【2021年のマイベスト|スズキ・アルト】数ある軽自動車の中でも特に優れている!(渡辺陽一郎)

スズキ・アルト
スズキ・アルト
2021年1月〜2021年12月の1年間に発表・発売されたニューモデルのなかから、「このクルマが好きだ!」と推しのクルマを個人的な観点から選出していただくこの企画。とくにクルマのコストパフォーマンスについて厳しくチェックする渡辺陽一郎さんが選んだベストは、スズキ・アルト。価格がお手頃なのはもちろんだが、実用性とカッコ良さを両立したスタイルも高評価だ。

TEXT●渡辺陽一郎(WATANABE Yoichiro)

第1位:スズキ・アルト

「前後左右ともに視界が良好。実用性とカッコ良さを両立している」

「これはイイ!」と感心したのは、2021年12月に発売されたアルトだ。価格の安さが大切なクルマだが、一番感心したのはボディスタイルだった。フロントピラー(柱)とウインドウの角度を立てたから、斜め前の視界が開けている。サイドウインドウの下端を先代型に比べて35mm下げたから、側方も見やすい。リヤサイドウインドウの積は大幅に拡大され、前後左右ともに視界は良好だ。

 そしてルーフ、ボンネット、ホイールベース(前輪と後輪の間隔)などの寸法的な比率とフロントピラーの角度もちょうど良く、見飽きない外観に仕上げた。実用性とカッコ良さの両立は、工業デザインの本質を突いている。

さらにルーフがホワイトの2トーンボディカラーも用意され、ディーラーオプションを使うと、外観をスポーティにドレスアップできる。履き心地の良いスニーカーのような、外出するのが楽しみになるクルマに仕上げた。数ある軽自動車の中でも、特に優れた商品だ。

スズキ・アルト
スズキ・アルト

第2位:日産ノート オーラ NISMO

「この上質な走りが286万9900円で味わえるなら割安だ」

運転の楽しいクルマだが、一番驚いたのは価格だ。ノートオーラNISMOの価格は286万9900円だから、ノートオーラGレザーエディションの269万9400円と比較して、17万500円しか高くならない。

この価格差で、エアロパーツが装着され、タイヤはミシュランパイロットスポーツ4に上級化される。内装もシート生地やステアリングホイールなどが専用タイプになり、質感とスポーティ感覚を強めた。

サスペンションは専用のセッティングで走行安定性を向上させ、e-POWERの作動を切り替えるドライブモードも、スポーツモードをNISOMモードに変更して機能を見直している。

それぞれの機能のバランスが整えられ、スポーティで上質な走りを味わえる。このノートオーラNISMOの価格が、286万9900円なら割安だ。フィットもe:HEVモデューロXを286万6600円で設定したが、内外装の造り、動力性能、走行安定性はノートオーラNISMOが上まわる。

ノートオーラNISMOは、ノートシリーズの中で最も買い得な仕様だから、売れ行きも堅調だ。ノートオーラの販売総数の内、約20%をNISMOが占める。いわゆるコンプリートカーとしては、販売比率がきわめて高い。

日産ノート オーラNISMO
日産ノート オーラNISMO

第3位:フォルクスワーゲン・ゴルフTDI

「これぞゴルフのイメージ通りの走り。奇跡のバランスかも」

2021年12月に登場したゴルフTDIは、直列4気筒2Lのクリーンディーゼルターボを搭載する。クルマの成り立ちは普通だが、ゴルフTDIスタイルを試乗して驚いた。乗り心地がゴルフの中でも際立って快適で、操舵感などのバランスも良いからだ。

ゴルフTDIスタイルでは、車両重量、足まわりの設定、17インチタイヤなどが、ちょうど良い具合に噛み合っている印象だ。狙って得られたセッティングというより、偶然によるところも少なくないだろう。

このような「妙に具合の良いクルマ」は、時々誕生する。2世代前の6代目ゴルフが、モデル末期の2012年に設定したTSIトレンドライン・ブルーモーションにも同様の傾向が見られた。エンジンはベーシックな1.2Lターボで、タイヤは15インチのグッドイヤー・エクセレンスだったが、乗り心地に重厚感が伴って操舵感も適度に正確だった。

現行型の8代目ゴルフは、既存のガソリンターボについては乗り心地がいま一歩だが、TDIスタイルは、ゴルフのイメージ通りに仕上がっている。

ただし、ちょうど良い具合に噛み合った絶妙な運転感覚は、些細な変更によってバランスを変えてしまう。ゴルフTDIスタイルが、今後も同じ状態を保てるとは限らない。ちょっと刹那的な気分も味わった。

フォルクスワーゲン・ゴルフTDI
フォルクスワーゲン・ゴルフTDI
フォルクスワーゲン・ゴルフTDI
2L直噴ディーゼルターボエンジン

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いよいよパソコンが不調になったので、大急ぎでMacBook Proを買った。16インチ画面で見やすく、反応も早い。私の場合、30万円を超える買い物をするのは、きわめて珍しいことです。

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渡辺 陽一郎

カーライフジャーナリスト。「読者の皆さまにケガを負わせない、損をさせないこと」がもっとも大切と考え…