目次
今や貴重なCセグメントステーションワゴン
国内では、SUVやミニバンの人気は衰えることなく、セダンやステーションワゴンといった一昔前の主力モデルが押されており、ラインナップから姿を消したモデルも少なくない。しかし、SUVやミニバンでは得られない高速道路やワインディングといった場所での高い運動性能に惹かれるユーザーには、まだまだ支持されている。

筆者も、セダンが備える気持ちの良い走りの性能と、高い積載能力を両立してくれるステーションワゴンのヘビーユーザーであり、30年で5台乗り継いだモデルはすべてステーションワゴンだ。今回試乗したゴルフヴァリアントは、欧州で鍛えられた軽快な走りと、高い機能性を誇る、ワゴン界のお手本のようなモデルだ。

スポーティグレード「R-Line」の走り
試乗したモデルは最新の「ゴルフヴァリアントTDI R-Line」で、エクステリアはR-Line専用バンパーなどを備えたスポーティな佇まい。


スポーツフラッグシップモデルである「ゴルフRヴァリアント」のイメージを想起させるフロントマスクは、スポーツワゴンの印象を強めている。アルミホイールもR-Line専用の18インチを採用。
パワーユニットは2.0L直列4気筒DOHCインタークーラーディーゼルターボエンジンを搭載。環境性能と動力性能を両立するデュアルAdBlue噴射機構「ツインドージングシステム」を採用したEA288evoエンジンは、最高出力150ps(110kw)/最大トルク35.7kgm(360Nm)を発生する。

ディーゼルならではの太いトルクを低回転から発生させるフィーリングは、同一車線内全車速運転支援システム「Travel Assist」と併せて、ロングドライブとの相性も抜群に良い。
国産車ではディーゼルとスポーツモデルという組み合わせは、あまり見かけないが、強大なトルクを低回転で引き出しながら走らせると、意外なほどに気持ちよく走れる。

トランスミッションは、パドルシフト付きのデュアルクラッチ式7速DSGを採用。R-Lineの引き締められた専用サスペンションやプログレッシブステアリングと相まって、ダイレクト感のあるフィーリングがスポーティな印象だ。

国産のステーションワゴンでは、走りの性能を磨き上げたスポーツモデルが好まれる傾向があり、ゴルフヴァリアントもスポーツ色の強いR-Lineがおススメのグレードだ。

専用装備のインテリアと使いやすいインターフェース

インテリアもR-Line専用のマイクロフリースシートと本革シートを設定。シート形状はゴルフRヴァリアントと同じトップスポーツシートを装備。本革仕様はパワーシートとなるが、マニュアルシートでもシートヒーターやシートベンチレーションが備わる。


センターコンソールや華飾パネルの一部にピアノブラックを採用しているが、適度に取り入れられている印象で過度にツルツルピカピカという感じではなく、さりげなさが欧州車らしいセンスを感じる部分だ。

シフトレバーは「P」レンジがボタン式で「R」「N」「D」レンジがショートタイプのスティック式。節度感のあるタッチは初めて操作する人でも違和感がなく国産車に多いシフトレバーからの乗り換えでも安心感が高い。

ステンレス製のペダル類も乗り込むときからドライブへの気持ちを引き立ててくれる心憎いアイテムだ。

操作系で言うと、メーターパネル右側に集中配置されたライティングスイッチ類。ヘッドランプやフォグランプだけでなく、フロントデフロスタやリヤデフォッガスイッチも集中配置され「視界」に関連する操作がまとめられているのは好印象だ。

後席もしっかりとレッグスペースが確保されており、大人4人乗車でも快適に移動できる。また、後席にも独立したエアコンコントロール機能と吹き出し口が備わり、国産車ではミニバン以外のモデルでは高級車にしか備わらない機能も、乗員すべてが快適に過ごせるようしっかり装備されている点も見逃せない。

ワゴンの真髄!ラゲッジルームをチェック


さて、気になるラゲッジルームだが、後席使用時で611Lのフラットなスペースを確保。後席そのものは6:4分割可倒式だが、センターアームレストにラゲッジルームと貫通できるスルー機構が備わり4名乗車でも長尺物の積載が可能だ。
後席の格納はシングルフォールディング式で、ラゲッジルームにはリモートレバーも装備。左右別々に操作できる便利機能は、もはやステーションワゴンでは必須アイテムといえる。
また、アクセサリーソケット(DC12V電源)や、ワンタッチで巻き取られるトノカバーなど、ワゴンとしての使い勝手も十分に考慮された気遣いを感じる装備も数多い。
サブトランクはテンパータイヤが収納されているが、トノカバーやラゲッジネットをしっかりと収納できるスペースが確保されている。

このラゲッジネットは後席使用時にラゲッジルームからの荷崩れを防止するものだが、後席格納状態でもバックレストに付け替えることで、2名乗車時でも使用することができる優れものだ。過去にはレガシィツーリングワゴンにも採用されていたが、最近では国産のステーションワゴンでは見かけない。かなり実用的な装備なだけに国産ステーションワゴンでもぜひ採用してほしい。
ワゴン歴30年の筆者も納得のステーションワゴン

ゴルフヴァリアントは、欧州車ならではの高いドライバビリティと、実直なワゴンづくりによる作りこまれた機能性を存分に味わうことのできるステーションワゴン。ワゴン歴30年の筆者も唸る、気配り満載のラゲッジは、純粋にワゴンを愛するユーザーとしてもおススメできるモデルだ。もちろんR-Lineのシャープな研ぎ澄まされた走りはスポーツワゴンユーザーも必見の1台といえるだろう。

メーカー | フォルクスワーゲン |
車名 | ゴルフヴァリアント |
グレード | TDI R-Line |
全長 | 4640mm |
全幅 | 1790mm |
全高 | 1485mm |
ホイールベース | 2670mm |
車重 | 1510kg |
最低地上高 | – |
最小回転半径 | 5.1m |
乗車定員 | 5名 |
トランク容量 | 611〜1642L |
エンジン | DXP型 直列4気筒DOHCディーゼルターボ |
排気量 | 1968cc |
最高出力 | 110ps(150kW)/3000-4200rpm |
最大トルク | 36.7kgm(360Nm)/1600-2750rpm |
燃料/タンク容量 | 軽油/51L |
WLTC燃費 | 20.1km/L |
サスペンション | F:ストラット R:4リンク |
ブレーキ | F:ベンチレーテッドディスク R:ディスク |
タイヤサイズ | 225/40R18 |
駆動方式 | FF |
トランスミッション | 7速DCT |
モーター | ー |
最高出力 | ー |
最大トルク | ー |
電池容量 | ー |
価格 | 485万6000円 |