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観客も年々増加している富士24時間

今年も5月30日(金)~6月1日(日)に富士24時間レースが開催された。24時間レースといえば、ル・マン24時間(フランス)/スパ24時間(ベルギー)/デイトナ24時間(アメリカ)、そしてニュルブルクリンク24時間(ドイツ)などがすぐに思い浮かぶ。
富士24時間レースは、じつは1967年に日本初の24時間耐久レースとして開催されている。67年、68年の2年連続で開催されたあと、2018年にスーパー耐久シリーズの一戦として復活した。
24時間レースとしては十勝24時間レースが1994年~2008年に開催されていたが、2018年まで10年間、24時間レースは開催されてこなかった。
24時間レースを開催するには、かなりのハードルがあるのは想像に難くない。サーキット近隣住民との調整、トイレや休憩場所、食事などのサーキットインフラの整備も高いレベルに引き上げなくてはならないし、観客の宿泊施設の整備も必要だ。警備やセキュリティの問題もある。
そんな課題をクリアして24時間レースを開催し続けている富士スピードウェイとSTMO(スーパー耐久未来機構)の努力は賞賛に値するだろう。
前置きが長くなってしまったが、今年の富士24時間レースも多くの観客で賑わっていた。
観客数は
5月30日(金) 曇り 5700人
5月31日(土)雨/曇り 25200人
6月1日(日)雨/曇り 22600人
トータルで述べ5万3500人の観客を集めた。近年の観客動員は次の通りだ。
2022年:延べ3万8100人
2023年:延べ4万7000人
2024年:延べ5万4700人
2025年:延べ5万3500人
今年は、若干観客を減らしたが、これは天候によるものと言っていい。

夜のサーキットが楽しい!



富士24時間レースに取材に行くと、「(おそらく)日本で一番観戦が楽しいレースだろうな」と思う。取材でなく、観客としてサーキットに来たらきっと楽しいだろうな、と思うのだ。24時間レースを24時間、集中して観ている観客はいない。だからレース以外のコンテンツが重要になる。


富士24時間レースの最大のコンテンツはおそらく「キャンプとBBQ(バーベキュ-)」だろう。サーキット中にテントが張られ、家族連れ、友人同士で楽しく語り合う。日が暮れてからは、テントの前でBBQだ。じつに楽しそう。テントはコースが見えない場所(一コーナーの裏側など)にもびっしりと張られていて、レース観戦よりもキャンプを楽しみに来ている人も多いのだろうと思う。
サーキットでキャンプをするという体験はきっとワクワクするものだろうし、そこに子どもたちを連れていけるのは非常に有意義だと思う。有意義なのはキャンプを主催(!)するお父さん・お母さんにとってだけでなく、自動車産業にとっても、だ。


サーキットにはそこかしこに楽しめるコンテンツが用意されていて、夜になれば花火も上がる。一度キャンプ観戦した人のリピーター率はおそらく高いだろう(だから観客動員数が右肩上がりなのだろう)。年に一度のお祭りだ。
土曜日の夜、日が暮れてからのサーキットは、日常では体験できない空間が広がっている。家族と楽しむもよし、友人とビールを飲みながら語り合うもよし、音楽ライブを楽しむもよし、楽しみ方はいろいろだ。

日本のレース文化の成熟ぶりがここに表れている……なんて評論っぽいことを言いたいのではなく、「来年も富士24時間レースはありますよ。これ、すごく楽しいですよ。一度行ってみてはいかがですか?」とお伝えしたいだけ、なのである。
じつは、筆者もフルで(金曜日~日曜日)富士24時間レースにいられたことがない。金土とか土日とか、限られた時間だけの取材になっている。来年は(取材ではなくて)、フル参戦してみたいなぁ、と思ったのだった。