ジープ初のマイルドハイブリッド車ジープ・レネゲードe-Hybrid。ハイブリッドシステムは「中辛」だ

ジープブランドのコンパクトSUV、レネゲードにジープ初となるマイルドハイブリッド車の「e-Hybrid」が加わった。パワートレーンは横置きで、ガソリン1.5L直列4気筒直噴ターボエンジンに7速DCTの組み合わせ。7速DCTの内部に最高出力15kW、最大トルク55Nmを発生する48V駆動のモーターを搭載し、容量0.8kWhの専用バッテリーを床下に搭載。駆動方式はFF(前輪駆動)である。そのe-Hybridに試乗した。
TEXT & PHOTO:世良耕太(SERA Kota)

発進はEV走行。e-Hybridの仕組みは?

ジープ・レネゲード Altitude e-Hybrid 車両本体価格:544万円

マイルドハイブリッド車の設定にともない、エクステリアとインテリアに手が加えられた。エクステリアでは、ジープのアイデンティティである7スロットグリルをグロスブラックに変更。ドアミラーはグロスブラックからブラックに、ドアハンドルはボディ同色からブラックに変更されている。結果、渋めの引き締まった意匠になった。

ジープのアイデンティティである7スロットグリルをグロスブラックに変更。
全長×全幅×全高:4255×1805×1695mm ホイールベース:2570mm
トレッド:F1550mm/R1550mm 最小回転半径:5.5m

主要装備を見ていくと、ヘッドライトとコーナリング&フォグランプ、テールランプはLED。ウインカーは前後ともバルブだ。タイヤサイズは215/60R17で、試乗車はブリヂストン・トランザT005が装着されていた。

インテリアでは、従来の8.4インチから10.1インチのタッチスクリーンに変更されている。ディスプレイが大きくなったのは朗報だ。オーディオ/ナビはApple CarPlay/Android Autoに対応。センターコンソールにはUSB-AとCのポートが設定されている。メーターはフルカラーの10.25インチマルチビューディスプレイ。本革巻きステアリングは新デザインを採用。レザーシートを装備しており、フロントはシートヒーター付き。運転席はパワーシートで、助手席はマニュアル調整だ。

エンジン
形式:直列4気筒DOHCターボ
型式:46347813
排気量:1468cc
ボア×ストローク:71.2mm×92,2mm
圧縮比:ー
最高出力:131ps(96kW)/5250pm
最大トルク:240Nm/1500rpm
燃料供給:DI
燃料:無鉛プレミアム
燃料タンク容量:48L

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モーター
型式:交流同期モーター
定格出力:11ps(8kW)
最高出力:20ps(15kW)
最大トルク:55Nm

e-Hybridパワートレーンは走行状況に応じて100%電気走行(EV走行)、ハイブリッド走行、エンジン走行を自動的に切り換える。発進時は基本的にEV走行で、センターコンソール後方にある「eAuto OFF」のボタンを押すとエンジン走行を基本とするモードに切り替わる。発進はモーター、高速巡航時はハイブリッド、加速時はエンジンを主役として走るのが基本だ。

最高出力96kW(131ps)/5250rpm、最大トルク240Nm/1500rpmを発生する1.5L直列4気筒直噴ターボエンジン(BMEP20.5bar)は、ミラーサイクル(圧縮比<膨張比の高膨張比サイクル)を適用していることから推察できるように、燃費を意識した仕立てとなっている。レネゲードはいわゆるアメ車だが、燃料は(レギュラーではなく)ハイオク指定だ。このことから推察できるように中身はヨーロッパ車で、プラットフォームを含めフィアット500Xと技術の多くを共用する。ずいぶん前に500Xに乗ったときはヒョコヒョコと上下に細かく揺すられる動きが気になったが、レネゲードe-Hybridはヒョコヒョコした動きは顔を出さず、ずいぶん穏やかな仕立てになっていた。

燃費も良好!

内装色はトレスパスブラック

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e-Hybridはトランスミッションに組み込むモーターに加え、12Vのベルト駆動スターター・ジェネレーター(BSG)も搭載する。エンジン再始動はBSGが受け持ち、EV走行やエンジンのアシスト、減速時の回生(発電)は48Vモーターが受け持つ。e-Hybridはマイルドハイブリッドの触れ込みだが、走らせてみた実感は「ストロング」に近い。マイルドがカレーライスでいう甘口、ストロングが辛口なら、レネゲードe-Hybridのハイブリッドシステムは「中辛」のイメージだ。

前述したように、(手動でオフにしない限り)発進はEV走行なので、電動車に乗っている感覚を存分に味わうことができる。EV走行は基本的には15〜20km/h程度まででそれ以上の速度域、あるいはドライバーの加速要求が強いときはエンジンが始動してエンジン主体の走りになる。エンジンが始動するタイミングではロードノイズなどの走行音が大きくなっているので、音でエンジンの始動を感知するのは難しいし、ショックもない。力加減は1.5Lターボエンジン車と聞いて期待するイメージどおり。アクセルの踏み込みに対する応答が良くスムースなので、ストレスなく走れる。

エンジンの存在を感じさせないEVライクな走りは国産ハイブリッド車の専売特許だと思っていたが、そうも言っていられなくなったとレネゲードe-Hybridに乗って思った。定常走行時はもとより、強く加速してエンジン回転が高まるシーンでも、決して騒々しくはなく、快適なドライブに水を差すようなことはない。ちなみに、100km/h走行時のエンジン回転数は2000rpm+αだ。

センターのタッチディスプレイにエネルギーフローを表示して確認していると、高速道路などでの定常走行時にアクセルをオフにした際、エンジンを停止させるいわゆるコースティング状態になるのがわかる。燃費のためだろう。再びアクセルを踏み込むと瞬時にエンジンは始動するが、体感上の変化はなく、システムは黒子に徹している印象だ。

e-Hybridは制動時に油圧ブレーキと回生ブレーキの配分を自動で制御する、協調回生ブレーキを備えている。この制御もうまく機能しており、通常のブレーキを操作するのとフィーリングになんら変わりはない。減速時の回生ブレーキの強弱を切り換えるスイッチやパドルは装備しておらず、減速の強さをドライバーの好みで切り換えることはできない。アクセルオフ時の減速感は、一般的なエンジン車と同等だ。

また、エネルギーフローの表示はエンジンが出力を発生するのと同時にバッテリーに充電していることを示していた。48Vモーターを連れ回すことでエンジンに負荷を与えてスロットルが大きく開くようにしてポンピングロスを減らし、燃費率の良好なゾーンで運転するよう制御しているのだろう。レネゲードe-HybridのWLTCモード燃費は17.7km/L。試乗時は117.4km走り、この間の燃費は17.3km/Lだった。撮影のためにシステムを起動させてはちょっと動かし、また停止、システムオンのまま長時間室内に留まっていたりもしたので、肌感覚としてはモード燃費を楽々と上回るポテンシャルがあると感じた(一時19.5km/Lまで伸びている)。

ジープ初のマイルドハイブリッド車、レネゲードe-Hybridはフォルムやディテールにジープの血統を色濃く受け継いだモデルながら、最新のテクノロジーを投入することにより燃費の優等生に変身。しかも、走りは上質。遊び心や冒険心をかき立てるイメージを備えながら、その実スマートなコンパクトSUVだ。

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ジープ・レネゲード Altitude e-Hybrid
全長×全幅×全高:4255×1805×1695mm
ホイールベース:2570mm
車重:1745kg
サスペンション:Fマクファーソン式 Rマクファーソン式
駆動方式:4WD
エンジン
形式:直列4気筒DOHCターボ
型式:46347813
排気量:1468cc
ボア×ストローク:71.2mm×92,2mm
圧縮比:ー
最高出力:131ps(96kW)/5250pm
最大トルク:240Nm/1500rpm
燃料供給:DI
燃料:無鉛プレミアム
燃料タンク容量:48L
モーター
型式:交流同期モーター
定格出力:11ps(8kW)
最高出力:20ps(15kW)
最大トルク:55Nm
燃費:WLTCモード燃費:17.7km/L
 市街地モード14.8km/L
 郊外モード18.2km/L
 高速道路モード18.8km/L
充電電力使用時走行距離プラグインレンジWLTC:49.8km
EV走行換算距離WLTCモード:48km
トランスミッション:7速DCT
車両本体価格:544万円

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著者プロフィール

世良耕太 近影

世良耕太

1967年東京生まれ。早稲田大学卒業後、出版社に勤務。編集者・ライターとして自動車、技術、F1をはじめと…