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発想転換で生まれた広い室内 合理的かつ豊富な収納も美点

「軽自動車は寸法が制限されているから、室内が狭いのは当たり前」そんな概念を覆した最初のクルマが、ワゴンRだ。初代がデビューした1993年以前の軽乗用車は、全高1400㎜以下のモデルばかり。しかも「後席はどうせ狭いのだから」と、3ドア車が主流だった。
エクステリア




ところがスズキの中に「前後長を消費しているのは主に脚。高いところに座らせて脚を下に向ければ、車内はもっと広く使える」ということに気付いた人がいた。そこで、〝アルト〞のプラットフォームをベースに、全高1640〜1695㎜のボディを架装。シートの高さも上げることで、大人4人が窮屈感なく座れるパッケージングを完成。これがきっかけとなり、それまで「女性の足グルマ」というイメージの強かった軽自動車を「男女問わずにファーストカーとして使える合理的なクルマ」に塗り替えた。
乗降性


そんな流れを汲む現在のワゴンRは、1年にデビューした6代目モデル。軽自動車としては長寿の8年目に突入しており、イメージキャラクターの広瀬すずちゃんもすっかり大人に……いや、年次改良を重ねることで、現在は〝4型〞と呼ばれるモデルに進化している。外観デザインを複数用意するのは、ハイトワゴン系の常套手段となったが、他社が2種類であるのに対し、ワゴンRは標準車のほかに〝カスタムZ〞と〝スティングレー〞の全3種類を展開する。標準車はカジュアルで若々しいイメージ、カスタムZは上質なプレミアム路線、、スティングレーはアメリカンテイストのチョイ悪系というつくり分けだ。
インストルメントパネル

パワーユニットはマイルドハイブリッドを中心とした展開。非ハイブリッドは標準車の「FX」のみとなるが、5速MT車が設定されており、車重は730㎏とクラス最軽量。ユーザー参加型燃費登録サイトによれば、実用燃費でハイブリッド仕様を凌駕している。一方のハイブリッド仕様は、電圧は低いがほとんど劣化しないチタン酸リチウム電池を採用。発電機を強化したISGを使って、エンジン再始動や発進加速時のアシストを行なう。モーターの出力は自然吸気エンジン用が1.9kW/40Nm、ターボエンジン用でも2.3kW/50Nmと大きくないため、モーターだけの走行はできないが、アクセルを踏んだ際、エンジンより速くトルクが出せるため、加速の応答はなかなか鋭い。
居住性


ハイブリッド仕様のFF車のWLTCモード燃費は、自然吸気で25.2㎞/ℓ、ターボでも22.5㎞/ℓとクラス最高。短距離走行の繰り返しなど悪条件でなければ、実用燃費で20㎞/ℓを超えるのも難しくない。使い勝手の良さはシリーズ共通。助手席クッションを前に持ち上げると、バケツ形状の収納ボックスがあるし、クッションを持ち上げた状態で背もたれを前に倒すとほぼ水平まで倒れる。
うれしい装備





月間販売台数 6217台 ワゴンRスマイルを含む(24年7月~12月平均値)
現行型発表 17年2月(一部仕様変更 23年11月)
WLTCモード燃費 25.2 ㎞/ℓ※「ハイブリッド FX-S」「ハイブリッド ZX」のFF車

ラゲッジルーム


後席は左右独立して165㎜のスライドが可能だし、背もたれを前に倒すとクッションも沈み込むダイブダウン方式のため、フルリクライニングした前席までフラットになり、車中泊スペースの確保も容易。モデル末期になったとはいえ、まだまだ魅力は色あせないワゴンRなのであ〜る。

