ここまでやるか! パテ盛りゼロでフルレストアされた極上ハコスカGT-R

日産スカイラインHT2000GT-R
日産スカイラインHT2000GT-R。
2022年の新年早々、埼玉県のキャッセ羽生で開催された「ニューイヤークラシックカーミーティング」。今回は、展示された130台ほどのなかでもトップクラスの仕上がり具合になっていたハコスカ「スカイラインHT2000GT-R」を紹介しよう。

PHOTO&REPORT●増田 満(MASUDA Mitsuru)

費用より仕上がりを重視したレストアが施されたハコスカGT-R【ニューイヤークラシックカーミーティング】

旧車イベントに行くと必ずといっていいくらい見つかるのが日産スカイライン。3代目ハコスカや4代目ケンメリを見ない会場はないといってもいいほど圧倒的な人気車種で、人気の理由は2リッター直列6気筒DOHCエンジンを搭載したGT-Rがツーリングカーレースで大活躍したから。旧車イベントに何度か行ったことがあれば大抵目にしているだろうハコスカGT-Rだが、今回は数多く見る機会があってもここまで徹底した仕上がりになっている個体はそうそうないと思える車両を紹介したい。

日産スカイラインHT2000GT-R
日産スカイラインHT2000GT-R。
日産スカイラインHT2000GT-R
スカイラインGT-Rのリヤスタイル。

このGT-Rは茨城県の中村公夫さんが所有する個体で、5年ほど前に知人から実働車として譲渡してもらった。現在59歳の中村さんだが、ハコスカは昔から憧れてきたものの仕事に家庭にと、これまで手にすることはなかった。ようやく余裕ができた5年前、一念発起されたそうだ。

日産スカイラインHT2000GT-R
フロントグリルのエンブレム。
日産スカイラインHT2000GT-R
5速MTであることを示すリヤのエンブレム。

実働車だったからそのまま乗ることもできたが、長年憧れ続けたハコスカなので妥協したくない。思い切ってフルレストアすることにされた。頼ったのは地元の専門店で、できるだけ当時の姿を再現してほしいと伝える。そこでボディはドンガラ状態にされて鉄板から修正されたのだが、驚くべきはその手法。通常はラインを整えたらパテをつけて最終的な面を出して塗装する。ところがこのクルマではパテを使わず元の鉄板だけで完璧なラインを整えたそうだ。

フロントブレーキキャリパーは日産のレースオプションパーツだったMk63。
日産スカイラインHT2000GT-R
リヤにだけ装着されるオーバーフェンダー。

ボディだけでなく走る機能についても全面的に見直されている。といってもオーバースペックにするのではなく、新車時の性能を取り戻すことを主眼にしている。S20型エンジンは排気量がそのままならミッションも純正のまま。ただいずれもフルオーバーホールされているので、まさに新車時の性能(それ以上?)を楽しめる状態。キャブレターこそ純正のソレックスだが排気系だけはチタン製にするなどモディファイを楽しんでいる。

日産スカイラインHT2000GT-R
2リッター直列6気筒DOHCのS20型エンジン。
日産スカイラインHT2000GT-R
チタン製エキゾーストマニホールドに変更。
日産スカイラインHT2000GT-R
マフラーも変更されている。

内装についても手を抜くことはない。ダッシュボードやセンターコンソールは新品かと思ってしまうほど極上のもので、新車時オプションだったラジオやヒーターも純正で揃えられている。またシートは都内の有名な内装職人により張り替えられている。このシート表皮は内装職人が純正と同じ柄を再現したものなので、出来上がりは純正そのまま。純正と異なるのはエンジンの排気系とサスペンション、それにRSワタナベのホイールくらい。ある意味、理想の状態にあるハコスカGT-Rといっていいだろう。

日産スカイラインHT2000GT-R
インテリアも極上。
日産スカイラインHT2000GT-R
新車時ラジオやヒーターはオプションだった。
日産スカイラインHT2000GT-R
張り替えられたシート。
日産スカイラインGT-R VスペックII

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著者プロフィール

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増田満

小学生時代にスーパーカーブームが巻き起こり後楽園球場へ足を運んだ世代。大学卒業後は自動車雑誌編集部…