新型フォレスターSPORT EXとティグアンTDI 4MOTIONを比べてみた!AWD+ターボにあらずんばクルマにあらず?

国内外で人気を誇るSUV。今現在購入を検討しているユーザーも多い中、筆者が最近試乗した、今話題の2モデル……スバル・フォレスターSPORT EXとVWティグアンTDI 4MOTIONエレガンスを比較! 国産車か輸入車か?ガソリンターボかディーゼルターボか?悩ましい選択のなかひとつの参考にしてほしい。
REPORT:井元貴幸(IMOTO Takayuki) CAPTION:MotorFan.jp PHOTO:MotorFan.jp/中野幸次(NAKANO Kouji)/SUBARU

世界的にも人気のミドルサイズSUV

今回比較するのはスバル・フォレスターSPORT EXとフォルクスワーゲンティグアンTDI 4MOTIONエレガンスだ。ほかにも様々なSUVが存在するが、意外にもこの2車種は全幅やホイールベースなどサイズ感的に近似している部分も多い。

スバル・フォレスターSPORT。ボディサイズは全長4655mm×全幅1830mm×全高1730mmとミドルサイズSUVとしては堂々たる大きさ。
VWティグアンTDI 4MOTION。ボディサイズは4545mm×全幅1840mm×全高1655mmは全幅以外フォレスターよりコンパクト。

ボディサイズはフォレスターが全長4655mm×全幅1830mm×全高1730mm、ティグアンが全長4545mm×全幅1840mm×全高1655mmと、フェスターが全長で110mm、全高で110mmほど大きい。全幅はティグアンが10mm大きいが全長と全幅ほどに大きな差は無い。実車を見比べてみると数値ほどには違いを感じなかった。

スバル・フォレスターSPORT。ホイールベースは2670mm。最低地上高が220mmとラフロードでの走行も見越した高さだ。
VWティグアンTDI 4MOTION。ホイールベースは2680mmとフォレスターより気持ち長い。最低地上高は公表されていないが、フォレスターよりは低そうだ。

ただ、ボディサイズこそフォレスターがやや上回るも、ラゲッジスペースはティグアンの方がカタログ値的には大きい。ただ、フォレスターはフロア下がサブトランクになっており、即テンパータイヤ収納スペースのティグアンよりユーティリティ性は高そうだ。

フォレスターのラゲッジルーム容量は標準で489L。これにフロア下サブトランクの23Lが加わる。
リヤシートは6対4分割可倒式で、1190L(+サブトランク分)まで拡大可能。
23Lのフロア下サブトランク。その下にテンパータイヤとジャッキ類が収納されている。
ティグアンのラゲッジルームは標準で652Lの大容量を誇る。
リヤシートは4対2対4分割可倒式。拡大時の容量は未公表だが、かなり広そうだ。
フロア下にはテンパータイヤが収まる。わずかながら隙間に収納スペースも。

ラゲッジルームが広いからといってティグアンのキャビンスペースが窮屈というわけではなく、前後席ともに大人が乗っても快適に長距離を移動できる。

フォレスターのリヤシート。
ボディサイズがもたらす余裕のあるスペース。
リヤシート用のシートヒーター。USBはタイプAとタイプC。
ティグアンのリヤシート。
十分なスペースを確保しており、長距離でも快適。
リヤシート用のエアコンとUSBタイプCソケット。

欧州プレミアムかカジュアルなアソビゴコロか

インテリアでは欧州車ならではのアンビエントライトなどでプレミアム感を演出するティグアンに対し、質感を向上させつつカジュアルに普段使い出来るフォレスターは、ドアトリムやラゲッジトリムになどに隠れアイコンなどの遊び心を取り入れている。

フォレスターSPORT
ティグアン(写真はeTSIエレガンス)

シートはどちらのモデルも甲乙つけがたい快適性を備えるが、ドライバーモニタリングシステムの顔認証登録により、シート位置やドアミラー角度などを自動調整してくれるフォレスターに対し、ティグアンのエレガンスでは標準装備が手動式シートとなる。

フォレスターSPORTのフロントシート。ランバーサポートを含めて調整は全て電動のパワーシートを装備。
ティグアン(写真はeTSIエレガンス)のフロントシート。ランバーサポートのみ電動だが、前後や高さ、リクライニングなどは手動。

その代わりというわけではないが、ティグアンにはリラクゼーション(マッサージ)機能やシートベンチレーションを装備(フォレスターでは上位グレードのPremiumにシートベンチレーションはオプション設定される)。いずれのモデルもシートヒーターは標準装備だ。

ティグアンの運転席にはリラクゼーション機能が備わる。シートヒーターはエレガンス以上は全席標準装備。シートベンチレーターはレザーシートパッケージに備わる。
フォレスターはPremiumにシートベントレーターがオプション設定される。シートヒーターは全席標準装備だ。

インフォテイメントシステムはフォレスターがセンターに縦型11.6インチ、ティグアンは横長15インチとどちらも大型のディスプレイを備えるが、見やすさという点では横長のティグアン、扱いやすさとインテリアの一体感ではフォレスターとなり、ここは好みで大きく分かれる部分だろう。

フォレスターのディスプレイは縦型11.6インチ。
ティグアンのディスプレイは横型15インチ。

操作系ではティグアンは右コラムに配置されたドライブセレクターやメーターパネル右側に配置されたライティングスイッチ、輸入車ではおなじみの左側ウインカーレバーなど、国産車慣れしたユーザーには独特なものだが、要は慣れの問題であり、筆者は1日乗っていれば自然と操作できてしまった。

ティグアンはステアリングコラム右側にドライブセレクター(=シフトレバー)が配置される。前後に捻り回す+パーキングは先端のスイッチを押す操作法。
そのため、センターコンソールにはスタートスイッチとパーキングブレーキ、インフォテインメントの操作系があるのみ。
ステアリングコラム左側のレバーはウインカーやワイパー、ハイビームなどが集約されている。
ライトはダッシュボード右端に配置。オートを基本に前後のフォグランプもここで操作する。

フォレスターはオーソドックスなレイアウトで国産車でも特殊な形状や配置のシフトレバーなどは採用されておらず、初めて乗るユーザーでもまごつくことは皆無。操作ミスなども起こりにくく、高齢者でも安心して運転できる点は高評価だ。

フォレスターはセンターコンソールにシフトレバーとパーキングブレーキスイッチを配置したオーソドックスなレイアウト。ライト、ウインカー、ワイパーも国産車の標準的なもの。

ディーゼルターボのビッグトルクかガソリンターボの爽快フィールか

両車が最も異なる部分がパワートレインだ。どちらもラインナップにはハイブリッドを設定しているが、あえて”じゃない方”を選択する場合、ティグアンはディーゼルターボ(TDI)、フォレスターはガソリンターボ(SPORT)となる。

フォレスターの2.5Lストロングハイブリッド。
ティグアンeTSIの1.5Lターボ+マイルドハイブリッド。

ティグアンのTDIに搭載される「EA288evo」DXN型2.0Lディーゼルターボエンジンはツインドージングシステムなどにより環境性能に配慮しつつ、ディーゼルのメリットのひとつである強大なトルクの恩恵を受けることができる。その力強さは1750kgの車体をグイグイと押し進める。

ティグアンTDIに搭載されるDXN型2.0L直列4気筒DOHCインタークーラターボディーゼルは最高出力193ps(142kW)/3500-4200rpm・最大トルク40.8kgm(400Nm)/1750-3250rpmを発揮。ディーゼルならではのトルクはもちろん、パワーでも文句なしのスペック。

一方のフォレスターに搭載されるCB18型1.8Lガソリンターボエンジンはレギュラーガソリン仕様でありながら300Nmの最大トルクを発揮する。ディーゼルには及ばないものの、ガソリン車ならではの軽快感はハイブリッド車でも手に入れることのできないフィーリング。
燃費や燃料単価という点で有利なディーゼルだが、運転の楽しさという面ではフォレスターのガソリンターボはぜひ一度試乗してほしいと感じるパワーユニットだ。

フォレスターSPORTに搭載されるCB18型1.8L水平対向4気筒DOHCインタークーラーガソリンターボは最高出力177ps(130kW)/5200-5600rpm・最大トルク30.6kgm(300Nm)/1600-3600rpmを発揮。出力面ではティグアンTDIに譲るが、ガソリンエンジンの軽快な回転フィールは魅力だ。

どちらかといえば、ロングツーリングで高速道路をゆったりと走るグランドツーリング的なシーンがマッチするティグアンと、ワインディングでも気持ちよくあらゆるシーンで運転が楽しめるフォレスターという性格の違いを体感した。

フォレスターSPORT EX
ティグアンTDI4MOTION

ダイレクトなフィールのDCTかスムーズなCVTか

トランスミッションは、デュアルクラッチ式の7速DSGを搭載するティグアンでは、ダイレクト感の強いシフトフィールが多くのクルマ好きから支持されている。

ただ、フォレスターに搭載されるチェーン式のリニアトロニックCVTも、スチールベルト式のCVTとは異なり、DレンジのままでもCVT特有の間延びした加速感は皆無!ステップ変速の小気味よい加速感が気持ちよい。CVT嫌いの人にこそぜひ一度体感していただき、その違いを体感してほしい!これまでのCVTのイメージが大きく変わるはずだ。

実際筆者も愛車を購入するまではCVT独特のフィーリングが苦手であったが、今では微速領域でも扱いやすいリニアトロニックは忖度なしにデュアルクラッチ式のトランスミッションより好印象になっている。

ティグアンTDIはディーゼルならではのトルクフルで低燃費な走り。欧州車らしい質感を感じられるグランドツーリングSUV。
一方のフォレスターSPORT EXはティグアンよりも100kg軽量な車重と扱いやすさ。SUVらしからぬスポーティな走りがアドバンテージとなる。

ティグアンTDI4MOTIONは低回転からトルクフルなディーゼルエンジンだけに、高速巡航でのエンジン回転数は1500rpmほど(80km/h)。おかげで高速燃費が24.3km/L(157km走行した車載燃費計の数値)と非常に優れた数値となった。
車格やSUVであることを感じさせない軽快な走りがフォレスターSPORTの魅力。それでいて、SUVに求められる走破性についても文句なしだ。

価格差は約200万円!? 国産車のサポート体制かディーゼルのランニングコストか

車両本体価格がフォレスターSPORT EXの約419万円に対し、ティグアンTDI4MOTIONエレガンスは約621万円と200万円も差があるため、同クラスとしては比較しづらい面はある。とはいえティグアン(TDI4MOTIONの廉価グレード「アクティブ」なら500万円台)は輸入車としては比較的リーズナブルな方。ディーゼルエンジンと好燃費で燃料代を抑えられる点はユーザーにとってうれしいポイントだ。

ティグアンTDI4MOTIONのメーター。高速道路中止に275km走行しても車載燃費計で22km/Lとカタログ値(WLTC高速道路モードで17.3km/L)を大きく上回る。この時点で航続距離は1000kmを余裕で超える計算だ。

また、ディーラーでローンを組んだ場合、2025年5月現在ではティグアンが金利3.49%、フォレスターが3.9%とローン時の支払いも若干有利だ。

どうしても関税や為替レートの関係もあり高額になりがちな輸入車だが、ランニングコストを考えた場合、燃料単価の安いディーゼル車は大きなメリットになる。
フォレスターであれば、人気も高くリセールバリューの高さや、きめ細かいオーナーサポートプログラムなど、国産車ならではの魅力がアドバンテージといえる。

日常使いから、週末のアウトドアレジャーまでカジュアルに使えるフォレスターSPORT EXか、プレミアムなドライビングを楽しめるティグアンTDI4MOTIONか、皆さんならどちらを選びますか?

ストロングハイブリッドより100kgも軽い!新型フォレスターのターボエンジン搭載モデル「SPORT」の魅力とは!?

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新型VWティグアンにディーゼルエンジン+4WDの「TDI 4MOTION」が登場!航続距離は1400km以上?高速×長距離なら最高の組み合わせ

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メーカースバルフォルクスワーゲン
車名フォレスターティグアン
グレードSPORT EXTDI4MOTIONエレガンス
全長4655mm4545mm
全幅1830mm1840mm
全高1730mm1655mm
ホイールベース2670mm2680mm
車重1640~1660kg1750kg
最低地上高220mm
最小回転半径5.4m5.4m
乗車定員5名5名
トランク容量489L〜1190L(+23L)652L
エンジンCB18型
水平対向4気筒DOHCインタークーラーターボ
DXN型
直列4気筒DOHCインタークーラーターボディーゼル
排気量1795cc1968cc
最高出力177ps(130kW)/5200-5600rpm 193ps(142kW)/3500-4200rpm
最大トルク30.6kgm(300Nm)/1600-3600rpm40.8kgm(400Nm)/1750-3250rpm
燃料/タンク容量レギュラー/63L軽油/61L
WLTC燃費13.6km/L15.1km/L
サスペンションF:ストラット
R:ダブルウィッシュボーン
F:ストラット
R:4リンク
ブレーキF・R:ベンチレーテッドディスクF:ベンチレーテッドディスク
R:ディスク
タイヤサイズ225/55R18235/55R18
駆動方式4WD4WD
トランスミッションCVT7速DCT
価格419万1000円621万8000円

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著者プロフィール

井元 貴幸 近影

井元 貴幸

母親いわくママと発した次の言葉はパパではなくブーブだったという生まれながらのクルマ好き。中学生の時…