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■3代続いたマツダ「アテンザ」が生産終了
2019(令和元)年6月14日、マツダは2002年に誕生したフラッグシップセダン「アテンザ」の生産を終了した。2002年に誕生以来、人気モデルとしてマツダを支えていたアテンザ。アテンザの生産・販売は終えることになったが、直後にマイナーチェンジでブラッシュアップして「MAZDA6」と車名を変更し国内の販売を続けた。

新生マツダの先陣を切って登場したアテンザ
1990年代、マツダはバブル崩壊や5チャンネル体制の失敗などで経営危機に陥り、1996年フォード傘下に収まった。

経営立て直しのために、マツダは2001年の東京モーターショーで新しいブランドメッセージ“Zoom-Zoom”を発表。その“Zoom-Zoom”を具現化する第1弾として2002年に登場したのが、ミディアムセダンのアテンザだ。
アテンザは、実質的に「カペラ」の後継だが、プラットフォームからエンジンまですべてが一新され、海外では「MAZDA6」として販売された。

精悍でスポーティなフォルムに、4ドアセダン/5ドアハッチバック/スポーツワゴンの3種のボディバリエーションを設定。パワートレインは、2.0L/2.3Lの新開発アルミ製直4 DOHC エンジンと4速/5速ATおよび5速MTの組み合わせ、駆動方式はFFベースで電子制御フルタイム4WDも用意された。
“Zoom-Zoom”を具現化したアテンザは、発売1ヶ月で7500台を受注。2006年には当時のマツダの生産台数100万台達成の最短記録を更新するヒットとなり、マツダ再生の救世主となった。
SKYACTIV技術と魂動デザインを採用した3代目

2008年1月に初のフルモデルチェンジを受け2代目に移行。初代に対してひと回り大きくなり、上質化とパワーアップが図られたのが特徴。2代目アテンザは、初代ほどのヒットモデルにはならなかったが、堅調な販売を記録した。
そして2012年11月、アテンザは3代目に生まれ変わった。マツダは、“Zoom-Zoom”に続いて2007年に技術開発の長期ビジョンである“サスティナブルZoom-Zoom宣言”を策定。3代目アテンザは、この宣言に基づいて企画され、初代同様セダンとワゴンが用意された。

最大の特徴は、新世代技術“SKYACTIV”と新デザインテーマ“魂動”を採用し、力強い走りと上質な乗り心地に加えて、優れた環境性能を実現したこと。存在感あるダイナミックなフォルムに、特に“ソウルレッドプレミアムメタリック”と呼ばれた美しい赤のボディカラーが美しさを際立たせた。

エンジンは、クリーンディーゼル2.2L直4 DOHCターボ「SKYACTIV-D 2.2」と直噴ガソリン2.0L&2.5L直4 DOHCエンジン「SKYACTIV-G 2.0&2.5」の3機種を用意。トランスミッションには、スムーズな変速の6速AT「SKYACTIV-DRIVE」と、軽快なシフトフィールが楽しめる6速MT「SKYACTIV-MT」が設定された。

さらに、安全支援技術「i-ACTIVSENSE」を搭載するなど革新的技術満載の3代目は、2013年には2万台超えを記録してアテンザ人気を急回復させた。
その後も進化しながらMAZDA6へと改名した3代目アテンザ
3代目アテンザは、その後もマイナーチェンジをすることでフラッグシップに相応な進化を続けた。

2014年には、内外装のデザインの変更のほか、新構造の前後ダンパーの採用などにより、乗り心地と静粛性を向上。2016年8月には、ドライバーのハンドル操作に応じて横方向と前後方向の加速度を統合的にコントロールする「G-ベクタリングコントロール」を採用。さらに2018年5月には、内外装の最新化とともに、衝突被害軽減ブレーキに夜間歩行者検知機能が装備されるなど、安全運転支援技術のレベルアップが図られた。




そして、2019年6月のこの日、アテンザは生産を終了し、在庫がなくなり次第販売終了となった。一方で、同年8月1日には、マイナーチェンジという形で車名をMAZDA6に変更して販売を始めた。

MAZDA6は、新たに2.5L直4 DOHCガソリンターボ“SKYACTIV-G 2.5T”を追加。このエンジンを搭載した「25T Sパッケージ」は、上質さと走りを追求したスポーティなトップグレードに位置づけられた。その他にも、「G-ベクタリングコントロール・プラス」が標準装備され、IRカットガラスの採用、マツダコネクトへのApple CarPlayやAndroid Auto対応機能追加など、快適性と利便性の向上が図られた。

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アテンザを継承したMAZDA6は、2024年4月に国内向けの生産を終了した。セダン冬の時代に比較的健闘していたが、さすがに販売低迷は避けられなかった。今後、セダンはMAZDA3が、ワゴンはCXシリーズが国内市場におけるMAZDA6の役割を引き継いでいくとのことになるのだろう。
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