「クルマを日本の文化に」豊田章男新会長、日本自動車会議所の活動方針を語る

内山田竹志氏に続き、日本自動車会議所会長に就任した豊田章男氏
「今日はいい言葉を聞いた」。2025年6月10日、日本自動車会議所の定時総会後に開催された総会懇親会の出席者が、こうつぶやくほど。新会長に選出された豊田章男氏のあいさつは独自色にあふれていた。

TEXT&PHOTO:中島みなみ

文化向上の原点に立ち返る

 日本自動車会議所の新会長に豊田章男氏が選出された。自動車関連税制見直しの2025年。関連産業の意見集約の要となる会議所。新会長は「クルマを日本の文化にを合言葉に」という目標を掲げた。

 その言葉とは、新会長に就任した豊田章男氏が6分という短い時間に語った会長就任の抱負。会議所が設立された昭和21年の趣意書をたどり、こう切り出した。

「79年前に書かれた趣意書の冒頭がこちらです。国民の生活維持と文化向上にクルマは不可欠とあります。つまり、今クルマは日本の人流物流に欠かせないものとして、お役に立てているものと思っております。しかしながら、文化向上という点では、クルマは日本のお役にたてているのでしょうか」

会議所が設立された昭和21年の趣意書をたどって話をする豊田章男新会長

 流行りのAIに国の自慢は、と問いかけた豊田氏。その回答を例に、ドイツでは「いちばんの自慢は経済と技術力、その代表選手が自動車という結果だ」と引き合いに出し、文化や伝統を筆頭にしてクルマがなかなか出てこない日本の現状を変えたいという方向性を、自動車会議所の活動スローガンに掲げた。

「車を日本の文化にこの合言葉を新たな合言葉として、我々日本自動車会議所は、これからさまざまな活動をしていければと考えております」

 国内自動車メーカーの団体である日本自動車工業会の会長を二度、約7年にわたって組織改革にも辣腕を振るった豊田氏。日本自動車会議所でも、独自色があふれる幸先を切った。

日本自動車工業会の片山正則会長と談笑する豊田章男会長。片山氏は自工会で豊田氏の後に就任している

自動車ユーザー団体のJAFも新加入

 日本自動車会議所には、自動車関連産業のほぼすべての団体が加盟している。製造、販売、物流、旅客、保険、燃料に加えて、2025年4月からは自動車ユーザー団体としてJAF(日本自動車連盟)も新規加入した。

 JAFは自動車関連税制や自動車賠償責任制度など自動車ユーザーの立場で、モノをいう組織。豊田氏は、自工会と会議所の違いについても言及した。

「自工会のときは、私は自動車産業が国から頼られる存在になっていきたいと言っておりました。動かしたい相手は国であり、政府だったと思います。それに対して今回、自動車会議所で動かしていきたいのは、人々の心だと考えております。クルマが自慢したくなる文化になっていくためには、政府ではなく、日本の皆様の心を動かさないといけないと思っております」

「そこにはあらゆる現場があり、車に関わるさまざまな仕事をしております。そのみんなが車を日本の文化にするため、いろいろなアクションを始められたら、日本の経済や国の力にもっと役に立てるようになると思います。

 日本自動車会議所、多くの方々にとっては聞きなれない団体だと思います。まずは会議所という名前とスローガンだけでも本日覚えていただき、よろしくお願いいたします」

自動車会議所総会懇親会には、中野国土交通相も出席した

一般社団法人 日本自動車会議所 役員

■会長
豊田 章男
■副会長
片山 正則(日本自動車工業会 会長)
加藤 敏彦(日本自動車販売協会連合会 会長)
坂本 克己(全日本トラック協会 会長)
清水 一郎(日本バス協会 会長)
川鍋 一朗(全国ハイヤー・タクシー連合会 会長)
茅本 隆司(日本自動車部品工業会 会長)
喜谷 辰夫(日本自動車整備振興会連合会 会長/新任)
坂口 正芳(日本自動車連盟 会長/新任)
■理事
赤間 俊一(全国軽自動車協会連合会 会長)
ゲルティンガー 剛(日本自動車輸入組合 理事長/新任)
塚田 長志(日本中古自動車販売協会連合会 会長/新任)

豊田新会長体制での副会長、理事ら役員

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