専門店に訊くフィアット500を長持ちさせる秘訣とは?メンテナンスポイントはココだ!【フィアット500PINK!オーナーレポート vol.8】

前回のリポートで紹介した通り、ナンバー灯が点かなくなった筆者のフィアット500PINK!は、横浜市泉区の『ドッコオートテクニカ』でリヤハッチのワイヤーハーネスを修理してもらったことで無事元通りとなった。せっかくフィアットに関して修理やメンテナンスのノウハウが豊富なプロショップを訪れたのだから、この機会に500を末長く乗り続けるための秘訣とメンテナンスを伺うことにした。応対してくれたのは同社代表の小竹雄士さんだ。500やパンダに乗るオーナー必読のインタビューをお送りする。
REPORT:山崎 龍(YAMAZAKI Ryu) PHOTO:山崎 龍(YAMAZAKI Ryu)/ドッコオートテクニカ(DOKKO Auto Tecnica)/MotorFan.jp 取材協力:ドッコオートテクニカ

前回は愛車・フィアット500PINK!のナンバー灯が点かなくなったことから、横浜市泉区の『ドッコオートテクニカ』に修理してもらった様子をリポートした。

前回のナンバー灯不点灯トラブルの顛末はこちら。

2010年に創業し、2021年に現在の場所に移転した同社は、オーナーの間では「フィアット修理の駆け込み寺」として知られるフィアット&アバルト専門のスペシャルショップだ。創業間もない時期は初代パンダなどが多かったものの、現在では入庫車のうち500が70%、アバルトが25%、残り5%をムルティプラや2代目プント(188系)、バルケッタなどが占めるという。

そうしたことからドッコオートテクニカは、500に関しては修理やメンテナンスの経験やノウハウが豊富で、技術的な研鑽を重ねてきたことによるフィアット車のプロの整備集団としての実績に裏づく自信と自負を持つ。並行輸入や中古でフィアット車を購入したオーナーにも分け隔てることなく整備や修理を請け負うことから、多くのフィアットユーザーから頼りにされているショップなのだ。

●ドッコオートテクニカ
横浜市泉区に店舗を構えるフィアット&アバルトの修理・販売・車検・パーツ販売・取付・保険を扱う専門店。フィアット車の整備を通して他にはない経験や知見を多く蓄えており、独自の技術的な研鑽も重ねておりフィアット車のプロ集団としてユーザーからの信頼が厚い。正規輸入車のみならず、中古や並行輸入でフィアット車を購入した人の駆け込み寺として知られている。
〒245-0009
神奈川県横浜市泉区新橋町2183-4
TEL:045-814-5500
営業時間:10:00~18:00
定休日:毎週日曜日
公式HP:https://garage-dokko.com

昔に比べれば品質面では進化を遂げたとは言っても、依然としてフィアットのようなイタリア車には、日本車と異なる品質の問題がつきまとい、ときとしてオーナーをトラブルで悩ませることもある。

フィアットユーザーからの支持を受けているドッコオートテクニカには、全国から整備依頼が殺到している。写真は作業待ちの車両と整備や修理が完了してオーナーに引き渡しを待つ車両。修理や整備の依頼・相談は公式HPのお問い合わせフォームから申し込もう。

今回、筆者は愛車の修理を依頼した際に、同社代表の小竹雄士さんにフィアット500を末永く乗り続けるための秘訣や、メンテナンスのポイントについて話を伺った。筆者と同じく500を愛用している人はもちろんのこと、パンダなどの500以外のフィアット車、アバルト車を所有されているオーナーにも参考になると思う。

ドッコオートテクニカ代表の小竹雄士さん(写真左)と店長の小竹治郎さん(写真右)。おふたりは血を分けた実の兄弟だ。今回のインタビューはお兄さんの雄士さんに話を伺った。

フィアット車の鬼門としてオーナーから恐れられるデュアロジックの不具合

さて、日本のフィアット500ユーザーの間で、もっとも頭を悩ます問題……それはデュアロジックに尽きるだろう。
これはフィアットが開発したオートモード付きシーケンシャルトランスミッションのことで、MT(マニュアルトランスミッション)をベースに、クラッチ操作とギアチェンジを自動で行うことが特徴だ。

フィアット車のオーナーからは鬼門として知られ、恐れられているデュアロジックのトラブル。個体差や乗り方によっても寿命は異なるが、いずれにしても遅いか早いかの差で、乗り続けていればいずれはアッセンブリー交換が必要になるようだ。アッセンブリー交換の場合、ドッコオートテクニカでは31万円ほど掛かるが、故障時には消耗品として割り切るしかないようだ。

開発元のフィアットの説明によれば、MTの運転の楽しさとATのイージードライブという双方のメリットを併せ持つトランスミッションと謳っているのだが、実際にはオートモードではギアチェンジに少々クセがある上、環境に配慮したシフトプログラムのせいなのか、エンジンのおいしいところが使えず、上り坂でパワー不足を感じたり、ギクシャクした動きになったりと、ドライブフィールの面ではあまり褒めるところがない(それでもVW・up!の「シングルクラッチAGS」よりはマシだが……)。

デュアロジックユニット。MTをベースにしたメカニズムで、トランスミッションの上部に備わる(写真:ドッコオートテクニカ技術ブログより)。

ドライブフィールの弱点は、MTモードを駆使することで気にならなくなるのだが(基本的に筆者はMTモードしか使わない)、問題はMTや一般的なトルコンATに比べて耐久性が低く、故障しやすいことだ。個体差や使い方によっても異なるが、日本の交通事情では平均すると5~6万kmほど走行すると、シフトレバーを操作してもギアが入らない、変速が遅い、ギア抜けするなどの症状が現れることが多い。

幸いにして筆者のフィアット500PINK!は、2年間で1万5000kmほど走行して、今のところ深刻な不具合は発生していない。しかし、以前に実弟が中古で購入した同じシステムを搭載したクライスラー・イプシロンは購入からわずか1年、5000kmほどで壊れてしまい廃車となっている。そこでデュアロジックを扱う上での注意点や寿命を伸ばす運転方法について小竹さんに尋ねることにした。

デュアロジックの寿命を伸ばす方法はあるのか?

「結論から申し上げると、デュアロジックオイルを延命させる方法はなくはありません。それは『渋滞路を避ける』と『混雑する市街地は走らない』ことです。デュアロジックは変速回数が増すのに比例して故障リスクが高まります」

「当社のお客様の例ですと、ストップ&ゴーの多い市街地ばかり走るお客様の中には3万kmほどでデュアロジックが故障してしまった例がある一方、高速道路主体のロングドライブ中心で使用されているお客様の中には、10万km以上走ってもコンディションを維持している例もあります」

渋滞を避けることでデュアロジックの寿命を伸ばし、クラッチの負担を抑えることになる。だが、現実には日本の交通環境で渋滞を避けることはほぼ不可能だ。

「とは言うものの、日本の道路で渋滞や市街地を避けることは難しく、現実的ではないでしょう。ですから、デュアロジックを延命するためにオーナーの方が自分でコントロールできることはないと言わざるを得ません」

デュアロジックについてこのように語る小竹さん。では、MTモードとオートモードを使った際の寿命の変化についても尋ねてみたのだが、こちらは「大きな違いはない」とのこと。スポーツ走行を繰り返す使い方の場合では、むしろMTモードを多用したほうが寿命が短くなるケースもあるという。

ストップ&ゴーが連続する混雑した都市部の走行もデュアロジックに負担を与える。とは言うものの、フィアットのために都市部から郊外に引っ越すことなど無理筋な話で、渋滞と同じくこちらもなかなか避けることはできない。

変速回数を抑え、クラッチの負担を減らす目的で筆者が実践しているのは、渋滞路(とくに登り坂)での「シャクトリムシ走法」だ。これはオーバーヒートがちな旧車が、渋滞に巻き込まれたときに少しでも走行風をラジエターに当てるための走り方で、だらだらと前走車について行くのではなく、停車時は「N(ニュートラル)」にシフトを入れて待ち、ある程度前走車が進んでからMTモードの状態で1速のままスッと走って前走車との間を縮めるのだ。

クラッチは1速の状態で待機しているときもコンピューターが半クラッチの状態を維持したまま待機する設定となり、シフトをNに入れても10分間は半クラッチを維持するようにプログラミングされている。すなわち、エンジンがかかった状態では常にクラッチとデュアロジックへの負担は構造上避けようがない。

「クラッチは1速の状態で待機しているときも、コンピューターがクラッチを切った状態を維持したまま待機する設定となっており、シフトをNに入れても10分間は半クラッチを維持する仕様にプログラミングされています。そうしたことから完全に停止して動かないという状況でもない限り、クラッチの負担は避けられませんし、渋滞時でもポンプやモーターは常に駆動しているので、内部のメカを休ませることにはなりません。たしかに変速回数が抑えられるので、『シャクトリムシ走法』は無意味とまでは言いませんが、効果は薄いかもしれません」

デュアロジックオイルの交換は車検ごと、または車検2回に1度でOK

一説にはデュアロジックのコンディションを維持するためには、作動油であるデュアロジックオイルをマメに交換することでトラブルを未然に防げるとの声もあるが、本当なのだろうか? 

デュアロジックタンクの側から撮影したデュアロジックユニット。透明なタンクに入った黒い液体はデュアロジックオイル(写真:ドッコオートテクニカ技術ブログより)。

「たしかに故障リスクを減らすという点では、デュアロジックオイルを交換する意味はあります。ただ、エンジンオイルと違ってデュアロジックオイルは劣化が少なく汚れにくいことから、車検ごと、あるいは車検2回に1度のペースで充分かと思います」

グランデプントのデュアロジックオイルの交換作業風景(写真:ドッコオートテクニカ技術ブログより)。

「なお、当社では複数の『デュアロジックメンテナンス』を用意しています。デュアロジックオイルフラッシングやデュアロジックオイル交換、キャリブレーション(校正)をセットにした基本となる『Cプラン』。デュアロジックの点検とアキュームレーターの老化テストを追加した『Bプラン』。そしてアキュームレーター交換、ソレノイド交換(リビルド品)、内部クリーニングを加えた『Aプラン』があります」

デュアロジックオイルの交換作業後は、テスターを繋いでデュアロジックのキャリブレーションを行なう(写真:ドッコオートテクニカ技術ブログより)。

「費用はAプランが10万4500円、Bプランが2万3500円、Cプランは2万900円です(いずれも税込)。Aプランは預かり作業となりますが、BとCプランは2時間ほどの作業ですので、日帰りメンテナンスも可能です」

デュアロジックの故障原因と修理方法

デュアロジックは故障前に前兆が現れることがあるというが、それはどのようなものなのか? また、故障原因で多いのは? 故障した場合はどのような修理が必要になるのだろうか?

デュアロジックユニットに備わる黒い球状のパーツがポンプの出力を一時的に溜め、ギアチェンジ操作に必要な圧力を送り出すアキュムレーター(写真:ドッコオートテクニカ技術ブログより)。

「デュアロジックが故障する前触れとして、デュアロジックポンプの音の変化や変速がギクシャクするといった症状が現れることがあります。ただし、微妙な変化ですのでオーナーさんが見逃すこともありますし、修理を請け負った工場でもテスターをつないでエラー表示が出るまで原因を特定できないことも珍しくはありません」

構造を紹介するためカットされたアキュムレーター。構造的にはハイドロ・シトロエンの車高調整に用いるスフィアに似ている(写真:ドッコオートテクニカ技術ブログより)。

「よく知られている故障原因は、アキュムレーター故障による圧力低下やデュアロジックポンプの不具合、オイルシールの劣化によるデュアロジックオイル漏れです。シールの劣化により、デュアロジック本体の下側にあるトランスミッションの中にデュアロジックオイルが混入することも珍しくはありません」

赤線で囲まれたパーツが油圧を供給するデュアロジックポンプとモーター(写真:ドッコオートテクニカ技術ブログより)。

「デュアロジックの故障は基本的にアッセンブリー交換をオススメしています。故障箇所を特定して問題のあるアキュムレーターやデュアロジックポンプ、オイルシールだけを交換することで対応しているショップさんもおられるようですが、内部の部品のいずれかに故障原因があった場合は、そのほかの部品も劣化が進んでいるということになります。今後の故障リスクを考えればアッセンブリーで対応したほうが、不安なく長く乗れると思います」

「しかしながら、フィアット500も初期型は登録からだいぶ時間が経過したこともあって、なかには『次の車検まで乗れれば良い』『とりあえず、乗れるようにしてくれれば構わない』と仰られるお客様もいらっしゃいます。そうした方には故障箇所だけを修理して延命を図ることもあります」

デュアロジック以外のフィアットでよくあるトラブル

ほかにフィアット500で故障の多い箇所、維持する上で注意すべきポイントについて小竹さんに聞いてみた。

ナンバー灯の不具合を修理するため、リヤハッチのワイヤーハーネスを修理するドッコオートテクニカのスタッフ。詳しくは前回のリポートを読んで頂きたい(写真:ドッコオートテクニカ)

「最近のフィアット車で比較的多いのが電動パワステの故障です。パワーステアリングの故障はセンサーが原因となることが多く、回転部分にあるセンサーなので長年使えば接触不良が避けられません」

2代目パンダの電動パワステユニット。ハンドルのすぐ下に位置する(写真:ドッコオートテクニカ技術ブログより)。

「しかしながら、ディーラーではパワーステアリングユニットごとのアセンブリー交換での対応となるため、修理費用は20万円ほど掛かります。当社ではセンサー故障が原因の場合、海外から取り寄せたセンサーを交換する方法で修理しています。センサーのみの交換ならユニット交換の半額以下で修理が可能です」

車体から外されたグランデプントの電動パワステユニット。白い円板状のパーツがハンドル操作力を検知するトルクセンサーとハンドル角度を検知するアングルセンサー(写真:ドッコオートテクニカ技術ブログより)。
センサー内部の写真。ドッコオートテクニカでは、センサーの故障の場合、海外から取り寄せたセンサーを交換する方法で修理する(写真:ドッコオートテクニカ技術ブログより)。

「また、夏になるとエアコンの効きが悪くなるトラブルで入庫が増えます。スローリークの場合は年に1度のガス補充で対応されているお客様も多いですよ。また、費用対効果の面では当社で実施している『エアコンガスリフレッシュ』をオススメしています。ただ、手間と時間がかかるため1日1台限定の作業になります。エアコンのメンテナンスが集中する初夏~真夏の時期を外して作業を依頼されると、順番待ちが少ないと思います」

エアコンガスリフレッシュは効果覿面でオススメのサービスなのだが、ドッコオートテクニカでは作業に時間がかかるため1日1台限定の対応になるとのこと。エアコンのメンテナンスが集中する初夏~真夏の時期を外して作業を依頼するのがオススメだ(写真:ドッコオートテクニカHPより)。

「パワーウィンドウも意外にトラブルがあるものです。極端に開閉を繰り返していると、内部のボルトが緩んだり、内部のプラスチック部品が割れたり、ヒビが入ったりして正常に機能しなくなることがあります」

「また、今回の山崎さんのフィアット500のように、リヤハッチのハーネスが断線したり、被覆が裂けて導線が剥き出しとなったりして、ナンバー灯が付かなくなるトラブルも比較的多いです」

「ほかに足まわりのトラブルでは、スタビライザーのリンクロッドのブーツ切れやフロントサスペンションのアッパーマウントのガタツキがあります。純正のゴムブッシュは経年劣化や効果圧縮が起こりやすく、場合によっては新車から1年ほどで症状が出ることもありほどです」

フロントスタビライザーのリンクロッドとは、フロントのサスペンションとスタビライザーを繋げるロッドのことで、サスペンションとともに動くことから両端はボールジョイントになっている。このボールジョイントには焼き付き防止のためグリスが詰まっており、ゴム製のダストブーツをかぶせることで保護している。経年劣化により破れるとガタ付きが発生するだけでなく、車検に受からなくなる(写真:ドッコオートテクニカHPより)。

「フィアット500の場合、トップマウントの締め付け部分に隙間があるのでフロントサスペンションのガタツキが発生しやすいようです。対策品として隙間を埋める社外品の「トップマウントブッシュ」があります。当社のお客様の中にも使用されている方がいますが、フィアットは何かしらの意味を持たせて隙間をあえて設けて設計している可能性も考えられ、対策品を使用するのが果たして本当に良いのかなんとも言えませんので、当社では使用の判断はお客様に委ねております」

ドッコオートテクニカでは部品取り車を確保しており、修理箇所によっては新品ではなく中古パーツの利用に応じてくれる。

やはり国産車に比べると個々のパーツの品質や精度は劣るところがあるのは否めないようだ。しかし、愛くるしいスタイリングやキビキビした運転感覚(デュアロジックの自動変速は除く)は、他のクルマでは替えが利かず、フィアットならではの魅力となっている。

「手が掛かる子ほどかわいい」という言葉があるが、愛くるしいフィアット500を調子よく維持するためには多少の手間とお金が掛かるのは致し方ないことだ。

「クルマなんか動けばなんでも良い」と考えているような人にフィアット500を勧めることはできないが、国産コンパクトカーに飽きたらない人やスタイリングに惚れ込んだ人は「イタリア車とはそういうもの」だと納得して付き合うのである。

あくまでも筆者の個人的な考えではあるが、信頼性と燃費の良さだけが取り柄のクルマは所有する気にはなれない。フィアットを維持する上で多少の出費は避けようがないが、運転する楽しみや所有する満足感は極めて高い。惚れてしまえば痘痕もエクボ。多少の欠点は大目に見てやって受け入れることにしよう。

ドッコオートテクニカの在庫車はコンディションに自信あり!
購入時には嬉しい特典も……

最後にドッコオートテクニカで販売している中古車について小竹さんに話を伺った。フィアット車の修理や整備で有名な同社だが、数は少ないながらもじつは良質な中古車を販売しているのだ。

ドッコオートテクニカでは修理や車検だけでなく、中古車の販売も行っている。在庫車両はけっして多くはないが、フィアット&アバルトの専門店が取り扱う中古車だけに、コンディションには自信があるという。写真の2014年型アバルト500は希少な5速MTで、価格は応談とのこと。

専門店ならではの来歴のハッキリした厳選した車両を、プロショップならではの安心・安全な整備を施してから販売していることから、同店でフィアット車を購入したユーザーの評価はすこぶる高い。

販売車両の2015年型フィアット500ツインエア・ラウンジ。車両本体価格は53万円で、支払総額は61万円。なお、ドッコオートテクニカで中古車を購入する特典として、契約時限定の販売オプションとしてデュアロジックユニットの新品交換を特別価格で行うサービスを実施している。デュアロジック故障の心配がなく中古車を乗り出せるのは大きなメリットだ。

「お客様に高く評価して頂けるのはありがたいのですが、じつはオークションを利用した積極的な仕入れは行ってはいないのです。販売車両は当社のお客様が愛車を手放す際にこれまでのご縁からお声をかけて頂き、買い取らせて頂いたクルマばかりで、在庫はそんなに多くありません。現在『カーセンサー』に掲載されているのは3代目パンダが1台だけで(2025年6月10日現在)、ほかに商品化した車両はアバルト500が1台、フィアット500が3台あるだけです」

2011年に150台限定で販売されたフィアット500ワカモレ。車両本体が38万円、支払総額は46万円と良好なコンディションにもかかわらず、販売価格はリーズナブル。走行距離は7万9500kmとのこと。前述のデュアロジックの新品交換サービスを利用しても71万円となる。

「仰る通り、すべて来歴のしっかりしたコンディション良好な車両ばかりで、当社がしっかりと整備をしてからのご納車となります。また、当社で中古車を買うメリットとしては、契約時限定のお申し込みに限りますが、販売オプションとして5万円引きで新品のデュアロジックの載せ替えサービスを行っています。通常、載せ替え作業は部品と工賃を合わせて31万円弱となりますが、このサービスを利用すると26万円ほどで新品のデュアロジックに積み替えられます」

『カーセンサー』に掲載されている3代目パンダも販売していた。この車両は2015年式のパンダ・イージーで、走行距離は6万4000km。内外装はキレイな極上車。すでにフィアット500を所有している筆者だが、このクルマはちょっと欲しくなった。

「せっかくフィアットを買ったのにすぐにデュアロジックが故障しては、嬉しい気分が台無しになりますよね。新品のデュアロジックなら安心してフィアットに乗ることができるので中古車を買われるお客様にオススメしています」

2007年式と年式は少々古いが、走行距離は3万8000kmと低走行かつ極上のグランデプント。車両本体価格は32万円、支払総額は41万円とリーズナブル。筆者は新車時にこの車を試乗したことがあるが、車内空間は広く、走りは安定感とキビキビ感がバランスよく両立しており、運転して楽しかった記憶がある。500やパンダとは違った魅力がある。

では、在庫にない中古車のリクエストは受け付けているのか?

「一応リクエストも承っています。ただし、あくまでも当社の中古車はお客様とのご縁があって仕入れていますので、車種や条件によってはかなり気長に待っていただくことになると思います。
フィアット500のようなクルマは、気に入ったボディカラーや限定車を見つけて、一目惚れして買われる方が多いですよね。私たちとしてはお客様のそうした気持ちを大切にしたいと思っています」

商品化を待つ初代フィアット・パンダ。現在はフィアット500のメンテナンス依頼が多いドッコオートテクニカだが、初代パンダやバルケッタ、ムルティプラなどのちょっと古いフィアット車の整備も得意としている。ただし、部品の入手性の問題から修理箇所によっては修理に時間が掛かることもあるという。

「保証付きの中古車を購入された場合は、保証期間中に不具合箇所を見つけるつもりでどんどん乗って頂き、問題が見つかれば保証修理で対応されると良いでしょう。また、保証が切れた、あるいは保証がないクルマを買われた場合には、何か気になることがあれば遠慮なく当店を頼ってください。お客様が愛車に抱いている不安や不満を解消し、安心・安全のカーライフをお送りいただけるお手伝いをするのが、フィアット車のプロ集団である私たちの仕事です。フィアットやアバルト車に関しては専門店としてどのようなクルマでも誠心誠意対応させて頂きます」

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著者プロフィール

山崎 龍 近影

山崎 龍

フリーライター。1973年東京生まれ。自動車雑誌編集者を経てフリーに。クルマやバイクが一応の専門だが、…