアは、「RS」のみ両側電動が標準。「X」「G」は左側電動が標準、右側電動はオプション。

市街地走行において信号待ちで役立つ“オートホールド付きEPB”を必須と考えるユーザーであれば「G」グレードを選ぶことになるだろうが、パーキングブレーキが足踏み式でも気にならないのであれば「X」グレードでも実用上の違いは、ほとんどないといえる。「G」と「X」の20万円を超える価格差からすると、「X」のほうがコスパという視点では選びたくなる。

そして、新型ムーヴの実車を見て感じたのはボディカラーによる上質さの演出だ。新色「グレースブラウンクリスタルマイカ」を選べば、中間グレードの「X」であっても、十分に上級グレードのような雰囲気をまとうことができそうだ。グレースブラウンクリスタルマイカは2万2000円高の有償カラーとなるが、新型ムーヴに合わせて作られた新色と聞けば、イチオシのボディカラーといえそうだ。

ムーヴ X

ダイハツ・ムーヴ 主要スペック

ムーヴ RS
ムーヴ RS(2WD)
全長×全幅×全高:3395mm×1475mm×1655mm
ホイールベース:2460mm
車重:890kg
サスペンション:Fストラット式 Rトーションビーム式
駆動方式:2WD
エンジン
形式:0.66L直列4気筒DOHCターボ
排気量:658cc
最高出力:64ps(47kW)/6400rpm
最大トルク:100Nm/3600rpm
燃料:レギュラー
トランスミッション:CVT
タイヤサイズ:165/55R15
車両本体価格:189万7500円

ムーヴ X(2WD)
全長×全幅×全高:3395mm×1475mm×1655mm
ホイールベース:2460mm
車重:860kg
サスペンション:Fストラット式 Rトーションビーム式
駆動方式:2WD
エンジン
形式:0.66L直列4気筒DOHC
排気量:658cc
最高出力:52ps(38kW)/6900rpm
最大トルク:60Nm/3600rpm
燃料:レギュラー
トランスミッション:CVT
タイヤサイズ:155/65R14
車両本体価格:149万0500円

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著者プロフィール

山本 晋也 近影

山本 晋也

1969年生まれ。編集者を経て、過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰することをモットーに自動車コ…