充電がくつろぎのひと時に…「e-tronラウンジ」を備えたアウディチャージングハブ芝公園に注目

アウディが展開する「Audi charging hub(アウディチャージングハブ)」は、特に都市部において「自宅で充電できない」「充電する場所がない」「充電にかかる時間が長い」といった課題の解決にひと役買うための急速充電施設だ。国内2拠点目として4月から運営が開始されている「アウディチャージングハブ芝公園」は、充電中にラウンジでゆっくりとくつろぐことのできるプレミアムな施設となっている。

都市部におけるEVの急速充電の利便性を向上させるプレミアムな施設

アウディは4月に「Audi charging hub 芝公園(以下ACH芝公園)」を東京都港区にオープンした。Audi charging hub(アウディチャージングハブ)は、「急速充電施設が少ない」「自宅に充電設備がない」「充電にかかる時間が長い」といった都市部におけるEV利用の課題を解決するための急速充電施設。芝公園は、国内では2024年9月に開設された紀尾井町(東京都港区)に続く2拠点目、世界では8番目の施設となる。そんなACH芝公園の注目ポイントをご紹介していこう。

アウディチャージングハブ芝公園。東京タワーもすぐ近くで、外国人観光客の姿も多い場所にある。

ACH芝公園は2階建てで、1階にはCHAdeMO規格に対応した最大出力150kWの急速充電器が設置されている。2口の充電ポートが備わっているので、2台のEV(電気自動車)を同時に充電が可能だ(2台同時充電の場合は、最大出力は120kWとなる)。

注目したいのは、日本で初お目見えとなる、スウィブルアームというスイング式アームの採用。アウディAGが特許を持っており、ドイツから輸入して設置されたものだそうだが、重い充電コードを引きずることなく、車両の充電ポートの位置に合わせてスムーズに充電ガンを動かすことができる。急速充電用の充電コードは高出力なものほど重いものが多く、女性だと操作に苦労することがあったり、地面に触れた部分のコードの汚れが衣服に付いてしまったりと、面倒な場面もある。しかし、このスイング式アームは余分な力が不要で、充電コードも地面に触れることがなく、とても便利な印象だ。

2口の充電ポートを備え、最大150kWで充電が可能(2台同時充電の場合は最大120kW)。

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車両を2台止める中央部分に、2口の充電ポートが設けられている。

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普段は格納されているスイブルアーム。

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充電作業の際は、このように引き出すことができる。

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このように、反対側に充電口がある車両でも上部を跨いでの充電が可能。

また、この急速充電器は蓄電池型となっているのも注目ポイントのひとつ。パワーエックス社製の「ハイパーチャージャー」を採用しており、施設内に設置された358kWhの大型バッテリーからEVに給電する仕組みとなっている。通常の急速充電器が必要とするような高圧受電のための設備は不要で、50kWの低圧受電で運用ができるため、こうした都市型の急速充電施設にもうってつけというわけだ。

ACH芝公園の敷地の一角に設置されている358kWの蓄電池。

なお、アウディとフォルクスワーゲン、ポルシェは「プレミアムチャージングアライアンス(PCA)」という充電サービスを提供しているが、ACH芝公園の利用はすべてのEVメーカーでも利用が可能なのもうれしいところ(CHAdeMOアダプターには未対応)。その場合は、パワーXのアプリをダウンロード後、ACHのメンバー登録をすればOKだ。

充電中に利用できる「e-tronラウンジ」は眺めも抜群

そして、ACH芝公園で最も注目なのが、2階に設けられた「e-tronラウンジ」だ。充電時間の間に何をして時間を潰すかは、EVオーナーに共通する悩み(?)のひとつ。しかしACH芝公園ならば、50m2というスペースのラウンジでゆっくりとくつろぎながら、充電時間を有意義に過ごすことだできるというわけだ。

ACH芝公園は、東京タワーや芝公園、増上寺など有数の観光スポットのすぐ近く。大きく開けた窓から覗く風光明媚な景色を、座り心地の良いチェアに身を委ねながら眺めていると、日頃の疲れが少しずつ癒やされていくのを感じる。まさに都会のオアシス、といった雰囲気だ。

ラウンジ内にはおしゃれなチェアーが設置されている。さすがアウディだ。
窓の外には東京タワーの姿が。

充電設備自体はアウディ車のみならず、どのメーカーのEVでも利用可能なのだが、ラウンジの利用はアウディ車のオーナーに限られる。充電を開始した際に発行されるQRコードがラウンジのアクセス権となり、そのQRコードを2階の入り口にかざすことで自動ドアのロックが解除されるという流れだ。ラウンジは無人運営なのだが、24時間監視されている。また1階に設けられたモニターには2階のラウンジの様子が映し出されており、様子を見てからラウンジを利用することもできるなど、セキュリティにも配慮されている。

日が暮れるとムード満点。この夜景を眺めるために充電したくなる!?
1階のモニターで、2階のラウンジの様子を確認することができる。

なお、2024年9月から運用が始まっているACH紀尾井町では、すでに2500回以上の利用実績があり、そのうち4割がPCA以外のEVユーザーだったという。また、利用データを分析すると、同じ曜日・同じ時間に充電するユーザーも数多く見られた。ACHが「生活の一部」として、特に自宅に充電設備がない都市部居住者にとっての「基礎充電の代替」として利用されているようだ。

アウディでは150kWの急速充電器をアウディのEV=e-tronの販売店118拠点で設置している。さらに5月20日からは「アウディ厚木」店の敷地内で運営されている「アウディチャージングステーション厚木」においても、PCAのメンバーだけでなくすべてのEVユーザーが利用可能になるなど、日本での充電拠点の拡充を進めている。

5月20日にオープンしたアウディチャージングステーション厚木。新東名高速道路の厚木南ICの直近で、これからドライブに出かけるEVユーザーにピッタリのロケーションだ。

EVの普及を妨げている要因のひとつは、まだまだ不十分な充電インフラにあることは間違いない。都市部の充電ニーズを捉えた充電インフラの構築が進めば、EVの利便性が向上し、EVのさらなる普及につながっていくはずだ。

「Audi charging hub 芝公園」概要

所在地 :〒105-0011 東京都港区芝公園4-6-8
ウェブサイト:https://www.audi.jp/e-tron/charging/ach/
営業時間/定休日:年中無休 24 時間利用可能
利用方法:充電器に設置の二次元コードをPCA アプリまたはスマートフォンのカメラで読み取ることで利用可能
利用料金:PCA 月額会員は75 円/分、PCA 都度会員は200 円/分、Audi charging hub(ACH)会員は85 円/kWh~(従量課金)

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