【プジョー3008GTプラグインハイブリッド4でゆく1400km vol.1】

プジョー3008プラグインハイブリッド4で高速道路を走ってみた!1.6Lターボ+2モーターでシステム総合300馬力&520Nmは伊達じゃない!!

輸入車に全く縁もゆかりもない筆者が、今回はプジョー3008GTプラグインハイブリッド4でロングツーリングを敢行した!その距離およそ1400km……まず高速道路でのインプレッションをお届けしよう。
REPORT:井元貴幸(IMOTO Takayuki) PHOTO:MotorFan.jp

プラグインハイブリッドを設定するミドルクラスSUV

プジョー3008GTプラグインハイブリッド4

プジョー3008はミドルクラスのSUVとして人気の高いモデル。今回試乗したのは2021年に販売を開始した大幅改良されたモデルで、マイナーチェンジで追加されたPHEVモデルの「GTプラグインハイブリッド4」だ。

プジョー3008GTプラグインハイブリッド4

このGTプラグインハイブリッド4は、1.6L直列4気筒DOHCターボエンジンに加え、前後にモーターを搭載するPHEV。搭載されるエンジンは200ps/300Nmと、エンジンだけでも十分すぎるほどのパワーを持つが、モーターはフロントが110ps/320Nm、リヤが112ps/166Nmと、こちらもかなりの高出力だ。これによりシステム合計出力とトルクは最大で300ps/520Nmとなっており、パワフルな走りに期待が高まる。

1.6L直列4気筒DOHCターボは200ps/6000rpm・300Nm/ 3000rpmというスペックでエンジンだけでも十分パワフルな数値。これにF:110ps/R: 112ps・F:320Nm/R:166Nmの前後2モーターが加わる。

筆者の愛車は純ガソリン車ながら300psの4WDということもあり、PHEVとガソリン車の違いもレポートしよう。

プジョー3008GTプラグインハイブリッド4の4WDシステムはリヤモーターによるe-4WDのため、プロペラシャフトが存在しない。写真は後方から撮影したもので、車体中央には排気管が通っている(手前は横長のマフラー)。

車重を感じさせなお2モーターのパワーとトルクフルな加速にニヤリ

まずは高速道路でのインプレッションだが、往路では走行用バッテリーをフル充電の状態からスタート。合流や料金所通過後のダッシュはスペック以上に力強さを感じる。この辺りはガソリン車では得られない強烈なもので、PHEVならではの加速感に思わずニヤけてしまう。1880kgの車両重量は全く感じさせないパワフルさはスポーツモデルも顔負けだ。

あいにくロケ前半は雨であったが、エネルギーモニターに目をやると駆動制御がかなりきめ細かく、フロントモーターとリヤモーターを加速や減速、コーナリングなど様々な状況で目まぐるしく可変させていることがわかる。

メーター表示パターンは複数用意されているが、これはエネルギーフローをメインにした表示。中央がエンジンと電力のパワーデリバリー。右端がパワー/回生メーター。

それでいて、ステアリングを握っていると、そうした切り替えを感じることはなく、滑りやすい路面の高速走行でも安定した走りでドライ路面と変わらずリラックスしてドライブができる。至って当たり前のことのように思えるが、実は雨天時の高速走行では繊細なステアリング操作やアクセルワークを知らずのうちに行っているケースが多く、これの蓄積が疲労につながるのだ。

ロケ前半は雨で、場所や時間によっては雨足がかなり強くなることも。昨今の高速道路は昔に比べて舗装も水捌けも良くなっているが、それでも雨ともなれば運転は通常より気を遣うことになる。

また、1900kg近い車重は、ネガ要素として捉えがちだが、こうした悪天候のもとでは確実なトラクションを発揮するため安心感という面では恩恵が大きい。

中央自動車道の談合坂や八ヶ岳周辺の長い上り坂でも速度維持は当然、追い越しでも余裕であった。

前後のモーター出力が異なる点も、こうした細かな制御によりシーンによって前輪駆動になったり後輪駆動になったりと、それぞれの駆動方式のメリットを生かした走りは乗っていて面白さを感じる。

エンジンでフロントタイヤを駆動している状態。
エンジンでフロントタイヤを駆動しつつ、バッテリーに充電している状態。
バッテリーを消費してフロントモーターが駆動している状態。逆にリヤモーターのみが駆動するケースは少なめだった。
走行モードには「4WD」モードも用意されているが、フルタイムではなくスタンバイ式。今回は4WDになる状況はなかった。
フロントモーターが回生している状態。
リヤモーターが回生している状態。

エンジンのみで走行しているときはどうか?スペック上では200ps・300Nmと必要十分なパワーとトルクがあり、国産車ならハイパワー車にカテゴライズされるほどの出力だ。実際エンジン駆動のみの表示をしている状態でも高速道路での登り勾配でパワー不足を感じることはなく、8速ATのギヤ比も相まって、エンジンが無駄に高回転になることもない。ツインスクロールターボのレスポンスも抜群だ。

最高速度が120km/hになった区間でのクルージングも余裕を感じさせる。

プジョーの”猫足”イメージとは異なる欧州車的なソリッドでスポーティな乗り味

乗り味に関しては比較的硬めでソリッドな印象。高速道路の継ぎ目では硬さを感じるが、1630mmの全高を持つ3008ではレーンチェンジやジャンクションなどで、このシャープなフィーリングは安定性が高く、欧州車ならではのスポーティな走りを体感できる。

帰路ではバッテリーを使い果たした状態での走行となったが、メーター表示上ではバッテリー残量がゼロとなっているものの、実際に走行させると以外にも積極的にモーター駆動を行っている。走行中の回生充電によるものもあるが、実はハイブリッド走行に必要な電力は残しているのでは?と感じた。

スタート直後ではないが、60km走行後のバッテリー走行可能距離はメーター表示で46kmだった。
バッテリーの走行可能距離が0kmになったのは203kmほど走った時だ。

さすがにEVモードには切り換えることができないが、目に見えないバッテリー残量でフル充電時とそん色ない加速感や、4WD制御をおこなっている点は意外であった。

バッテリー残容量がなくなった状態。なお、積極的に充電や回生を行なうモードなどは無い。
バッテリーの電力が無くなると、当然ではあるがEVモードにはできない。

プラグイン充電は急速モードにこそ対応していないものの、通常のハイブリッド車同様に扱えるという点ではありがたい。ただ、メーターのバッテリー残量表示はもう少し残っていることを示してくれると精神衛生上嬉しいのだが。

充電は普通充電のみ。満充電までは200V/3kWで5時間、200V/6kWで2.5時間となっている。
ラゲッジルームのフロア下サブトランクに充電ケーブルが収納されている。

高速走行で気になる点といえばACCの制御だ。追従性や車間距離、ブレーキのタイミングは絶妙ながら、ハイパワーであるが故か、前走車がいなくなったときの設定速度までの再加速が結構強気で少し驚くシーンがあった。

ACC使用。
速度標識を読み取り、その速度に設定することもできる。標識は高速道路によくある電光式も認識した。

操舵支援についてはACC使用時の「レーンポジショニングアシスト」があまり露骨な介入をしないため制御と息が合わず逆に疲れる!といったこともないのはうれしいポイントだった。加えて車線逸脱防止の「レーンキープアシスト」もあくまでドライバー主体のセッティングに感じられた。

ACC使用時の加速こそ鋭いと感じられたが、減速や車線維持は自然な印象を受けた。
メーカープジョー
車名3008
グレードGTプラグインハイブリッド4
全長4450mm
全幅1840mm
全高1630mm
ホイールベース2675mm
車重1880kg
最低地上高175mm
最小回転半径5.6m
乗車定員5名
トランク容量520L〜1482L
エンジン水冷直列4気筒DOHCターボ
排気量 1598cc
最高出力200ps/6000rpm
最大トルク300Nm/ 3000rpm
燃料/タンク容量ハイオク/52L
WLTC燃費15.3km/L
モーター最高出力F:110ps
R: 112ps
モーター最大トルクF:320Nm
R:166Nm
バッテリー/総電力リチウムイオン/13.2kWh
システム合計最大出力300ps
システム合計最大トルク520Nm
EV走行可能距離64km
サスペンションF:マクファーソンストラット
R:マルチリンク
ブレーキF:ベンチレーテッドディスク
R:ディスク
タイヤサイズ225/55R 18
駆動方式e-4WD
トランスミッション8速AT
価格710万5000円
諸元表

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著者プロフィール

井元 貴幸 近影

井元 貴幸

母親いわくママと発した次の言葉はパパではなくブーブだったという生まれながらのクルマ好き。中学生の時…