プレスカンファレンスに登壇したBBSジャパンの北秀孝社長は、1970年代にドイツBBS社が創業し、まだワイヤースポークホイールが主流だった時代に軽量な3ピースの鋳造アルミホイールを取り入れて成功、80年代に日本・高岡のワシマイヤー社と技術提携し鍛造アルミホイールの製造を本格化し、90年代にはフェラーリF1チームからのオファーで同チームに鍛造マグネシウムホイールを供給した、同社の軽量ホイールとモータースポーツの歴史を振り返った。
そしてF1とNASCAR、いずれもヨーロッパとアメリカを代表するモータースポーツのトップカテゴリーへ、2022年シーズンより鍛造ホイールをワンメイク供給することを発表。その直後にアンベールされた実際のホイールはいずれも、良い意味で市販車用ホイールと見紛うばかりの大径かつスタイリッシュなデザインだった。
というのも、レギュレーションで規定されるホイール径が、F1が従来の13インチから2022年シーズンより18インチ、NASCARは同じく15インチから18インチに、時を同じくして変更されるからに他ならない。
北社長も両カテゴリーのレギュレーションが同時に変更され、かつ同時にワンメイク供給することになるとは想定していなかったらしく、「たまたま一緒になったため、社内での開発が非常に忙しくなり、開幕に間に合わせられるよう苦労しながら急ピッチで進めている」と、裏話を披露していた。
だがそんなF1用の鍛造マグネシウムホイールも、NASCAR用の鍛造アルミホイールも、そして市販車用の鍛造アルミホイールも、「全て同じ工程、同じライン、同じ製造機械で作っている」(北社長)。モータースポーツを通じて得たノウハウがそのまま、市販車用ホイールにも活かされているのだ。
続いて登壇した同社の田中康博執行役員は、国内モータースポーツへのサポート計画を発表。SUPER GT GT500ではZENT CERUMO GR Supra、同300では昨年チャンピオンとなったSUBARU BRZ R&D SPORTとBMW Team Studie M4 GT3へ供給する。
スーパー耐久シリーズではHONDA R&D Challenge CIVIC TYPE Rに加え、新たにDAISHIN GT3 GT-Rにもホイールを供給。また従来からのインタープロトシリーズに加え、「競争女子」ことKYOJO CUPのVITA-01にも同社のホイールをワンメイク供給することを明らかにした。
またe-Sportsへのサポートとして、PlayStation用ゲーム「グランツーリスモ」シリーズを用いた「FIAグランツーリスモチャンピオンシップ」のオフィシャルパートナーを継続するほか、3月4日発売予定の「グランツーリスモ7」内でコース内のコースビルボードやグランドセントラルにもBBSのロゴが掲示される予定となっている。
そしてオートサロンのBBSジャパンブースには、これらモータースポーツ用ホイールのほか、トヨタ・ハイエース向けアルミ鍛造2ピースホイールのプロトタイプなど、新作の市販車用ホイールも数多く展示されている。15・16日いずれかのオートサロン入場チケットを入手して、ぜひ実物の美しく精緻な仕上がりを確かめてほしい。