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世界的にも人気のミドルサイズSUV
今回比較するのはスバル・フォレスターSPORT EXとフォルクスワーゲンティグアンTDI 4MOTIONエレガンスだ。ほかにも様々なSUVが存在するが、意外にもこの2車種は全幅やホイールベースなどサイズ感的に近似している部分も多い。


ボディサイズはフォレスターが全長4655mm×全幅1830mm×全高1730mm、ティグアンが全長4545mm×全幅1840mm×全高1655mmと、フェスターが全長で110mm、全高で110mmほど大きい。全幅はティグアンが10mm大きいが全長と全幅ほどに大きな差は無い。実車を見比べてみると数値ほどには違いを感じなかった。


ただ、ボディサイズこそフォレスターがやや上回るも、ラゲッジスペースはティグアンの方がカタログ値的には大きい。ただ、フォレスターはフロア下がサブトランクになっており、即テンパータイヤ収納スペースのティグアンよりユーティリティ性は高そうだ。
ラゲッジルームが広いからといってティグアンのキャビンスペースが窮屈というわけではなく、前後席ともに大人が乗っても快適に長距離を移動できる。
欧州プレミアムかカジュアルなアソビゴコロか
インテリアでは欧州車ならではのアンビエントライトなどでプレミアム感を演出するティグアンに対し、質感を向上させつつカジュアルに普段使い出来るフォレスターは、ドアトリムやラゲッジトリムになどに隠れアイコンなどの遊び心を取り入れている。


シートはどちらのモデルも甲乙つけがたい快適性を備えるが、ドライバーモニタリングシステムの顔認証登録により、シート位置やドアミラー角度などを自動調整してくれるフォレスターに対し、ティグアンのエレガンスでは標準装備が手動式シートとなる。


その代わりというわけではないが、ティグアンにはリラクゼーション(マッサージ)機能やシートベンチレーションを装備(フォレスターでは上位グレードのPremiumにシートベンチレーションはオプション設定される)。いずれのモデルもシートヒーターは標準装備だ。
インフォテイメントシステムはフォレスターがセンターに縦型11.6インチ、ティグアンは横長15インチとどちらも大型のディスプレイを備えるが、見やすさという点では横長のティグアン、扱いやすさとインテリアの一体感ではフォレスターとなり、ここは好みで大きく分かれる部分だろう。
操作系ではティグアンは右コラムに配置されたドライブセレクターやメーターパネル右側に配置されたライティングスイッチ、輸入車ではおなじみの左側ウインカーレバーなど、国産車慣れしたユーザーには独特なものだが、要は慣れの問題であり、筆者は1日乗っていれば自然と操作できてしまった。
フォレスターはオーソドックスなレイアウトで国産車でも特殊な形状や配置のシフトレバーなどは採用されておらず、初めて乗るユーザーでもまごつくことは皆無。操作ミスなども起こりにくく、高齢者でも安心して運転できる点は高評価だ。

ディーゼルターボのビッグトルクかガソリンターボの爽快フィールか
両車が最も異なる部分がパワートレインだ。どちらもラインナップにはハイブリッドを設定しているが、あえて”じゃない方”を選択する場合、ティグアンはディーゼルターボ(TDI)、フォレスターはガソリンターボ(SPORT)となる。
ティグアンのTDIに搭載される「EA288evo」DXN型2.0Lディーゼルターボエンジンはツインドージングシステムなどにより環境性能に配慮しつつ、ディーゼルのメリットのひとつである強大なトルクの恩恵を受けることができる。その力強さは1750kgの車体をグイグイと押し進める。

一方のフォレスターに搭載されるCB18型1.8Lガソリンターボエンジンはレギュラーガソリン仕様でありながら300Nmの最大トルクを発揮する。ディーゼルには及ばないものの、ガソリン車ならではの軽快感はハイブリッド車でも手に入れることのできないフィーリング。
燃費や燃料単価という点で有利なディーゼルだが、運転の楽しさという面ではフォレスターのガソリンターボはぜひ一度試乗してほしいと感じるパワーユニットだ。

どちらかといえば、ロングツーリングで高速道路をゆったりと走るグランドツーリング的なシーンがマッチするティグアンと、ワインディングでも気持ちよくあらゆるシーンで運転が楽しめるフォレスターという性格の違いを体感した。


ダイレクトなフィールのDCTかスムーズなCVTか
トランスミッションは、デュアルクラッチ式の7速DSGを搭載するティグアンでは、ダイレクト感の強いシフトフィールが多くのクルマ好きから支持されている。

ただ、フォレスターに搭載されるチェーン式のリニアトロニックCVTも、スチールベルト式のCVTとは異なり、DレンジのままでもCVT特有の間延びした加速感は皆無!ステップ変速の小気味よい加速感が気持ちよい。CVT嫌いの人にこそぜひ一度体感していただき、その違いを体感してほしい!これまでのCVTのイメージが大きく変わるはずだ。

実際筆者も愛車を購入するまではCVT独特のフィーリングが苦手であったが、今では微速領域でも扱いやすいリニアトロニックは忖度なしにデュアルクラッチ式のトランスミッションより好印象になっている。

ティグアンTDIはディーゼルならではのトルクフルで低燃費な走り。欧州車らしい質感を感じられるグランドツーリングSUV。
一方のフォレスターSPORT EXはティグアンよりも100kg軽量な車重と扱いやすさ。SUVらしからぬスポーティな走りがアドバンテージとなる。


価格差は約200万円!? 国産車のサポート体制かディーゼルのランニングコストか
車両本体価格がフォレスターSPORT EXの約419万円に対し、ティグアンTDI4MOTIONエレガンスは約621万円と200万円も差があるため、同クラスとしては比較しづらい面はある。とはいえティグアン(TDI4MOTIONの廉価グレード「アクティブ」なら500万円台)は輸入車としては比較的リーズナブルな方。ディーゼルエンジンと好燃費で燃料代を抑えられる点はユーザーにとってうれしいポイントだ。

また、ディーラーでローンを組んだ場合、2025年5月現在ではティグアンが金利3.49%、フォレスターが3.9%とローン時の支払いも若干有利だ。

どうしても関税や為替レートの関係もあり高額になりがちな輸入車だが、ランニングコストを考えた場合、燃料単価の安いディーゼル車は大きなメリットになる。
フォレスターであれば、人気も高くリセールバリューの高さや、きめ細かいオーナーサポートプログラムなど、国産車ならではの魅力がアドバンテージといえる。

日常使いから、週末のアウトドアレジャーまでカジュアルに使えるフォレスターSPORT EXか、プレミアムなドライビングを楽しめるティグアンTDI4MOTIONか、皆さんならどちらを選びますか?
メーカー | スバル | フォルクスワーゲン |
車名 | フォレスター | ティグアン |
グレード | SPORT EX | TDI4MOTIONエレガンス |
全長 | 4655mm | 4545mm |
全幅 | 1830mm | 1840mm |
全高 | 1730mm | 1655mm |
ホイールベース | 2670mm | 2680mm |
車重 | 1640~1660kg | 1750kg |
最低地上高 | 220mm | – |
最小回転半径 | 5.4m | 5.4m |
乗車定員 | 5名 | 5名 |
トランク容量 | 489L〜1190L(+23L) | 652L |
エンジン | CB18型 水平対向4気筒DOHCインタークーラーターボ | DXN型 直列4気筒DOHCインタークーラーターボディーゼル |
排気量 | 1795cc | 1968cc |
最高出力 | 177ps(130kW)/5200-5600rpm | 193ps(142kW)/3500-4200rpm |
最大トルク | 30.6kgm(300Nm)/1600-3600rpm | 40.8kgm(400Nm)/1750-3250rpm |
燃料/タンク容量 | レギュラー/63L | 軽油/61L |
WLTC燃費 | 13.6km/L | 15.1km/L |
サスペンション | F:ストラット R:ダブルウィッシュボーン | F:ストラット R:4リンク |
ブレーキ | F・R:ベンチレーテッドディスク | F:ベンチレーテッドディスク R:ディスク |
タイヤサイズ | 225/55R18 | 235/55R18 |
駆動方式 | 4WD | 4WD |
トランスミッション | CVT | 7速DCT |
価格 | 419万1000円 | 621万8000円 |