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■広い荷室と5つの荷室スペースモードを設定できるN-BOX +
2012(平成24)年7月5日、ホンダはNシリーズの第2弾としてN-BOXに続く「N-BOX +(プラス)」を発売した。前年11月にデビューして大ヒット中のN-BOXをベースに、荷室部分に変更を加えて広い荷室空間と5つの荷室スペースモードを実現することで、レジャーやアウトドアなどの様々な用途に対応できるのが特徴だ。


画期的なパッケージングで圧倒的な室内空間を実現したN-BOX
1990年代から2000年代は、ハイトワゴンブームを牽引していたスズキとダイハツの2強が軽市場を席巻していた。2強に対抗するためにホンダが2011年11月に投入したのが、新世代のスーパーハイトワゴンのN-BOXである。

ボクシーなフォルムに便利な両側スライドドアを装備。何よりも最大の特徴は、圧倒的な室内の広さである。これが実現できたのは、燃料タンクを運転席の下側に配置するホンダ独自の“センタータンクレイアウト“であり、このレイアウトがパッケージングの自由度を高めたのだ。
これにより、大人4人がくつろげる、特に後席は余裕の室内空間を確保。さらに、多彩なシートアレンジと荷室空間によるユーティリティの高さも高い評価を受けた。
パワートレインは、新開発の最高出力58ps/最大トルク6.6kgmを発揮する660cc直3 DOHC のNA(無過給)と64ps/10.6kgmのターボエンジンの2種とCVTの組み合わせ、駆動方式はFFと4WDが用意された。
2012年の販売台数は21.1万台、2013年23.5万台、2014年には17.9万台と軽トップの販売実績を記録して、一躍軽自動車の主役に躍り出て、現在もその勢いは衰えていない。
荷室空間を広げて多種多様な用途に応えるN BOX +

2012年7月のこの日に登場したN-BOX +のサイズは、全長3395mm×全幅1475mm×全高1780mm(FF仕様)。全長と全幅はN-BOXと同じだが、荷室ドアとなるテールゲートをN-BOXより広くするために全高は10mm高い。テールゲートの開口部の広さは、N-BOXと比べると高さ方向が150mm増えて1350mmに拡大。テールゲート最低部の地上からの高さも、N-BOXより150mm低い330mmになっている。荷室の奥行きを、N-BOXよりも215mm長い630mmに広げて、荷室容積はFF軽乗用車として最大クラスが達成された。
また荷室後部の床を掘り下げ後方に向けて傾斜させているので、アルミスロープ(オプション)を装備すればバイクや自転車のような大きな荷物の積み下ろしが容易に行なえる。さらに、3枚のボードを使って車室内の構成を5つのモードに切り替えられる“マルチスペースシステム”を採用、これがN-BOX+の最大の特徴である。

パワートレインは、N-BOXと同じNAとターボの2種エンジンとCVTの組み合わせ。車両価格は、標準グレード(NAエンジン/FF)を146万円に設定。ベースのN-BOXが134万円なので、N-BOX +の方が12万円高額である。
N-BOX +のアピールポイントであるマルチスペースシステム
マルチスペースシステムでは、座席の折りたたみと3つのボードの組み合わせによって、5つのスペースモードを作り出せる。

・下段モード&上段モード
シートは折りたたまず、大きいマルチボードを荷室の下段に設置する下段モードは、背の高い荷物を搭載。大きいマルチボードを荷室の上段に設置する上段モードは、上下2段の荷室に分割できる。

・フラットモード
リアシートを折りたたみ、荷室の下段に大きいマルチボードを設置して、その前方に小さいマルチボードを装着すれば奥行き1380mmの荷室を実現。この時は、荷室の下側のスロープ部分はアンダーボックスとなる。

・スロープモード
リアシートを折りたたみ、マルチボードとエンドボードを取り外すと、荷室の床がテールゲートに向かうスロープになる。テールゲート最低部の地上高が330mmと低いこともあり、小型バイクなら前輪を持ち上げれば容易に搭載できる。さらにアルミスロープを装着すれば、段差がなくなって搭載が容易になる。

・ベッドモード
後部座席を折りたたんでから前部座席を後ろに倒して、その後方にフラットモードと同様に大小のマルチボードを設置すれば、奥行き1940mm、幅1070mmの空間が確保され、大人2人が足を伸ばして寝ることが可能だ。

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レジャーやアウトドアにとマルチに楽しめるN-BOX +だが、広い荷室スペースとアレンジを可能にするためにリアシートの取り付け位置が前方に移動していており、N-BOXに較べるとリアシートの足元空間が狭くなっている。問題になるほど窮屈ではないが、N-BOXの大きなメリットである足元空間の広さを犠牲にしていることは留意する必要がある。
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