電球切れじゃない!? ナンバー灯が点灯しなくなった理由とは?気になる修理費用は?【フィアット500PINK!オーナーレポート vol.7】

購入からまもなく2年が経過しようとしている筆者のフィアット500PINK。ラインオフから15年が経過した中古車ということで、ボチボチ手を入れたいところはあるものの不具合もなく調子良く走ってくれている。しかし4月のある日、深夜走行中にナンバー灯が突然点かなくなって警告灯が点灯するトラブルが発生した。点検してみるとリアハッチのワイヤーハーネスが経年劣化で不具合が生じたらしい。そこで横浜市泉区にあるフィアット専門店『ドッコオートテクニカ』に修理を依頼することにした。
REPORT:山崎 龍(YAMAZAKI Ryu) PHOTO:山崎 龍(YAMAZAKI Ryu) 取材協力:ドッコオートテクニカ

夜間走行中に突然ナンバー灯が点かなくなる……原因は電球じゃない?

ある日のこと。取材帰りに深夜の高速道路を愛車のフィアット500PINK!で走っていると、メーターナセル内にあるナンバー灯の警告灯が突然点灯した。タマ切れしたのかと思い、翌日にナンバー灯の電球を外して確認してみたがとくに異常は見られなかった。

ナンバー灯が点かなくなるとメーターナセル内にある写真の警告灯が点灯する(ドッコオートテクニカHPより)。

だとすると、原因として考えられるのはリヤハッチのワイヤーハーネスだろう。フィアット500のような欧州製のハッチバック車、とくにラインオフから10年以上が経過した古い車両の場合、リヤハッチの開閉を繰り返しているうち可動部のワイヤーハーネスが断線したり、皮膜の破れによって電線がむき出しとなってリークしたりして、ナンバー灯が点灯しなくなるトラブルが生じることがよくある。ほかにもコネクターの接点がズレて接触不良により、コネクタの一部が焦げたり溶けたりすることもあるようだ。

ハーネスの断線によりナンバー灯が点かなくなった筆者のフィアット500PINK!。欧州車の宿命でハッチバックの開閉を繰り替えしていると10年ほどでハーネスに不具合が生じることがある。

いずれにしても疑わしきはワイヤーハーネスだ。そのように判断して、まずは配線保護のためのグロメット(じゃばら状のゴム製部品)をずらして中を確認することにした。だが、素材のゴムが硬化して、思うようにグロメットの固定が外れない。そこで業を煮やした筆者は、思い切ってカッターナイフで切り裂き、内部を覗き見ることにした。案の定、ワイヤーハーネスはボロボロになっており、被覆が擦り切れて導線がむき出しになっている。

リヤハッチバックゲートのワイヤーハーネス。

とりあえず、応急処置を施そうと問題のある部分を切り取り、補修用の配線コードを繋ごうとしたのだが、経年劣化で皮膜がプラスチックのように硬化していて、電工ペンチを使って被膜を剝こうとしてもプツンプツンと切れてしまう。なんとか皮膜を捲って補修用コードを繋げ、接続部保護のためにビニールテープを巻き、どうにかこうにか形にはしたものの、上手く通電せず、ライトスイッチをONにしても当然ナンバー灯は点灯してくれない。

こうなっては素人ではどうにもすることができない。そこでフィアット専門店に点検・修理を依頼することを考えたのだ。

フィアット修理の駆け込み寺『ドッコオートテクニカ』に修理を依頼

今回、筆者が修理を依頼したのは横浜市泉区に店舗を構える『ドッコオートテクニカ』だ。これまで筆者は同社と付き合いはなかったが、オーナーの間では「フィアット修理の駆け込み寺」として知られる名店として、人伝にその名声は聞き及んでいた。

●ドッコオートテクニカ
横浜市泉区に店舗を構えるフィアット&アバルトの修理・販売・車検・パーツ販売・取付・保険を扱う専門店。フィアット車の整備を通して他にはない経験や知見を多く蓄えており、独自の技術的な研鑽も重ねておりフィアット車のプロ集団としてユーザーからの信頼が厚い。正規輸入車のみならず、中古や並行輸入でフィアット車を購入した人の駆け込み寺として知られている。
〒245-0009
神奈川県横浜市泉区新橋町2183-4
TEL:045-814-5500
営業時間:10:00~18:00
定休日:毎週日曜日
公式HP:https://garage-dokko.com

さっそく公式ホームページにアクセスすると、不具合の相談や修理依頼はサイト内にある申込みフォームを利用するように案内されていたので、氏名や住所、電話番号、車体番号(手元に車検証を用意しておく必要がある)などの必要事項を入力した上で、現在の症状を書き記し、修理を依頼する。

ドッコオートテクニカのファクトリー。リフトを5基備えるほか、フィアット車の整備に必要な設備は整っている。同社の建物には車検整備にファクトリーとは別に、車検整備に欠かせないテスター設備も用意されている。

すると、早くも翌日には返信メールが届いた。さっそく文面を読むと「ナンバー灯はランプユニットやハーネスが熱で変形することが多いため、修理するよりもガーニッシュのアッセンブリー交換をお勧めいたします」とある。なお、リヤガーニッシュは新品のほか、程度の良い中古品の用意もあるという。費用的には中古品を使ったほうが安上がりだが、新品のほうが部品としての寿命は長く安心感はある。少し迷ったが、今回は新品で修理を依頼することにした。

任せて安心! 信頼できるフィアットのスペシャリスト兄弟

修理予約を入れた当日となった。愛車を伴って筆者はドッコオートテクニカを訪れる。同社の工場施設はかなり大きく、立派なもので整備工場は広く、ファクトリー内には二柱リフトが並列に2基設置されており、同時に5台は入れられるスペースがあった。さらに工場からオフィスを挟んで向かって建物右端には、車検整備に欠かせないテスター設備も用意されていた。しかも、整備施設は掃除が行き届いており、床にはゴミひとつ落ちていない。

オフィスに隣接する明るく居心地の良い商談スペース兼待合室。作業を待つ間にはセルフサービスによる飲み物の提供も行っている。

なかには例外があるものの、腕の良い整備工場は病院の手術室のように清潔で整理整頓がキチンとされているというのは、長年自動車メディアで仕事をしてきた筆者の経験である。ドッコオートテクニカを訪れたのは今回が初めてだが、工場の様子をひと目見ただけでも愛車を任せても心配がないとの安心感があった。

待合室の掲示板にはお得なサービスのほか、オススメのツーリング先や車検の案内など、さまざまな情報が紹介されている。来店時にチェックすると何か良いことがあるかもしれない。

オフィスに入ると代表の小竹雄士さんと店長の小竹治郎さん兄弟が暖かく出迎えてくれた。同社は2010年にフィアットディーラーでメカニックをしていた弟の治郎さんが大和市の市役所近くに工場を開き、2012年の法人化に伴って兄の雄士さんが合流。その直後に旧店舗のすぐ近くに店舗を移転し、2021年に敷地の広い現在の場所に再移転したという。創業当初はフィアットを中心に取り扱ってきたが、移転後からはアバルトにも力を入れるようになったとのこと。

ドッコオートテクニカ代表の小竹雄士さん(写真左)と店長の小竹治郎さん(写真右)。血を分けた兄弟ならではの息の合ったコンビネーションで同社を切り盛りし、フィアット車オーナーが愛車を維持するための手助けをしてくれる。

おふたりと話をしていると、長年に渡ってフィアット車の整備を通じて蓄えてきた経験や知見、技術的な研鑽を重ねてきたことによるプロとしての自信と自負が感じられる。「餅は餅屋」のたとえの通り、フィアットに関してはフィアットのスペシャリストである専門店に任せるのがいちばんのようだ。

ドッコオートテクニカでは、お得なKONIスポーツショック交換(フィアット500の場合、11万8360円→9万9500円【税込】。部品代、交換工賃、サイドスリップ調整込み)のほか、エアコンガスリフレッシュ(1万4300円【税込】)など、さまざまなキャンペーンを実施している。フィアットやアバルトのオーナーは公式HPをマメにチェックすると良いだろう。

根気と技術を要する配線修理だけにプロに任せて安心!

不具合の説明が終わったところで、さっそく愛車のチェックをお願いする。待合室で待っていると、しばらくしてから治郎さんが診断結果を報告してくれた。幸いなことにランプユニットには異常がなく、今回はワイヤーハーネス修理だけで済むという。

フィアット500ではよくあるトラブルのようで、小竹治郎店長に相談すると社外品で断線部分を置き換える社外品のリペアキットがあるという。そこでリペアキットを使って修理をお願いすることにした。 

社外品のリペアキットを使用するので、ありがたいことにディーラーへ修理に出すよりも費用はかなり抑えられることになった。ただし、交換作業は若干の手間がかかり、工場が立て込んでいることもあって、この日は車両を預かりとなった。引き渡しは5日後になるという。

グロメットを外すと経年劣化で被覆が裂けて導線が剥き出したワイヤーハーネスが顔を出す。筆者は応急処置を試みたのだが、経年劣化で皮膜が硬化してプラスチックのようになってしまい、素人ではうまく修理ができないなかったのだ。その雑な配線修理あとはご覧の通り。

写真にある通り、作業はグロメットを取り除いてからワイヤーハーネスを引き出し、不具合箇所を含めてハッチの可動部分の古い配線を切除し、コネクターを介してリペアキットを間に噛ませて修理する。

念のためにナンバー灯の球切れがないことを確認してもらってから、リアハッチのトリムを外し、ナンバー球が内蔵されたガーニッシュを点検してもらう。ナンバー灯の不具合は、球切れやハーネスの断線だけでなく、ガーニッシュの不具合も結構あるとのこと。写真は作業に当たるドッコオートテクニカのスタッフの様子。

言葉で書くと簡単だが、ラインオフから15年が経過した配線は経年劣化により皮膜が硬化してプラスチックのようになっており、配線加工のために皮膜を剝くにも一苦労。しかも、繋げるワイヤーハーネスは1本や2本ではなく、片側だけで10本近くもあるのだ。プロの技術と根気が必要となる作業だ。

リペアキットは断線部分を置き換えるためのワイヤーハーネスの束となっている。それをコネクタで繋げて修理を行う。言うは易しだが、作業にはコツがいるとのこと。筆者のような不器用な人間(配線作業は苦手)や自信のない人は、ドッコオートテクニカのようなプロに依頼するのが確実だ。

修理が終わったら新しいグロメットを被せてワイヤーハーネスを車体に戻し、ナンバー灯が正常に点灯することを確認して作業終了となる。

ワイヤーハーネスとリペアキットを接続した状態。グロメットも新しくなった。なお、小竹店長によると、バックカメラ用の配線が残っているという。筆者はカメラを使用していないので、おそらく前オーナーがフィアットを手放す際に、バックカメラだけ取り去って配線を残したのだろう。余計な配線を残すのはトラブルの元になる恐れがあるので撤去してもらった。

気になる今回の修理費用は……?

愛車を預けてから5日後、引き渡されたフィアット500PINK!は元通りにナンバー灯が点灯するようになった。ナンバー灯が点かないと車検に受からないばかりか、整備不良で警察のお世話になる恐れがある。これで法規違反にならなくなったので本当に助かる。なお、修理費用は部品代が1万7800円、技術料が2万7900円で、合計金額は4万5700円(ともに税抜き)だった。

配線をグロメットの中に収めて修理が完了。ナンバー灯が復活し、ライトオンで無事点灯するようになった。これで車検も問題なく通せる。なお、ナンバー灯不点灯は違反点数1点と反則金7000円だ。

なお、次回はドッコオートテクニカを訪れた際に、フィアット500を末永く乗り続けるための秘訣やメンテナンスのポイントについて、代表の雄士さんに伺った話を紹介しようと思う。

ドッコオートテクニカの修理によって再び点灯するようになったナンバー灯。ナンバー灯に不具合があると、車検に受からないばかりか、整備不良で警察の取締りの対象となる。これで安心して夜間も運転できるようになった。

キーワードで検索する

著者プロフィール

山崎 龍 近影

山崎 龍

フリーライター。1973年東京生まれ。自動車雑誌編集者を経てフリーに。クルマやバイクが一応の専門だが、…