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2025年秋からアメリカでの販売を開始
日産は6月17日21時、第3世代となる新型「日産リーフ」をグローバル向けに発表した。「日産リーフ」は2010年の初代モデル発売以来、15年間でグローバルに約70万台を販売し、その推定累計走行距離は約280億キロメートルに達する。新型「リーフ」は、長年にわたり蓄積してきた日産の知見を最大限に活用して開発された。
新型「リーフ」は、現行のEVユーザーのみならず、今後、内燃機関車からの代替を検討する層にとっての有力な選択肢となることを目指し、航続距離の大幅な向上や充電速度の改善に加え、EVが生活の一部としてライフスタイルを豊かにするための技術を搭載している。
新型「リーフ」は、2025年秋に米国での販売開始を予定しており、その他の地域にも順次展開していく計画だ。


日産初となる技術
• モーター、インバーター、減速機を一体化した新型3-in-1パワートレイン
• NACS(北米充電規格)充電ポートおよびプラグ・アンド・チャージ機能(北米市場限定)
• ナビゲーションと連動しバッテリー温度を管理するナビリンクバッテリーコンディショニング
• LED 3Dホログラフィック リアコンビネーションランプ
• 調光パノラミックガラスルーフ(遮熱仕様)
• インテリジェントディスタンスコントロール
「リーフ」として初採用となる仕様・装備
• 水冷式の温度調整システムを備えたリチウムイオンバッテリー(最大75.1kWh)
• 14.3インチのデュアルディスプレイ(統合型インターフェイスディスプレイ)
• Googleマップを含むGoogleビルトイン機能
• ワイヤレスApple CarPlayおよびAndroid Auto
• フラッシュドアハンドル
• 19インチホイール
• 64色のアンビエント照明
• 3Dビュー、インビジブルフードビュー、フロントワイドビュー機能を備えたインテリジェントアラウンドビューモニター
• Bose Personal Plus プレミアムオーディオ
スリークで大胆でありながら緻密に構築されたデザイン
新型「リーフ」は、「日産アリア」より導入された「タイムレスジャパニーズフューチャリズム」というデザインランゲージをさらに進化させている。シンプルでありながら力強く、モダンな表現を通じて、日本独自の美意識をデジタル時代に即した形で体現している。
エクステリアデザイン
神奈川県厚木市に所在する日産グローバルデザインセンターのデザインチームは、新型「リーフ」のエクステリアを設計するにあたり、空力性能に優れた大胆な造形を目指した。滑らかな面構成と、未来的な「デジタル“禅”」のアクセントが特徴である。
フロントは、彫刻的かつEVらしいグリルレスのバンパーが、スムーズにボンネットラインと融合し、空力効率を高めている。サイドビューは、ファストバックのようなシルエットがなめらかにリアデッキへとつながり、車両後方へ気流を美しく導く構造である。格納式のフラッシュドアハンドルやホイールアーチモールディングはシームレスに統合され、平滑な外観を形成している。空力性能を考慮して設計されたホイールと、フラットなアンダーボディにより、さらなる空力向上が図られている。
Aピラーからリアハッチにかけて描かれる緩やかなアーチ状のウィンドウラインには、日本刀(カタナ)から着想を得たデザインが取り入れられ、日本的なDNAを表現している。
グロスブラック仕上げのテールゲート中央部には、「NISSAN」のブランド名が文字で表示され、ブランドとしての存在感を際立たせている。
新型「リーフ」は、米国および日本仕様で空気抵抗係数(Cd値)0.26を達成しており、欧州市場向けの一部仕様では専用タイヤやドアミラーの採用により、さらに低い0.25を実現している。
チャージングポートリッドには、日産グローバルデザインセンターが設計した証として、「II三パターン」が刻印されている。このパターンは第3世代「リーフ」の新時代を、遊び心とともに新鮮なエネルギーで表現している。
ライティング
フロントには、6つの丸みを帯びた長方形で構成されたシグネチャーランプを備え、最新のVモーションを象徴している。日産ロゴの上には一文字のLEDライトバーが配置され、ウインカーおよびポジションランプ、シグネチャーランプと連動し、一目で新型「リーフ」と識別可能なデザインとなっている。
リアには、LED 3Dホログラフィック リアコンビネーションランプを採用。「デジタル“禅”」の要素を映し出し、2~3のパターンで構成されたランプ群は、見る角度により奥行き感が変化するホログラム的効果を生む。この先進的なデザインは、新型「リーフ」に搭載された革新技術群を象徴しており、「日産らしさ」を視覚的に訴求している。
また、フロントおよびリアのランプは、オーナーが車両に近づいたり離れたりする動作に応じて、ウェルカム/フェアウェルシーケンスにより点灯するようプログラムされている。
ホイール
ホイールは空力性能を高めるとともに、大胆かつモダンなスタイルを表現する3種類を設定している。
• フルカバー付き19インチスチールホイール
• 18インチアルミホイール
• 235/45R19タイヤを装着した19インチアルミホイール

エクステリアカラー
新型「リーフ」は、個性豊かな全8種類のエクステリアカラーコンビネーションを展開する。その中には、鮮やかな「シーブリーズブルーパール」(米国仕様名称)も含まれており、上位グレードにはブラックルーフとのコントラスト配色も用意されている。

インテリアデザイン
新型「リーフ」のキャビンは、快適性および機能性を追求して設計され、広々とした空間を特徴とする。採用されるプラットフォームはCMF-EVであり、フラットなフロア構造に加えて、空調ユニット(HVAC)をモータールーム内に配置することで、前席足元に開放感あるスペースを確保している。
インストルメントパネルは、横方向に広がるフローティングデザインにより、落ち着きのあるミニマルな印象を演出する。さらに、プッシュボタン式のシフターを採用することで、より一層の開放感を創出している。
シート
新型「リーフ」は、前席・後席ともにゼログラビティシート構造を採用している。後部座席は6:4の分割可倒式であり、ISO FIXタイプのチャイルドシートにも対応する。
インテリアカラー
インテリアは、厳選された素材とともに、インストルメントパネル、シート、アームレスト、コンソールに施されたコントラストの効いたカラーアクセントにより、洗練された雰囲気を演出している。カラーバリエーションはブラック、ライトグレー、ホワイトの3種類を設定しており、シート素材はファブリック、レザー調素材、あるいはTailorFit合成皮革から選択可能である。

調光パノラミックガラスルーフ
新型「リーフ」は、高い遮熱効果を持つ調光パノラミックガラスルーフを採用している。電子調光技術により、ガラスの透明度を変化させることで、室内に入る光の量をボタン操作で自在に調整することができる。ガラス部には赤外線反射コーティングが施されており、年間を通じて快適な室内環境を提供する。
デザイナーは、日本の伝統的な「霞(かすみ)」模様から着想を得て、シェードパターンをデザインした。また、調光ルーフが作り出す影には、小さな「LEAF」ロゴが浮かび上がるという遊び心も加えられている。調光モードには、フルシェード(全閉)、フロントシェード(前側のみ)、リアシェード(後側のみ)、およびシェードレス(透明)が設定可能である。

ラゲッジスペース
北米および日本仕様の新型「リーフ」は、後席を起こした状態で最大420リットル(VDA方式)の荷室容量を確保している。欧州仕様では独自のトランク構造により、最大437リットルの容量を実現している。荷室へのアクセスは容易であり、パワーテールゲートも設定されている。また、一部仕様にはルーフレールも装備されており、アクセサリーとしてクロスバーの装着も可能である。
スムースでありながらレスポンスに優れたEV走行性能
新型「リーフ」は、リニアかつ高応答な、スムースで快適な走行性能を実現することを目指して開発された。
従来は個別に構成されていたモーター、インバーター、減速機を一体化した新開発の3-in-1 EVパワートレインは、従来モデル比で10%の小型化を実現している。日産独自のモーター制御技術により、さらなる静粛性の向上とスムースな走行性能を達成した。また、新たに開発された高剛性モーターマウントは、モーター振動を従来比で75%低減しており、高遮音カーペットの採用と相まって、車内の静粛性を著しく向上させている。
搭載されるバッテリーは温度調整機能付きのリチウムイオンバッテリーであり、以下の2種が設定されている:
バッテリー | 52kWh | 75kWh |
使用可能電力量 | 52.9kWh | 75.1kWh |
最高出力 | 130kW (174 hp) | 160kW (214 hp) |
最大トルク | 345Nm | 355Nm |
航続距離と充電性能
新型「リーフ」は、実用的な航続距離と、迅速かつ簡便な充電体験の両立を図っている。
米国仕様の75kWhバッテリー搭載モデルは、EPA基準で最大303マイル(日本・欧州ではWLTC基準で600km超)という航続距離を達成している。北米ではNACS(テスラと共通の規格)コネクターを採用し、テスラのスーパーチャージャーへの対応も可能である。
日本仕様はCHAdeMO方式、欧州仕様はCCS方式を採用している。急速充電ポートは最大150kWに対応しており、この出力に対応する充電器を使用すれば、10〜80%の充電を最短35分で完了できる仕様となっている。
エネルギーマネジメントと熱効率技術
新型「リーフ」には、新たに車両全体の冷熱システムを統合制御するエネルギーマネジメントシステムが採用されている。普通充電時に車載充電器(OBC)から発生する熱を活用し、バッテリーを温めることで寒冷時の回生性能を向上させるほか、バッテリーの熱をエアコン暖房として利用するなど、発生熱を最大限に有効活用する設計となっている。
さらに、ナビゲーションと連動するナビリンクバッテリーコンディショニング機能を搭載することで、走行ルートに応じてバッテリー温度を最適化する。目的地を設定すると、ルート上の勾配や高速道路区間などの負荷を予測し、必要に応じて冷却モードを自動調整することでエネルギー消費を抑える。また、夏季の急速充電時には、充電後の走行ルートが低負荷であると判断された場合にバッテリーの許容温度を一時的に調整し、充電速度の向上を図る。
「インテリジェントルートプランナー」を使用すれば、目的地までの経路案内に加え、リアルタイムの交通情報やバッテリー残量に応じた最適な充電スポットの案内も可能である。
ダイナミックな走行性能
新型「リーフ」は、日産のCMF-EVプラットフォームを基に開発されており、フロントにストラット式、リアにマルチリンク式のサスペンションを採用することで、優れた乗り心地と安定性を両立している。さらに、車体剛性を高めたことにより、横方向の剛性は従来比で66%向上している。
また、235/45R19の大径タイヤを装着しながらも、最小回転半径は5.3mに抑えられており、都市部においても優れた取り回し性能を発揮する。
先進運転支援技術
新型「リーフ」は、日常の運転における安心感と快適性を高めるために、数々の先進的な運転支援技術を備えている。
その一例が、新開発の「インテリジェントディスタンスコントロール」である。この技術は、先行車が減速しドライバーがアクセルを戻した際に、車両が自動的にブレーキを滑らかに制御し、減速動作を支援する。また、先行車が徐々に停止する場合にも追従してスムーズに停止まで制御し、渋滞などでの加減速に伴う運転負荷を軽減する。
また、「インテリジェントアラウンドビューモニター」は、車外をさまざまな仮想視点から確認可能な「ビュー」機能に加え、交差点や前方の視界が悪い場面で役立つ「フロントワイドビュー」、さらにボンネット下の路面状況を表示する「インビジブルフードビュー」も搭載しており、視認性の向上を図っている。
高速道路走行時には、インテリジェントクルーズコントロールとステアリングアシストを組み合わせた「アシスト」機能を搭載しており、日本仕様には「プロパイロット2.0」を標準装備している。
ライフスタイルを豊かにする技術
新型「リーフ」は、ゼロエミッションモビリティとしての役割にとどまらず、「V2L(Vehicle-to-Load)」機能を通じて災害時やアウトドアにおける電力供給手段としても活用可能である。
米国仕様では、室内および荷室に120Vコンセントをそれぞれ1基ずつ設置し、合計最大1500Wの電力が利用できるため、キャンプなどのシーンで家電製品を使用することができる。また、充電ポートに接続するV2Lアダプターを用いた電力供給も可能である。最大出力は日本仕様で1500W、米国仕様で1800W、欧州仕様では最大3.7kWに達する。
加えて、日本仕様には「V2H(Vehicle-to-Home)」機能も継続して搭載されており、V2H対応機器と接続することで、家庭への電力供給や太陽光発電による電力の蓄電も可能である。これにより、ピーク電力需要の抑制や停電時のバックアップ電源としても活用できる。
生産拠点と販売情報
新型「リーフ」は、日本の栃木工場およびイギリス北東部のサンダーランド工場で生産される予定である。価格や仕様の詳細については、各市場の販売開始時期にあわせて発表される見込みとなっている。

