【火曜カーデザイン特集】車内ハンモックがクルマの異なる可能性を高める

車中泊避難の問題点が一気に解消の可能性! 車中ハンモックを絶賛したい理由

まさに目からウロコの真実に出会ってしまった。製品自体は2021年より登場していたというが、カーメイトが開発したこの製品は、車中避難の問題点を大きくクリアするものなのだ!

車中泊の課題は足をしっかり伸ばせないことだった

ここで紹介したいのが、カーメイトから発売されているシャーミング『車眠具」という製品だ。これは車内のヘッドレストのアンカー部分を利用して、ハンモックを仕立てるというもの。仮眠などに利用するものとして製品化されているが、これ、実際にはかなりの利用価値があるものだと思える。それは、車中泊も当然なのだがそれ以上で災害時の避難に使えるのではないか、ということだ。

ハンモックをフロントシートヘッドレスト部と、リヤシートのISO FIX固定部で保持。足をまっすぐ伸ばすことができる。

地震などの災害が発生したときに、自宅から逃れて学校や公共施設に避難するということは少なくない。その時に問題となるのは宿泊の方法。体育館などでは簡易ベッドなどによって避難場所を仮設することになるが、車中泊のように自家用車での避難をする人も少なくない。

エコノミークラス症候群はクルマの中でも発症

ただしその時に大きな問題となるのが、エコノミークラス症候群の発症があり得るということだ。この症状は、長時間狭いシートに同姿勢で座らざるを得ない、旅客機のエコノミークラスを利用した人の発症例が多いことから名付けられたもの。ふくらはぎの血管でできた血栓が肺に入る血管で詰まってしまうもの。特徴的な症状としては、胸の痛み、息切れ、呼吸困難、咳や血痰なども引き起こす。最悪の場合は命にも関わる。

この原因となるのは、足のふくらはぎにあるヒラメ筋の動作不全によるものだ。このヒラメ筋は第二の心臓と呼ばれており、歩行動作によって足の血液をポンプのように心臓に送る働きを持っている。動きにくい着座姿勢のまま長時間を経過することによって、足からの血管に血栓が発生し、なんらかのきっかけでその血栓が切れて肺にまでに流れて堆積することで発症する。全てのケースで血栓が発生するわけではないが、足がむくむなどの症状は血管の流れがうまくいっていない証でもあるという。

この現象は飛行機のエコノミークラスばかりでなく、長時間の自動車の車中でも発生し、昨今の災害時に車中避難をする人が発症するケースも少なくないことから広く問題視されている。

対策としては、ミニバンであればシートをフルフラットにして足を伸ばして平らに寝ることなどなのだが、それより小さな空間の狭いクルマの中では、なかなかベストな状態を作ることは難しい。そんなことも一因となって、万全な対策を取れなければ車中避難は推奨できないものとなっている。

これらの観点から、車内で足を伸ばして寝るための対策グッズなどもいくつか開発されてきたが、載せておくのに場所をとったりとあまり誰もが必携できるものではなかったように思う。

ハンモックという手があったとは!

そんな問題に対してより現実的な解決策はないものなのか? と個人的に思っていたところに登場したのが、このハンモックだ。この用品自体は休憩やリラックスのために開発されたもののようで、車中避難のグッズということが狙いではないようだが、まさに待ち望んだ製品だ。不要な時は前席のヘッドレスト裏に巻きつけておけばコンパクトに収納できるし、簡単な操作で寝床が作れる。足はスッキリと伸ばすことができ、血流を気にしなくても済みそうだ。

現状の製品ではフロントヘッドレストからリヤシートまでの距離など利用できる車が限定されるようだが、フロントシートバックの前倒し&固定、そしてリヤシートバックのリクライニング機構を採用することで、多くの車でハンモックのような考え方のベッドが使えるようになるのではないだろうか。

これまで避難所といっても、万全の対策が取られているわけではなく、仮設でもベッドが仕立てられず布団を床敷きにした状態だと、周囲の人が歩く音だけでも眠れなかったりということももあったという。また、ペットを飼う人にとっては、避難所にペットを連れてくることは難しく、危険であっても自宅を離れないということもある。そうした人たちにとって、クルマの中は窮屈であっても落ち着ける空間でもあった。

そんな中、クルマにハンモックを吊るせるような仕組みが標準化できたのなら……車中避難も一時的対策であったとしても、有効な手段として注目できるようになるのかもしれない。

著者プロフィール

松永 大演 近影

松永 大演

他出版社の不採用票を手に、泣きながら三栄書房に駆け込む。重鎮だらけの「モーターファン」編集部で、ロ…