VWゴルフヴァリアントTDI R-Lineの魅力をステーションワゴンを30年乗り継ぐワゴニストが語る!ディーゼルは高速ロングドライブに最適だった

今やSUV人気に押されてすっかりラインナップが減ってしまったステーションワゴン。しかし、セダン譲りのドライブフィールと余裕の荷室がもたらすユーティリティの高さの組み合わせに根強いファンも多い。中でも、世界のクルマのベンチマークとも言えるVWゴルフのワゴンモデル、ゴルフヴァリアントは人気ステーションワゴンの1台。そんなゴルフヴァリアントを"いもっち"こと井元貴幸がレポート。2代目レガシィツーリングワゴンから先代レヴォーグまで、30年来ワゴンを乗り継ぐいもっちが見たゴルフヴァリアントとは!?
REPORT:井元貴幸(IMOTO Takayuki) CAPTION:MotorFan.jp PHOTO:井元貴幸(IMOTO Takayuki)/MotorFan.jp

今や貴重なCセグメントステーションワゴン

国内では、SUVやミニバンの人気は衰えることなく、セダンやステーションワゴンといった一昔前の主力モデルが押されており、ラインナップから姿を消したモデルも少なくない。しかし、SUVやミニバンでは得られない高速道路やワインディングといった場所での高い運動性能に惹かれるユーザーには、まだまだ支持されている。

筆者も、セダンが備える気持ちの良い走りの性能と、高い積載能力を両立してくれるステーションワゴンのヘビーユーザーであり、30年で5台乗り継いだモデルはすべてステーションワゴンだ。今回試乗したゴルフヴァリアントは、欧州で鍛えられた軽快な走りと、高い機能性を誇る、ワゴン界のお手本のようなモデルだ。

ゴルフヴァリアントTDI R-Line

スポーティグレード「R-Line」の走り

試乗したモデルは最新の「ゴルフヴァリアントTDI R-Line」で、エクステリアはR-Line専用バンパーなどを備えたスポーティな佇まい。

ボディサイズは全長4640mm×全幅1790mm×全高1485mm、ホイールベース2670mm。日本でも取り回しはそこまで苦にならないサイズ感。
車重は1510kgと昨今のクルマとしてはあまり重くはない。最小回転半径は5.1m。

スポーツフラッグシップモデルである「ゴルフRヴァリアント」のイメージを想起させるフロントマスクは、スポーツワゴンの印象を強めている。アルミホイールもR-Line専用の18インチを採用。

フロントグリルに「R」のエンブレム。「R」のイメージカラーであるブルーではない点がゴルフRとの違い。
専用デザインの18インチホイールに225/40R18サイズのタイヤを履く。試乗車はブリヂストンTURANZA T005を装着。

パワーユニットは2.0L直列4気筒DOHCインタークーラーディーゼルターボエンジンを搭載。環境性能と動力性能を両立するデュアルAdBlue噴射機構「ツインドージングシステム」を採用したEA288evoエンジンは、最高出力150ps(110kw)/最大トルク35.7kgm(360Nm)を発生する。

DXP型2.0L直列4気筒DOHCインタークーラーディーゼルターボエンジンは最高出力150ps(110kw)/3000-4200rpm・最大トルク36.7kgm(360Nm)/1600-2750rpmを発揮。

ディーゼルならではの太いトルクを低回転から発生させるフィーリングは、同一車線内全車速運転支援システム「Travel Assist」と併せて、ロングドライブとの相性も抜群に良い。
国産車ではディーゼルとスポーツモデルという組み合わせは、あまり見かけないが、強大なトルクを低回転で引き出しながら走らせると、意外なほどに気持ちよく走れる。

燃料タンクは51L。WLTCモード燃費が20.1km/Lなので、カタログ値での計算上は航続距離が約1000km。高速主体ともなればさらに伸びる(WLTC高速道路モードで24.1km/L)。軽油の燃料代と合わせてロングドライブ派にディーゼルエンジンのTDIは最適と言えるだろう。

トランスミッションは、パドルシフト付きのデュアルクラッチ式7速DSGを採用。R-Lineの引き締められた専用サスペンションやプログレッシブステアリングと相まって、ダイレクト感のあるフィーリングがスポーティな印象だ。

国産のステーションワゴンでは、走りの性能を磨き上げたスポーツモデルが好まれる傾向があり、ゴルフヴァリアントもスポーツ色の強いR-Lineがおススメのグレードだ。

専用装備のインテリアと使いやすいインターフェース

ゴルフヴァリアントTDI R-Lineのコックピット。

インテリアもR-Line専用のマイクロフリースシートと本革シートを設定。シート形状はゴルフRヴァリアントと同じトップスポーツシートを装備。本革仕様はパワーシートとなるが、マニュアルシートでもシートヒーターやシートベンチレーションが備わる。

ゴルフヴァリアントTDI R-Lineのフロントシート。試乗車はR-Line専用レザーシートが装着されていた。
R-Line専用レザーシートのシートバックには「R」の刺繍が入る。

センターコンソールや華飾パネルの一部にピアノブラックを採用しているが、適度に取り入れられている印象で過度にツルツルピカピカという感じではなく、さりげなさが欧州車らしいセンスを感じる部分だ。

ゴルフヴァリアントTDI R-Lineのインストゥルメントパネル。
12.9インチのタッチスクリーンに純正インフォテイメントシステム「Discover」が備わる。
ディスプレイと一体化したエアコンのインターフェース。
ディスプレイの下はハザードランプスイッチを中心にドライビングアシストやドライブモードのスイッチなどが配置される。
センターコンソール奥にはUSBタイプCソケットが2つとワイヤレス充電が可能な収納スペースがある。

シフトレバーは「P」レンジがボタン式で「R」「N」「D」レンジがショートタイプのスティック式。節度感のあるタッチは初めて操作する人でも違和感がなく国産車に多いシフトレバーからの乗り換えでも安心感が高い。

センターコンソールのシフレバー。マニュアルシフトはステアリングホイール裏の左右パドルシフトで行う。シフトレバーの後方にはパーキングブレーキスイッチとオートホールドのスイッチが備わる。
シフトレバー後方にはドリンクホルダー兼小物入れ。後方のスペースにはリモコンキーのマークがあしらわれる。DC12V電源も用意。
丸いスイッチを押すと前側のドリンクホルダーのみスモールカップ用のホルダーが展開されるギミックが備わる。
センターコンソールボックスは前開きで、前後長は短め。
深さはあり、底面のみカーペットが敷かれている。

ステンレス製のペダル類も乗り込むときからドライブへの気持ちを引き立ててくれる心憎いアイテムだ。

ステンレス製のペダルがスポーティな雰囲気を演出する。

操作系で言うと、メーターパネル右側に集中配置されたライティングスイッチ類。ヘッドランプやフォグランプだけでなく、フロントデフロスタやリヤデフォッガスイッチも集中配置され「視界」に関連する操作がまとめられているのは好印象だ。

メーター右側にライト(ヘッドライト、前後フォグランプ)と前後デフロスタの視界系スイッチがまとめられている。
ハイビーム/ロービーム切り替えとパッシング、ウインカーはステアリングの左側レバー。
右ステアリングレバーはワイパー類。この辺りは一般的な仕様だ。

後席もしっかりとレッグスペースが確保されており、大人4人乗車でも快適に移動できる。また、後席にも独立したエアコンコントロール機能と吹き出し口が備わり、国産車ではミニバン以外のモデルでは高級車にしか備わらない機能も、乗員すべてが快適に過ごせるようしっかり装備されている点も見逃せない。

リヤシート。十分なスペースが確保されており、大人4人乗車でも快適に過ごせる。
後席用のエアコン。その下にはUSBタイプCソケットがふた口用意されている。
センターシートは背もたれを倒すとドリンクホルダー付きアームレストになる。

ワゴンの真髄!ラゲッジルームをチェック

ラゲッジルームは標準で611Lの容量を確保。
6対4分割可倒式で最大1642Lまでラゲッジルームを拡大することができる。

さて、気になるラゲッジルームだが、後席使用時で611Lのフラットなスペースを確保。後席そのものは6:4分割可倒式だが、センターアームレストにラゲッジルームと貫通できるスルー機構が備わり4名乗車でも長尺物の積載が可能だ。

リヤシートのセンターアームレストと隔壁を倒すと後席がラゲッジルームと繋がる。
後席2名乗車+長物収納が可能なトランクスルー。

後席の格納はシングルフォールディング式で、ラゲッジルームにはリモートレバーも装備。左右別々に操作できる便利機能は、もはやステーションワゴンでは必須アイテムといえる。
また、アクセサリーソケット(DC12V電源)や、ワンタッチで巻き取られるトノカバーなど、ワゴンとしての使い勝手も十分に考慮された気遣いを感じる装備も数多い。

トノカバーはワンタッチ巻き取りが可能。
しかも、全開と全閉だけでなく中間でも固定できる。

サブトランクはテンパータイヤが収納されているが、トノカバーやラゲッジネットをしっかりと収納できるスペースが確保されている。

ラゲッジルームフロア下にはテンパータイヤが収まる。
ラゲッジルームフロア下にはトノカバーとラゲッジネットが収納できる。
トノカバーとラゲッジネットは左右のホルダーにはめる。
取り外し式のパネルでしっかりと固定できる。
パネルで固定している状態。

このラゲッジネットは後席使用時にラゲッジルームからの荷崩れを防止するものだが、後席格納状態でもバックレストに付け替えることで、2名乗車時でも使用することができる優れものだ。過去にはレガシィツーリングワゴンにも採用されていたが、最近では国産のステーションワゴンでは見かけない。かなり実用的な装備なだけに国産ステーションワゴンでもぜひ採用してほしい。

ラゲッジネット使用(後席通常時)。
左右には割と隙間が空くので、もう少し幅が欲しい。
ラゲッジネット使用(後席格納時)。
ネット本体はリヤシート背面上部に固定する。

ワゴン歴30年の筆者も納得のステーションワゴン

ゴルフヴァリアントは、欧州車ならではの高いドライバビリティと、実直なワゴンづくりによる作りこまれた機能性を存分に味わうことのできるステーションワゴン。ワゴン歴30年の筆者も唸る、気配り満載のラゲッジは、純粋にワゴンを愛するユーザーとしてもおススメできるモデルだ。もちろんR-Lineのシャープな研ぎ澄まされた走りはスポーツワゴンユーザーも必見の1台といえるだろう。

メーカーフォルクスワーゲン
車名ゴルフヴァリアント
グレードTDI R-Line
全長4640mm
全幅1790mm
全高1485mm
ホイールベース2670mm
車重1510kg
最低地上高
最小回転半径5.1m
乗車定員5名
トランク容量611〜1642L
エンジンDXP型
直列4気筒DOHCディーゼルターボ
排気量1968cc
最高出力110ps(150kW)/3000-4200rpm
最大トルク36.7kgm(360Nm)/1600-2750rpm
燃料/タンク容量軽油/51L
WLTC燃費20.1km/L
サスペンションF:ストラット
R:4リンク
ブレーキF:ベンチレーテッドディスク
R:ディスク
タイヤサイズ225/40R18
駆動方式FF
トランスミッション7速DCT
モーター
最高出力
最大トルク
電池容量
価格485万6000円

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著者プロフィール

井元 貴幸 近影

井元 貴幸

母親いわくママと発した次の言葉はパパではなくブーブだったという生まれながらのクルマ好き。中学生の時…