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ヒストリックイベントの定番!ポルシェ911ではラリーでも活躍
ポルシェ911はラリーに限らずヨーロッパのヒストリックイベントでは必ず目にする車種。スペインで開催されたEHRC開幕戦『Rally Costa Brava(ラリー・コスタ・ブラーヴァ)』にも様々な911がエントリーしていた。その多くは911 SCだけど、中にはRSRなどの競技に特化した車種も参戦。

ポルシェ使いとしてレースはもちろんダカールやヒルクライムでも活躍するロマン・デュマはマシュー・タイラン組んでカレラRS3.0で参戦。クラスは違うものの、空冷ポルシェでラトバラ/フッシ組のグループAセリカGT-FOUR(ST185型)と好勝負を見せ、ギャラリーはもちろん関係者も驚かせていた。

数少ないグループA時代のFR優勝車・BMW M3とフォード・シエラ・コスワース

最近のヒストリックラリーの世界でシェアを増やしているのはE30型BMW M3だろう。『ラリー・コスタ・ブラーヴァ』には大挙としてエントリーしていて、存在感を示していた。


現役時代には既に不利とされていた後輪駆動でありながら、ターマックラリーでは軽量さを活かし4WDターボ勢に肉薄することもあり、1987年のWRC第5戦『ツール・ド・コルス』でロスマンズカラーのE30型M3を駆るベルナール・ベガン/ジャン・ジャック・レネ組がランチア・デルタを退けて総合優勝したことは有名な話だ。

ベルナール・ベガンはこの後1989年までE30 M3で主にフランス選手権を中心に活躍し、1990年からはフォード・シエラRSコスワースで参戦を開始。

BASTOSカラーを纏ったシエラは1991年から3年連続でフランスチャンピオンを獲得することになる。『ラリー・コスタ・ブラーヴァ』でもFINAやBASTOSカラーのシエラが参戦していて、ギャラリーの注目を浴びていた。



ラリーといえば歴代フォード・エスコート
ヒストリックラリーの常連といえば歴代のフォード・エスコート。数は減った印象があるものの、まだまだ一大勢力と言える。


EHRCに参戦可能になったグループAやグループNのエスコートRSコスワースも少ないながら参戦。特徴的なサイド出しエキゾーストから派手に火を吹くシーンにギャラリーも大喝采だ。

エスコートに限らず、1980~1990年代のグループAやグループN車両は今後さらに増えてくることが予想されるので、さながら1990年代のWRCのような光景が見られるかもしれない。

グループAラリーカーといえばやはりランチア・デルタ
ランチア・デルタ・インテグラーレも1980~1990年代を代表する車種だ。マルティニカラーのデルタはギャラリーからの人気も抜群で、どこに行っても常に人だかりができていた。

アバルトとの関係も深いミラノレーシングから参戦したデルタは、どこからどう見ても当時のグループAワークスカーの佇まいで、ランチアのお膝元であるトリノナンバーを付けた1台はギャラリーからも注目の的だった。


イタリア国内のヒストリックラリーにも積極的に参戦している”ラッキー”/ファブリツィア・ポンス組は真っ黒のデルタ16Vで参戦。ラッキーことルイージ・バティストッリ選手は若かりし頃はフェラーリ308やインプレッサWRCで主にイタリアのグラベル選手権を主戦場にしてきた大ベテランだ。

長年コンビを組むコドライバーのファブリツィア・ポンス選手も言わずと知れた大ベテラン。ミシェル・ムートンとのコンビはあまりにも有名で、その後もアリ・バタネンやピエロ・リアッティとのコンビでWRCで大活躍した選手だ。このコンビの特徴は完走率の高さ。それでいて年齢を感じさせない速さも見せ、常に驚かされる。

オペルやセアト……日本ではあまり知られていないマシンも多数エントリー
日本ではまずお目にかかれない車種が多く参戦しているのも欧州のヒストリックラリーの特徴。オペル・カデットのラリー車自体は珍しいものではないのだけど、カデットのキットカーは筆者も初めて撮影した。

オペルからは他にもコルサAとも呼ばれる初代コルサGSiやアスコナ、マンタなど往年のラリー車が参戦。ステランティスグループの一員となったオペル。最近ではコルサRally4で各国の国内選手権に参戦中だ。


かつてはWRCにワークス参戦していた地元スペインのセアトからは、見た目も中身もフィアット・パンダと同じマルベーラが参戦。レギュラリティクラスにはイビーザや124の姿も。



モンテカルロ・ヒストリークなどのイベントにも積極的に参戦するセアト。このラリーでも存在感を見せ、セアト初の生産車であるセアト1400をはじめ、貴重なヒストリックマシンを参戦させていた。
往年の選手が当時のマシンでエントリーしているのはオールドファンには感涙モノ

開催国やイベントによって特徴的な車種構成となることが多いヒストリックラリー。最近のEHRCは1980~1990年代のいわゆるヤングタイマー世代の車種が多くなってきた。世界的なヤングタイマー人気の影響もあるだろうけど、選手たちの過去の戦歴を遡るとそれらヤングタイマー世代の車種が現役時代にラリーに参戦していたことに気がついた。

選手も車も一線からは退いたものの、かつての愛機で再びラリーに参戦するという素敵なストーリーが見えてきて、このシリーズの新たな魅力に気づいた思いだった。



