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■3代目インプレッサWRX STIにspec Cバージョン登場
2012(平成24)年7月3日、スバルは3代目「インプレッサ WRX STI」シリーズに改良を施すとともに、4ドアセダンにコンペティション(競技用)モデルである「spec C」を追加した。2010年に5ドアハッチバックの「インプレッサWRX STI spec C」が投入され、それに続いて4ドアセダンにも追加されたのだ。

インプレッサWRX STiの進化

インプレッサはレオーネの後継として、レガシィよりひと回り小さい弟分として1992年にデビューした。ボディタイプは4ドアセダンとコンパクトなラゲッジを持つ5ドアのスポーツワゴンの2種だが、セダンにはWRC参戦を前提としたトップグレードの高性能ターボエンジンを搭載したスポーツセダンWRXが設定された。

エンジンは、すべて水平対向4気筒エンジンで、WRX専用の240ps/最大トルク31.0kgmを発揮する2.0L DOHCターボ(EJ20型)を筆頭に、1.8L SOHC(EJ18型)、1.6L SOHC(EJ16型)、1.5L SOHC(EJ15型)の4機種で構成。駆動方式は、MTにはビスカスLSD付センターデフ式4WD、ATにはトルクスプリット式4WDが組み合わされた。

人気を獲得したインプレッサWRXは、レガシィの後を継いでWRC制覇を目指して1993年から参戦を始めた。
WRC参戦のためホモロゲモデルとして、STI(スバルテクニカインターナショナル)が中心に手掛けた「WRX STi」を1994年1月に市場に投入。EJ20ターボエンジンのファインチューニングによって最高出力250ps/最大トルク31.5kgmへ向上。さらに11月には、最高出力275ps/32.5kgmまで高めた「WRXタイプRA STi」が発売された。
WRXの進化の成果はすぐに結実し、WRCで1995年から3年間マニュファクチャラーズタイトルを獲得するという日本初の偉業を成し遂げ、インプレッサWRXは世界中の走り好きが憧れるスポーツモデルへと駆け上がった。
2代目インプレッサWRX STi
その後も、進化しながら多くのファンの期待に応えて、数々のSTiバージョンが世に送り出された。そして、2代目となるインプレッサWRXが2000年8月にデビューした。

新型ではセダンがWRXに集約され3ナンバーボディとなり、同年10月にはWRX STiが登場した。新設計のEJ20ターボが搭載され、最高出力280ps/最大トルク38.0kgmまで向上。2代目インプレッサは、フェイスリフトが丸目、涙目、鷹目と変更されたことが話題になったが、2代目も多くのSTiバージョンを世に送り出しながら、最終的には最高出力は同等だが、最大トルクは40.2kgmまで向上した。
3代目に設定された競技用ベースモデルWRX STI spec C

2007年6月にインプレッサは3代目に移行。ボディスタイルは、5ドアハッチバックに集約され、同年10月にWRXもデビューするが、こちらもWRX STIに集約された。ハッチバックになったことでスポーティなイメージが増した。

2009年7月には、待望の「インプレッサWRX STI spec C」が限定1000台で発売された。spec Cは、ラリーやレースなどモータースポーツのホモロゲ前提のモデルである。各所に専用チューニングと軽量化を盛り込んだ、いわば走りの最高峰に位置付けられる。
パワートレインは、最高出力308ps/最大トルク43.8kgmを発揮する2.0L水平対向DOHCターボと6速MTの組み合わせ。ターボの軸受けにはボールベアリングを採用し、標準STIにはないインタークーラーウォータースプレーが装備され、さらに薄板ガラス、遮音材の排除、バッテリーの小型化、フロントフードのアルミ化などで40kg(1480→1440kg)ほど軽量化された。これにより、レスポンスに優れたエンジン性能と軽量化の効果によって俊敏な走りと加速性能、クイックなコーナリング性能が実現された。


そして、2010年7月にWRX STIに4ドアセダンが復活。これに合わせて、2012年7月のこの日、4ドアセダンにも「spec C」が追加された。基本的な仕様はハッチバックのspec Cと同じだが、4ドアセダンではリアワイパーやリアフォグランプが非装備となった。
車重は、ハッチバック同様に標準WRX STIよりも40kg軽量で、車両価格は369.6万円に設定された。
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数多くのSTIバージョンを有するインプレッサWRX、世界中の多くのスバリストを満足させるのに十分なラインナップだ。実際に違いを体感するのは難しいが、仕様の違いを見ているだけで楽しい、そんなファンも多いのではないか。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。