SUVほど車高が高くなくセダンより乗り降りしやすい。走破性も○ C220dオールテレインはなかなか魅力的

メルセデス・ベンツCクラス オールテレイン「肥大化するSUVに対する反面教師」としてアリな存在

メルセデス・ベンツC220d 4MATIC All-Terrain 車両本体価格:796万円
2021年に日本に導入されたCクラスは、1982年に190としてデビューして以来6世代目にあたり、常にDセグメントの中心的存在として今年40年目を迎えた。この記念すべき年である2022年1月にラインアップに加わったのがクロスオーバーモデルのオールテレインだ。ジャーナリスト瀨在仁志が試乗した。

TEXT & PHOTO:瀨在仁志(SEZAI Hitoshi)

2.0ℓ直4ディーゼル+48Vマイルドハイブリッド+AWD

オールテレインの最低地上高は150mm(ステーションワゴンは110mm)トレッド:F1590mm/R1590mm

オールテレインはステーションワゴンをベースにタイヤの大径化とサスペンションストロークの増加によって最低地上高を40mmアップ。ホイールアーチカバーの追加や前後の専用アンダーガードを備えることによって、オフローダーらしい頑強さとともにアプローチアングルやデパーチャーアングルを確保。

前後駆動力配分がF45・R55とする4マチックシステムとの組み合わせによって、FRベースの優れたハンドリングと、強力な駆動力を両立させるとともに、「OFFROAD」と「OFFROAD+」の走行モードを備えることで悪路走破性を高めている。SUV譲りの走破力とステーションワゴンの実用性を併せ持つクロスオーバーモデルとして新ジャンルを開拓する。

上がオールテレイン 全長×全幅×全高:4760mm×1840mm×1495mm ホイールベース:2865mm 下がステーションワゴン 全長×全幅×全高:4755mm×1820mm×1455mm ホイールベース:2865mm

今回試乗したC220d・4マチックは先代の2.0ℓディーゼルエンジンのストロークを2mm伸ばすことで、排気量を1993ccまで拡大し、パワーで6ps、トルクで40Nm向上(先代はOM654型 ボア×ストロークが82.0mm×92.3mmで1949ccだった)。200ps、440Nmの出力が与えられた。これに全車電動化を実現した先行するモデル同様、20ps、208Nmのアシストを行なう48VのISG(インテグレーテッド・スーターター・ジェネレーター)を組み合わせている。ブースト機能を始め、回生ブレーキやコースティング機能などを効果的に行なうことで、ワゴン比でWLTCモードの燃費性能を1割ほど高めている。

エンジン形式:直列4気筒DOHCディーゼルターボ エンジン型式:OM654M 排気量:1992cc ボア×ストローク:82.0mm×94.3mm 圧縮比:15.5 最高出力:200ps(147kW)/3600rpm 最大トルク:440Nm/1800-2800rpm 過給機:ターボチャージャー 燃料供給:コモンレール式DI 使用燃料:軽油 燃料タンク容量:66ℓ

4気筒エンジンに初めて組み合わされたISG効果は走りの面でも目を惹いた。エンジン始動時の振動が少なく、本体がブルっと動く揺れが感じられない。発進時も滑るように走り出し、9速ATは低い回転域でステップを踏んでいるはずだが、加速感が段つくことなく速度を増していく。

そもそもエンジン本体自体が洗練されている。誤解を恐れずに言えば同時に乗ったガソリンユニットが直噴特有の高サイクルの吸気音や燃焼音があるのに対し、直噴の御本家ともいえるこのディーゼルユニットはその粗さをフラットにして耳に届きづらくさせている。高圧縮対応の剛性感の高いエンジン本体に加えて、ISGのモーターユニットが結果として音や振動を包み込んでしまっている感じ。

メルセデス・ベンツC220d 4MATIC All-Terrain車両価格:796万円/試乗車はレーザーエクスクルーシブパッケージ 46万9000円付 メタリックペイント(10万2000円) 合計853万1000円
ステーションワゴンのC220dは705万円 オールテレインはMBUX ARナビゲーション・HUDを標準装備(ステーションワゴンに15万4000円でオプション設定)

加速自体もモーターのアシストによって力強さと滑らかさを生み出しているし、そのパワーの密度感が高い。シフトアップの回転に目を凝らしてみれば4200rpmとガソリンエンジンのように高回転まで回ってはいないのに、パワーの落ち込みや加速感が物足りなくなることがないのが、その証。シフトアップ時の隙のなさと、エンジン本体のパワー密度と滑らかさ、それにモーターの三位一体によって、ディーゼルとは思えぬ気持ちよさを生み出してくれている。

ハンドリング性能的にはステアリングを切り込んでいったときにロール方向にややグラリときて重心高の高さを感じさせるものの、収まりがいい。すぐに姿勢が一定角にとどまり進路を定めてくれる。

最小回転半径:5.4m(ステーションワゴンは5.2m)オールテレインには後輪操舵システムはつかない。 ボディカラーはハイテックシルバー。

オールテレインにはリヤ操舵仕様がないことで、セダンやステーションワゴンのようにタイトに旋回していく感覚は少ない半面、Gをしっかりと感じながら走ることができ、動きがつかみやすい。ボディのしっかり感がリヤの重さに影響を受けず、なおかつ自然に荷重が外側へに移行していってくれるから落ち着いた走りが味わえる。

エンジン回転に関わることなく常に一定の力が加速方向に働いていることもあって高速からワインディングまで、くまなくカバーする幅の広い乗り味を見せてくれた。

本革シートを採用している。
内装色はブラック

ゆとりのあるロードクリアランスは急坂での脱出時や大きな段差などでフロアへの接触を意識させないばかりか、大径タイヤは縁石に接近した時の不安を抑えてくれるなど、オフでの走破性はもちろん日常使いでの緊張感緩和にとても効果的。

SUVほど車高が高くなく、セダンのように腰を落として座る必要もなく、乗り降りに気遣いは少なくて済む。扱いやすいハンドリング性能や安定感、日常使いでの気楽さなどを考えると、クロスオーバーモデルの魅力は多彩で、肥大化していくSUVに対する反面教師として再認識。走りに不満や不安が出ることなく、生活に寄り添ってくれる気楽さがとても魅力的である。

トランクスペースは490ℓ
後席は分割可倒式
フルに倒すとラゲッジは1510ℓになる。
タイヤは245/45R18サイズのグッドイヤー イーグルF1 ASYMMETRIC 3を装着 (ステーションワゴンは225/50R17)
メルセデス・ベンツC220d 4MATIC All-Terrain
 全長×全幅×全高:4760mm×1840mm×1495mm
 ホイールベース:2865mm
 車重:1870kg
 サスペンション:Fダブルウィッシュボーン式式 Rマルチリンク式
 エンジン形式:直列4気筒DOHCディーゼルターボ
 エンジン型式:OM654M
 排気量:1992cc
 ボア×ストローク:82.0mm×94.3mm
 圧縮比:15.5
 最高出力:200ps(147kW)/3600rpm
 最大トルク:440Nm/1800-2800rpm
 過給機:ターボチャージャー
 燃料供給:コモンレール式DI
 使用燃料:軽油
 燃料タンク容量:66ℓ
 電動機
 型式:EM0023 交流同期モーター
 定格出力:10kW
 最高出力:15kW
 最大トルク:208Nm
 
 トランスミッション:9速AT
 駆動方式:4WD
 WLTCモード燃費:17.9km/ℓ
  市街地モード 13.8km/ℓ
  郊外モード 17.9km/ℓ
  高速道路モード 20.5km/ℓ
 車両価格:796万円
 試乗車はレーザーエクスクルーシブパッケージ 46万9000円付 メタリックペイント(10万2000円)
 合計853万1000円

著者プロフィール

瀨在 仁志 近影

瀨在 仁志

子どものころからモータースポーツをこよなく愛し、学生時代にはカート、その後国内外のラリーやレースに…