トヨタが樹脂製高圧水素タンクを活用した貯蔵モジュールを開発。コンセプトモデルを「第18回 FC EXPO(水素・燃料電池展)」に出展

トヨタはこのほど、燃料電池自動車(FCEV)「MIRAI」で採用実績のある、自動車用70MPaの複数の樹脂製高圧水素タンクと水素センサーや自動遮断弁などの安全装置をインテグレートした水素貯蔵モジュールを開発したと発表。このモジュールのコンセプトモデルは、3月16日(水)~18日(金)に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催する「第18回 FC EXPO(水素・燃料電池展)」に出展される予定だ。

水素貯蔵モジュールはクルマ用に開発した70MPaの樹脂製高圧水素タンクを、鉄道・船舶・港湾等での荷役機器・定置式発電機など、幅広い分野に活用していくための取り組み

FCEVやFCシステムモジュールの販売など、トヨタがこれまで水素社会実現に向けた取り組みを進めるなかで、クルマ用に開発した70MPaの樹脂製高圧水素タンクを、鉄道・船舶・港湾等での荷役機器・定置式発電機などでも活用したいとの要望が多く挙がっている。しかし、同タンクを様々な分野で活用するには、分野や使用環境ごとに安全基準も異なり、幅広い用途では利用されていない状況にある。政府も、安全を担保しながら、迅速に水素利活用を進めるための様々な検討を進めており、トヨタも多くの仲間とともに積極的に協力していきたいと考えている。そのような要望・水素利活用拡大に向け、トヨタはこのたび水素貯蔵モジュールを開発した。

水素貯蔵モジュールコンセプトモデル

またトヨタは、「モータースポーツを通じたもっといいクルマづくり」を体現するアジャイルな開発現場であるスーパー耐久シリーズの場においても、昨年から水素を「つくる」「はこぶ」「つかう」の各フェーズについて仲間とともに実証を重ねてきており、今回のコンセプトモデルの開発にも繋がっている。今年も、3月19日(土)~20日(日)に開催される「スーパー耐久レース in 鈴鹿」を皮切りに、さらなる水素利活用の拡大に向けた仲間づくり・実証を進めていく。

このレースでは、自動車用樹脂製高圧水素タンクを大量(16本のパッケージを2セット)に使って45MPaで充填し、燃料電池(FC)トラックで大容量の水素を運ぶ実証を行う。

この実証は、容器に係る経産省の認定を受けて実施するもので、国交省が進めている水素利活用推進のための検討にも資する取り組み。今後もトヨタはレースなどの機会を活用し、国の検討とも歩調をあわせ、自動車用として認められている70MPaでの充填に向けた実証も進めていく方針だ。

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