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合理的室内空間の絶妙ボディ 後席ドア操作性や乗降性も◎

〝日本でいちばん売れているクルマ〞N-BOXと、〝ホンダ四輪事業の礎を築いたN360のオマージュ〞N-ONEの間に挟まれ、あまり目立たない存在となっているが、移動する道具として合理的なのはN-WGN。車両価格は約134万円からと、N-BOXより約34万円、N-ONEより約39万円、安いところからアプローチできる。
エクステリア




全高は1675㎜〜1725㎜とN-BOXより100㎜以上低いため、空気抵抗は小さく横風の影響も受けにくい。それでも室内高は1300㎜あるから、8歳児の平均身長なら車内で立てる。後席ドアはスライド式ではないが、開口部の前後長は実測値約810㎜。開口部の寸法や形状は、開発担当者が〝高齢者再現キット〞を装着して乗り降りを繰り返して決めたものだ。ドアを開けるスペースはスライドドアより必要とは言え、軽自動車なのでそもそも全幅が狭く、駐車場で開閉スペースが不足することはないだろう。むしろ操作力が軽いので、大人なら素早く乗り降りできる。スライド機構がない分、車重も60㎏軽く、燃費にも加速にも有利だ。
乗降性


プラットフォームはNシリーズ共通で、ガソリンタンクを前席の下に配置した〝センタータンクレイアウト〞を採用。室内の使い勝手は、N-BOXとは違いをもたせている。後席は前後に200㎜スライドでき、最後端にすれば大人でも足を組めるほどのスペースがあるが、クッションは左右一体式。折り畳みも背もたれが前に倒れるだけと、座面が連動して沈むN-BOXに対して簡素化されているが、その分クッションが分厚く、座り心地が良い。多用途性より、後席に大人が乗っても快適に移動できることを重視したのがN-WGNなのだ。
インストルメントパネル

ラゲッジルームは18ℓポリタンクを腕を曲げずに載せられる高さに設定。フロアボードで上下に仕切ると、下段は500㎖ペットボトルの箱がふたつ積める。ボードは背もたれを前倒しした後席とほぼ同じ高さになり、大きな荷物も積みやすい。ライバルをリードするポイントは、クルマの仕立てがプレミアムカー並みであること。ボディの組み立てには構造用接着剤も使い、ドア開口部は打点の途切れないシーム溶接を採用して剛性を向上。フロントサスには小型車並みの大径ロッドを使用したストラットや、アルミ合金製のナックルを採用。ダンパーのフリクションコントロール技術には、アコード同等のものが使われている。
居住性


エンジンはN-BOXと同じS07B型を搭載。自然吸気とターボの両方が用意される。自然吸気エンジンには、低回転域と高回転域で吸気カムを切り替えるVTEC機構を採用。最高出力43kWと最大トルク65Nmは660㏄自然吸気エンジン最強だ。ターボ仕様はウェイストゲートバルブに電子制御を採用しており、圧縮比はポート噴射のターボエンジンとしては高い9.8。無過給域のトルクが確保できるため、ターボラグが気にならず、過給圧の制御精度が高いからトルクも出せる。
うれしい装備





月間販売台数 2777台(24年7月~12月平均値)
現行型発表 19年7月(マイナーチェンジ 22年9月)
WLTCモード燃費 23.2 ㎞/ℓ※自然吸気のFF車

ラゲッジルーム


最高出力は規制値上限の47kWだが、最大トルク104Nmはクラス最強。そんなN-WGNの走りは、プレミアムコンパクトにも肉薄する。

