【ランドローバー・ディフェンダー】待望のディーゼル追加! 扱いやすさもパフォーマンスも燃費もガソリンを上回る

2020年の日本導入以来、購入希望者が長いウェイティングリストを作っているランドローバー・ディフェンダー。新たに追加されたディーゼルエンジンとショートボディはそれぞれに得がたい魅力があり、ディフェンダー人気はますます加速しそうだ。
TEXT & PHOTO◎世良耕太(SERA Kota)/PHOTO◎ジャガー・ランドローバー・ジャパン

ショートホイールベース仕様「90」は鮮烈なほど爽やかな軽快感

ディーゼルエンジンと「90」が追加され、盤石のラインアップとなったディフェンダー

「さらなる高みに挑戦する」意味を持つ「ABOVE & BEYOND」のブランドスローガンを掲げるランドローバーは、3つのプロダクトラインで構成されている。「ラグジュアリー」の位置づけなのがレンジローバー。ディスカバリーは「多用途性」を表現し、ディフェンダーは「頑強性(タフネス)」がウリだ。そのディフェンダーに2種類の新たなラインアップが加わった。

2020年7月の日本導入当初は、ロングホイールベース仕様の「110(ワンテン)」に2.0L直4ターボのガソリンエンジンを組み合わせたモデルのみの設定だった。2021年3月には、ショートホイールベース仕様の「90(ナインティ)」が追加された。エンジンはやはり、最高出力300ps(221kW)、最大トルク400Nmを発生するガソリンの2.0L直4ターボだ。

さらに5月には、ロングホイールベースの110に待望のディーゼルエンジン仕様が加わった。3.0ℓの直6で、ベルトインテグレーテッドスタータージェネレーターを備える48Vシステムを組み合わせており、最高出力はガソリン仕様と同じ300ps(221 kW)を発生。ディーゼルの常で最大トルクは強大で、650Nmを発生する。トランスミッションはガソリン、ディーゼルともにZF製の8速(8HP)の組み合わせだ。

ティーゼルエンジン搭載車の110を特設コースの悪路で、ショートホイールベースの90を一般道(箱根周辺)で乗った。

ディフェンダー90とディフェンダー110
左がロングホイールベース仕様の110、右がショートホイールベース仕様の90。先代ランドローバーがホイールベースをインチで表した数字を名称に用いていたが、新型もそれを継承。ただ、新型のホイールベースは実際はもっと長くなっている。

110のディーゼルは48Vマイルドハイブリッド付き。2420kgの巨体を軽々と動かす

ディフェンダー110は全長×全幅×全高=4945×1995×1970mm。巨躯だが視線が高くボディの見切りがいいため、見た目から想像するよりも扱いやすい。

ジャガー・ランドローバーはインジニウム(Ingenium)と名づけたモジュラー設計のエンジンをガソリン、ディーゼルともに用意している。それぞれ2.0ℓ直4から導入をはじめ、2気筒を追加した3.0L直6をラインアップに加えた。3.0L直6ディーゼルは、2020年にラインアップに加わったばかりだ。

3.0L直6ディーゼルターボ。最高出力は221kW(300ps)、最大トルクは650Nm/1500-2500rpm。48Vマイルドハイブリッドのおかげもあり、箱根の山道でも乗り手に痛痒を感じさせない力強さを披露した。

モジュラー設計なので当然だが、オールアルミの構造や83.0mm×92.4mmのボア×ストロークといった基本諸元は2.0L4気筒版と共通。周辺デバイスは異なっており、直噴インジェクターの最大噴射圧は4気筒版が1800barなのに対し、6気筒版は2500barだ。1サイクルあたり最大5回の噴射を行ない、0.000012秒間に0.8ミリグラムの燃料を正確に噴射することが可能だと、ランドローバーは説明している。

過給機は4気筒版が可変ジオメトリーターボ(VGT)を1基備えるのに対し、6気筒版はVGTの二丁掛けだ。すなわちシーケンシャルツインターボで、エンジン回転数の低い領域では少ない排気流量で作動するターボチャージャーを使い、排気流量の多い高回転域ではもうひとつのターボチャージャーにも排気を導いて過給するシステムである。1500-2500rpmの低い回転域で最大トルクを発生しているのは、VGT二丁掛けの効果が大きいだろう。「2000rpmでは最大トルクの90%を発生するのに1秒ちょっとしかかからない」とランドローバーは資料で説明しているが、レンスポンスに関しては、48Vマイルドハイブリッドシステムの恩恵も大きい。

ベルトインテグレーテッドスタータージェネレーターは最高出力18kW、最大トルク55Nmを発生。減速時は運動エネルギーを電気エネルギーに変換してバッテリーに蓄え、蓄えた電気エネルギーを利用して加速時にアシストする。だから、瞬発力が高く、2420kg(試乗車)の巨体を軽々と動かしているように感じる。

残念ながらオンロードで満足な距離を走ることはできなかったが、「いい感触」だけは充分に得ることができた。最も印象的だったのは「静か」だったことで、遮音が徹底しているのだろう。悪路では車高を上げ(エアサスペンションを装備。最大145mm上がる)、低速(Lo)モードで走ったが、アクセルペダルの操作に対する力の出方は唐突でもなく、物足りなさも感じず、ちょうどいい。だから安心して、楽に運転できた。

ディフェンダー110の走り
新型ディフェンダーの美点の一つが、車内の静かさ。遮音に関しては、先代とは隔世の感がある。

ディーゼルのWLTCモード燃費は9.9km/ℓで、ガソリン(8.3 km/ℓ)のほぼ2割増しだ。扱いやすさも含め、パフォーマンスも燃費もガソリンよりディーゼルのほうが上、の印象だ。

レンジローバー…と言われても信じてしまいそうなディフェンダーのインパネ。
4種類のインテリアカラーと5種類のシート素材が選択可能。試乗車はエボニーのインテリアで、シート素材は、耐摩耗性に優れたウィンザーレザーとクヴァドラ社製スチールカットプレミアムウールテキスタイルの組み合わせ。
後席も十分なスペースが確保されている。オプションで3列目シートを追加することも可能。

それにしても、ディフェンダーの悪路走破性の高さには目を見張るものがある。従来のラダーフレーム構造に対して3倍のねじり剛性を実現したアルミモノコックの剛性の高さが安心感に寄与しているのだろう。ミシッとも言わないし、ガタッともしない。路面のうねりに合わせて車体は揺れるけれども、進みたい方向に進んでくれるので、安心して運転を続けることができる。

カメラで捉えた映像を前輪のグラフィックと合成し、ボンネットを透過して地面を見るような視界を提供するクリアサイトグラウンドビューなど、最新のテクノロジーもディフェンダーの魅力で、悪路走行での安心感につながる。

ディフェンダー110のオフロード走行
「オンロード」「草/砂利/雪」「泥/轍」「砂地」「岩場」「渡河走行」のモードを用意するテレインレスポンス2を装備。エンジンやデフなどの設定を最適制御してくれる。
ボンネットをシースルーしたかのような映像を映し出してくれるクリアサイトグラウンドビュー。

「ランドローバー・ディフェンダー 110 モデル X」主要諸元

■ボディサイズ
全長×全幅×全高:4945×1995×1970mm
ホイールベース:3020mm
車両重量:2420kg
乗車定員:5名
最小回転半径:6.1m
燃料タンク容量:90L(軽油)
■エンジン
型式:DP306
形式:水冷直列6気筒DOHC16ターボ
排気量:2993cc
ボア×ストローク:83.0mm×92.2mm
最高出力:221kW(300ps)/4000rpm
最大トルク:650Nm/1500-2500rpm
燃料供給方式:コモンレール式DI(筒内燃料直接噴射)
■モーター
電圧:48V
定格出力:4kW
最高出力:18kW/10000rpm
最大トルク:55Nm/1500rpm
■駆動系
トランスミッション:8速AT
駆動方式:4WD
■シャシー系
サスペンション形式:Fダブルウィッシュボーン式Rインテグラルマルチリンク式
タイヤサイズ:255/60R20
■燃費
WLTCモード 8.3km/ℓ
 市街地モード 6.6km/ℓ
 郊外モード 8.3km/ℓ
 高速道路モード 9.3km/ℓ
■車両本体価格
1124万円

435mmも短い「90」は機動性の高さが武器

110から乗り換えると、90はずいぶん小ぶりに見える。それは、間違いであって、同時に間違いではない。110の全長×全幅×全高は4945×1995×1970mmなのに対し、90のスリーサイズは4510×1995×1970mmだ。90は435mmも短い。それでも全幅と全高は2m級で、角度によっては威圧感を感じる。

ディフェンダー90は全長×全幅×全高=4510×1995×1970mm。幅と高さは変化ないが、全長が110よりも435mmも短いため、乗り換えるとまるで厚手のコートを脱いだかのような軽やかさが感じられる。

全長の違いはホイールベースの違いで、110の3020mmに対し、90は2585mmとなる。最小回転半径は110の6.1mに対し、90は5.3mだ。取り回しの良さもさることながら、印象的だったのは身のこなしの軽さだ。車両重量は110の2420kg(ディーゼル、ガソリン共通)に対し、90は2100kgだ。320kgの重量の違いと、435mmのホイールベースの違いはことのほか大きい。鮮烈なほど爽やかな軽快感(それでも2トンオーバーだが)は、90の大きな魅力だ。

グッドルッキングな90のサイドビュー。

ディフェンダーのデザイナーは、110ではなく90のほうを「ディフェンダーの象徴」と捉えてデザインしたという。確かに、初代のDNAを色濃く伝えているのは90のほうだ。高いタフネスを備えているのは110と90で共通しているが、よりユーティリティが高いのが110、機動性の高さを特徴とするのが90である。

フロントサスペンションはダブルウィッシュボーン式。
リヤサスペンションはインテグラルマルチリンク式。

エアサスペンションの機能を利用することで、乗車時は40mm車高を下げることができる。それでも、「はて、これは一体どうやって乗り込もう」と考え込んでしまうくらい、フロアの位置は高い。しかも、90は3ドアだ。後席に乗り込むには、前席を前に倒しつつスライドさせ、V字に開いた隙間から体をもぐり込ませなければならない(前席の肩口に操作レバーとスイッチが付いている)。

前席の肩口のレバーを引くと、前席の背もたれが前倒しされる。その下のボタンで電動操作することも可能。

しかし、乗り込んでしまえば快適だ。前席に身長184cmの筆者が座ったシート位置で後席に移った場合、膝頭とシートバックの間にはかなり空間が残る。頭上も余裕。後席のエアコン(3ゾーンクライメートコントロール)はオプション(6万8000円)だ。試乗車は標準のオフロードタイヤではなくマッド&スノー規格のタイヤ(コンチネンタル・クロスコンタクト)を履いていたが、さらなる静粛性の向上にひと役買っていた印象だ。

一度乗り込んでしまえば、後席の居心地は上々だ。
膝周りの空間も十分。
試乗車の90ファーストエディションは22インチのアルミホイールとコンチネンタル・クロスコンタクトを装着。ベーシックなグレードは18インチのスチールホイールとオールテレーンタイヤが標準となる。

ランドローバー・ディフェンダーはいまから注文しても納車は年明けになるほど、相変わらずの人気ぶり。ディーゼルの追加にショートホイールベース仕様の追加で、ますます人気に拍車がかかるに違いない。しかし、待つ価値はある。
〔TEXT & PHOTO◎世良耕太(SERA Kota)

「ランドローバー・ディフェンダー 90 ファーストエディション」主要諸元

■ボディサイズ
全長×全幅×全高:4510mm×1995mm×1970mm
ホイールベース:2585mm
車両重量:2100kg
乗車定員:5名
最小回転半径:6.1m
燃料タンク容量:90L(無鉛プレミアム)
■エンジン
型式:PT204
形式:水冷直列4気筒DOHCターボ
排気量:1995cc
ボア×ストローク:83.0mm×92.2mm
最高出力:221kW(300ps)/5500rpm
最大トルク:400Nm/2000rpm
燃料供給方式:DI(筒内燃料直接噴射)
■駆動系
トランスミッション:8速AT
駆動方式:4WD
■シャシー系
サスペンション形式:Fダブルウィッシュボーン式Rインテグラルマルチリンク式
タイヤサイズ:275/45R22
■燃費
WLTCモード 8.3km/ℓ
 市街地モード 6.6km/ℓ
 郊外モード 8.3km/ℓ
 高速道路モード 9.3km/ℓ
■車両本体価格
745万円

著者プロフィール

世良耕太 近影

世良耕太

1967年東京生まれ。早稲田大学卒業後、出版社に勤務。編集者・ライターとして自動車、技術、F1をはじめと…