プジョー史上最強!のトータル出力を誇るプラグインハイブリッドSUV【プジョー3008 GT ハイブリッド4】

プジョーとして初のプラグインハイブリッドで、前後にモーターを搭載した4WDでもある3008 GT ハイブリッド4。トータル出力は300psを誇るが、これはプジョー歴代市販モデルで最強の数字だ。はたしてその走りは、エコノミーよりもアクティブな要素を強く感じさせるものだった。

TEXT●山崎友貴(YAMAZAKI Tomotaka)
PHOTO●Motor-Fan.jp

○:優れたスペースユーティリティと、モーターの加速感
×:らしくない堅めの乗り心地と、急速充電に非対応なこと

2022年も、大磯プリンスホテルには日本自動車輸入組合(JAIA)の媒体向け試乗会が開催されたが、今回は高級SUVを中心に試乗してみた。この試乗会は、自動車媒体関係者でも、普段なかなか試乗する機会がない車種もあり、非常にありがたいイベントとなっている。ただ試乗時間が短いため、十分なユーザー視線とはいかないが、そこはご容赦いただきたい。

さて、最初にステアリングを握ったのはプジョー3008 GT ハイブリッド4だ。このラテン系SUVには、プジョーとしてはいくつかの“お初”がある。まず、現在は3モデルのラインナップがあるプジョーのPHEVで、一番最初にリリースされたのが同車である。第二に、これまでFFにこだわってきたプジョーSUVが、PHEVの採用を機に初めて4WDを導入したことだ。

プジョー3008 GT ハイブリッド4
2016年に登場した3008は2021年にフェイスリフトを実施。同じタイミングでラインアップに加わったのがプラグインハイブリッドモデルの3008 GT ハイブリッド4だ。

4WDに関して言えば、通常の4WDシステムの場合は前後輪の駆動系に加えて、前後輪を結ぶパワートレーンも必要になるため、レイアウトも含めてなかなか敷居が高くなる。しかし、PHEVの場合は前後のモーターで前後輪を独立させて駆動させるため、プロペラシャフトが必要ない。ならばせっかくなので4WDにしてしまおう…ということだったのだろう。ちなみに、3008には2Lディーゼルと1.6Lガソリンターボもラインナップされているが、こちらは共にFFを採用している。

プジョー3008 GT ハイブリッド4
3008 GT ハイブリッド4のボディサイズは全長×全幅×全高:4450×1840×1630mm、ホイールベース:2675mm。

この駆動系は、フロントに110psのモーター、リアに112psのモーターを配置し、トータルで300ps/520Nmを発生。3008のデビュー当時(2021年)は、歴代市販モデル最強の出力と謳っていた。トランスミッションはPHEV専用のe-EAT8が組み合わされている。ちなみにエンジンは1.6L直4で、200psを発生。EVモードで走っているうちに電気が無くなった場合は、エンジンのみで走行することができる。

プジョー3008 GT ハイブリッド4
エンジンは1.6L直列4気筒ターボで、最高出力147kW(200ps)/6000rpm、最大トルク300Nm/3000rpm。さらにフロント110ps、リヤ112psのモーターを組み合わせた4WDとなる。

4WDのトルク配分は、発進時にリアモーターを駆動させ、135km/hまではそれを維持。状況に応じてFFにする仕組みなっているという。モーター4WDはトラクションコントロールも独自で、FF車にあるような「ノーマル」「マッド」「サンド」といったシーン別のモードセレクトはない。代わりに「4WD」「スポーツ(エンジン駆動)」「ハイブリッド」「EV」というモードに置き換えられ、トラクションコントロールはその中に内包されている。三菱アウトランダーPHEVのように、それぞれモードがあると楽しいのに…と思うのだが、欧州的な思考だと煩雑なインターフェイスは使いづらいのかもしれない。

さて、エクステリアのデザインは、さすがの欧州車である。先代の3008を比べてもゴージャスで、フロント回りなどまるで宝石店のようである。グリルは非常に繊細な細工が施されており、日本車が到底真似のできないセンスだ。最近だとアウトランダーPHEVもかなりデザイン面で頑張っているが、3008を見ると、アルミホイール、メッキモール、リアコンビネーションランプの意匠はいかにもこなれている感がある。

プジョー3008 GT ハイブリッド4
ヘッドライトと融合したかのようなフレームレスのグリルと、牙のように縦に伸びたデイタイムランプがフロントフェイスの特徴だ。
プジョー3008 GT ハイブリッド4
ボディ幅いっぱいに広がった黒いガーニッシュの左右には、ライオンの爪痕がモチーフのテールランプが備わる。
プジョー3008 GT ハイブリッド4
リヤドア付近でキックアップするショルダーラインが躍動感を演出する。最低地上高は175mm。

インテリアも同様で、シートの周りはシンプルモダンデザイン炸裂である。こういった意匠はボルボが先駆者的なイメージがあるが、スカンジナビアデザインが有機的なのに対して、ラテン系はメカニカルなエロさがある。流行の液晶メーターはあまりいただいけないが、500万円台のクルマとしては、シートや各トリムも含めてなかなかの色気だと思う。

プジョー3008 GT ハイブリッド4
プジョーお得意の小径ステアリングを軸としたiコクピットを採用。メーターは12インチの液晶ディスプレイ。

で、乗り味は言うと、これは賛否が分かれるところではないだろうか。まず、SUVという頭で乗ると、とにかく乗り味が硬い。往年のプジョーファンが「猫足」を想像して乗っても、同じなのではないだろうか。結構、ガチガチである。バッテリーユニット分の重量増ゆえなのか、それともこういうセッティングなのか。高速道路などでは、つなぎ目のハーシュネスをダイレクトに感じるし、後部座席に座るとさらにズンと来る。

プジョー3008 GT ハイブリッド4
マイナーチェンジ時に刷新されたシート。GT ハイブリッド4はアルカンタラ&テップレザーのライトグレー基調のシート表皮を採用する。
プジョー3008 GT ハイブリッド4
小径ステアリングの上からメーターを見るため、ドライビングポジションは必然的にアップライト気味になる。
プジョー3008 GT ハイブリッド4
6対4分割可倒機構を備えるリヤシート。中央部には格納式のアームレスト付き。
プジョー3008 GT ハイブリッド4
身長180cmの乗員が座っても、頭上と膝前には空間が確保されている。

しかし頭を切り替えて、SUVルックのスポーティカーなんだと思えば、こういう乗り心地も納得できなくはない。ステアリングホイールのD型っぽい形状を考えても、そもそも3008 GT ハイブリッド4はダートなぞ走るものではなく、ワインディングを気持ち良くドライブするクルマなのだ。そう頭を切り替えると、パワーユニットの出力とサスペンションの特性が見えてくる気がする。

プジョー3008 GT ハイブリッド4
モーターの瞬発力のおかげもあり、小気味良い走りが楽しめる3008 GT ハイブリッド4。

パワーユニットのフィーリングはと言えば、どのモードでも“GT”を感じることができる。EVモードの加速感は刺激的だし、スポーツモードはモーターにアレルギーのある人でも楽しく走ることができるだろう。

乗り味はSUVっぽくなくても、実用性は形状から想像する通りである。セカンドシートを使っても591Lという容量のラゲッジスペースが使え、フルフラットにすれば1670Lという十分な容量を得ることができる。 セカンドシートのシートバックが少し盛り上がるのはご愛敬だが、車中泊もできなくはない。

プジョー3008 GT ハイブリッド4
通常時の荷室容量は591L。テールゲートは電動式で、足の出し入れで自動開閉する機能も便利。
プジョー3008 GT ハイブリッド4
後席背もたれを倒すと荷室容量は1670Lまで拡大される。

これで565万円というプライスは、当然ながらブルーライオン好きには高くないだろうし、輸入SUVを模索しているユーザーにもまずまずだろう。しかし、買う前に考えておかなければならないポイントがいくつかある。

周知の通り、日本は急速充電器にCHAdeMO規格のプラグを使用しているが、欧米ではCCS規格。つまり、高速道路のSAなどで急速充電器を使用できないのである。では、3008 GT HYBRID4を充電するのはどうすればいいかというと、SAのCHAdeMO充電器の横にある普通充電用の電源ボックスの箱を開けてもらい、時間をかけて充電するしかない。

プジョー3008 GT ハイブリッド4
駆動用バッテリーへの充電は普通充電のみに対応。電池容量は13.2kWhで、200V/3kWの場合は約5時間、200V/6kWなら約2時間半で満充電となる。

ちなみに満充電した場合に、どれだけ走行できるのかを販売店に確認したところ、走行状況次第だがおおむね20km程度だろうという。つまり東名高速・東京ICを出発して、海老名SAで充電する必要があるのだ。さらに電気が完全に無くなってしまった場合は、前述の通り、エンジン駆動で走るしかない。ハイブリッドモードが使えるのは、あくまでも電池残量がある時だけなのだ。

プジョー3008 GT ハイブリッド4
車線内の任意の位置をキープして走行が可能なレーンポジショニングアシストなど、充実したADASも3008 GT ハイブリッド4の魅力だ。

では、3008 GT ハイブリッド4を買う目的を見つけるとすれば、それはSUVのスペースユーティリティと、モーターの爆発的な加速感、そしてエンジン車としても楽しめる「ハイブリッド」車ということになる。このモデルは、家族でエコノミーに遠出するなどという青写真を描くのは間違いで、ともかく気持ち良くかっ飛んでゴルフやレジャーに行く燃費無用のお一人様カーというキャラがふさわしいのかもしれない。

プジョー3008 GT ハイブリッド4・主要諸元

■ボディサイズ
全長×全幅×全高:4450×1840×1630mm
ホイールベース:2675mm
車両重量:1880kg
乗車定員:5名
最小回転半径:5.6m
燃料タンク容量:43L(無鉛プレミアム)
■エンジン
形式:水冷直列4気筒DOHCターボチャージャー
排気量:1598cc
ボア×ストローク:77.0×85.8mm
圧縮比:10.5
最高出力:147kW(200ps)/6000rpm
最大トルク:300Nm/3000rpm
燃料供給方式:電子制御式燃料噴射
■フロントモーター
定格出力:30.0kW
最高出力:81kW(110ps)/2500rpm
最大トルク:320Nm/500-2500rpm
■リヤモーター
定格出力:32.7kW
最高出力:83kW(112ps)/14000rpm
最大トルク:166Nm/0-4760rpm
■動力用主電池
種類:リチウムイオン電池
総電圧:347V
総電力量:13.2kWh
■シャシー系
サスペンション形式:Fマクファーソンストラット・Rマルチリンク
ブレーキ:Fベンチレーテッドディスク・Rディスク
タイヤサイズ:225/55R18
■燃費・性能
【ハイブリッド燃料消費率】
WLTCモード:15.3km/L
 市街地モード:11.5km/L
 郊外モード:16.7km/L
 高速道路モード:16.7km/L
EV走行換算距離(等価EVレンジ):64km
充電電力使用時走行距離(プラグインレンジ):64km
【交流電力量消費率】
WLTCモード:183Wh/km
 市街地モード:194Wh/km
 郊外モード:180Wh/km
 高速道路モード:184Wh/km
一充電消費電力量:11.80kWh/回
■価格
614万8000円

著者プロフィール

山崎友貴 近影

山崎友貴

SUV生活研究家、フリーエディター。スキー専門誌、四輪駆動車誌編集部を経て独立し、多ジャンルの雑誌・書…