2010年に訪ねたル・マン サルテサーキット。今年も夏に行なわれる予定のヒストリック・イベント、『ル・マン クラシック』で見た伝説のマシンたち。今回は、ジャガーやベントレーと共にル・マンの歴史の一部になった、アストンマーティンについてお話ししましょう。
アストンマーティン。今やフェラーリやポルシェ、マクラーレン、ランボルギーニと並ぶプレミアムブランドですが、そのルーツを辿れば、戦前のヴィンテージスポーツカーから続く60年代の“DB(デイビッド・ブラウン)”シリーズへと遡ります。ル・マンのパドックでも、美しいDB2やル・マン用のDB3S、そして滅多に見られないDP212など、素晴らしいクラシック・アストンたちと出会うことができました。
こちらはサーキットのパドック、白テントの下でスケッチしたDB3S。手前はDB3です。
DB3Sは大きなフロントアーチが特徴的なル・マン用のアストンマーティンで1950年代に活躍、美しいアストン・グリーンが魅力的で、パドックの中で夢中になってスケッチをしました。描いていると子供たちも覗き込んで、小声で「コンプリメンテ(上手いね)」などとささやいていきます。こちらも日本に帰ってから、写真を見ながらあの光を思い出し着色していきました。
そしてこちらも、同じDB3S。パドックから出てコースへ向かう整列の風景。ジャガーDタイプなどと並び、強い日差しを浴びた姿は青空が映り込み美しく、我を忘れて何枚も写真を撮影していきました。このようなヴィンテージ・アストンはまず国内では見ることが叶わないので、まさに至福のひととき。
会場内ではもちろんDB4GTや戦前のアストンやラゴンダの勇姿も見ることができました。ル・マンの地ではスピットファイアやMGなども含めてイギリスの車たちは非常に人気が高く、イギリスから遠征してくる観客も多かったようでした(テントの外には朝、缶ビールの山がありました)。
こちらはフランスに来る前から見たかった、大好きなアストンマーティンDP212。お尻はストンと断ち落とされて、後期のDP214や215のような形状になっていますが、若草色のアストン・グリーンが美しく、航空機のようなつるんとしたボディ形状がとても魅力的な希少なプロトタイプです。ル・マンではフェラーリ250GTOなどの強豪が対戦相手であまり結果は残せなかったマシンですが、今でもこうして目の前で走るところが見られるのはまさに眼福の時でした。
会場内ではピッツァを食べたりサンドイッチを食べたり、いろんなものを楽しめます。白いテントの下には白いテーブルクロスをかけたテーブルが配されて、オードブルから始まるコースを食べられるレストランもありますが、僕たちはアペリティフの出るスタンドをチョイス。スモークサーモンなどとシャンパンをスタンドで受け取り、やっと夏の暑い日差しがかげってきた夕方の風の中で優雅な時間を楽しみました。
会場内にはさまざまなテントが立ち並び、僕はル・マンをテーマにした本をいくつかチョイス。さらにおもちゃ屋も冷やかして、素敵なミニカーや古いスロットカー、1/32スケールのレジンボディのキットなどを購入。そして、そこには主催者のACOのスタンドもあり、ちょうど『栄光のル・マン』の映画より40周年のアニバーサリーだったため、ガルフのグッズがフィーチャーされており、ボクは『栄光のル・マン』をイメージした帽子やジャケット、Tシャツをゲットできました。
そして会場内ではカンカン帽や革手袋や革トランク、ジャケットなどを売っているショップもあり、妻のために革のドライビング手袋を購入しました。
広いパドックではいくら歩き回ってもまだ見ていない車を発見し、まだ見ていないショップが見つかったりします。『ル・マン クラシック』を訪ねるときは、お財布に余裕を持って伺うことをお勧めします。今ならカード決済や電子決済ができるかもしれませんね。ただ見て回るだけでも贅沢な時を過ごすことができます。