究極の最新オフロード車を見事に再現

トミカ × リアルカー オールカタログ / No.35 メルセデスベンツ Gクラス

発売から50年以上、半世紀を超えて支持される国産ダイキャストミニカーのスタンダードである『トミカ』と、自動車メディアとして戦前からの長い歴史を持つ『モーターファン』とのコラボレーションでお届けするトミカと実車の連載オールカタログ。あの『トミカ』の実車はどんなクルマ?
No.35 メルセデスベンツ Gクラス (サスペンション可動/左右ドア開閉・希望小売価格495円・税込)
No.35 メルセデスベンツ Gクラスのリヤビュー。

メルセデスベンツGクラスは、ドイツのダイムラー社がメルセデスベンツのブランドから発売している高級クロスカントリー車です。もともとは当時のイラン国王だったモハンマド・レザー・パフラヴィー氏――日本の報道などでは“パーレビ国王”として知られる――の提案によって開発されたと言われ、現在もドイツをはじめとするNATO諸国のみならず世界各国で制式採用されている軍用車両がベースです。軍用車両としては1981年にアルゼンチン軍が初採用しましたが、翌年、アルゼンチンとイギリスとの間に起こったフォークランド紛争で多数の本車がイギリス軍に接収されてイギリスに渡り、その後、長いあいだイギリス空軍で使用されたと言われています。

メルセデスベンツ Gクラス(W463型第2世代) 実車フロントビュー。
メルセデスベンツ Gクラス(W463型第2世代) 実車リヤビュー。

この軍用車両は本国のドイツ軍では「ウルフ(狼)」という愛称で呼ばれており、ウルフとGクラスとは、後に登場するアメリカ軍のHMMWV(ハンヴィー)とGMのハマーH1、あるいは自衛隊の高機動車とトヨタのメガクルーザーのような関係にあります。ちなみに日本ではよく「ゲレンデヴァーゲン」と呼ばれていますが、これは「全地形対応車」あるいは「クロスカントリー車」という意味のドイツ語で、ドイツ軍における車種区分の名称であり一般名詞になります。従ってフォルクスワーゲンのイルティスなど、実は本車以外にも「ゲレンデヴァーゲン」と呼ばれる車両が多く存在しています。

箱型のスタイリングとセパレートフレーム構造がGクラスの特徴。

本車はメルセデスベンツのブランドで販売されていますが、オーストリアのシュタイア・プフ(現マグナ・シュタイア)社との共同開発で生まれた車両で1979年に登場しました。箱型のスタイリングと、堅牢なフレームを作って別に製作したボディを載せるというセパレートフレーム(ボディ・オン・フレーム)構造が特徴です。また、それぞれフルロックが可能なデフロック機構を持つセンターとフロント&リヤの3つのディファレンシャル(差動装置)を備えている、現在では珍しくなったメカニズムを持つ車両の1台でもあります。この基本的な特徴は現在の最新モデルでも変わらず固持されており、メルセデスベンツ総体では多目的作業用自動車ウニモグに譲るものの、ダイムラー社の中でも長寿かつ大販売台数の車両として知られています。

シンプルで無駄のないインテリア。

現在の最新のGクラスは2018年に登場したW463型第2世代モデルになります。初代モデルは1979年に登場したW460型、2代目が1990年に登場したW463型になりますが、現行モデルはほぼフルモデルチェンジした内容にもかかわらず、2代目と同じW463型の型式名をそのまま引き継いでいます。ですから2018年に登場した現行の最新モデルも2代目ということになるようですが、便宜的にW463型第1世代と第2世代とに分け、W463型第2世代モデルを3代目と数えるのが一般的なようです。

この便宜的に3代目と呼ぶモデルは、フルタイム4WDシステムの搭載やオーバーフェンダーなどの装着といった2代目モデルの特長を受け継ぎつつ、フロントデザインの変更とヘッドライト/リヤコンビネーションランプのLED化、全長と全幅の拡大による室内の拡張が行なわれているほか、高張力あるいは超高張力鋼やアルミニウム合金の採用などによるボディ軽量化、ATの9速多段化、可変レシオのラック&ピニオン式EPS(電動パワーステアリング)へのステアリング機構の変更、先進的な安全運転支援システムの搭載など多くの改良が施されています。

もともと軍用車なので、走破性能や耐久性は群を抜いている。

日本ではM176型4.0ℓ・V型8気筒エンジンを搭載するガソリンエンジン車のG550とOM656型3.0ℓ・直列6気筒エンジンを搭載するディーゼルエンジン車のG350dおよびG400dが用意されているほか、M177型4.0ℓ・V型8気筒ガソリンエンジンを搭載する特別仕様のAMG G63も用意されています。タフな軍用車出身のため、走破性能や耐久性は折り紙付きで、なおかつ最新のメカニズムを備えたGクラスは“究極の最新オフロード車”の名にふさわしい1台なのです。

ドイツ軍で使用されている軽装甲車『エノク(狸)』は、Gクラスのベース車である『ウルフ(狼)』の派生車だ。野戦救急車など様々なバリエーションがあり、活躍している。
No.35 メルセデスベンツ Gクラスはフロント左右ドアの開閉が可能です。

『トミカ』の『No.35 メルセデスベンツ Gクラス』は、この最新のW463型第2世代モデルを再現しているようです。かなり大きく感じられる1台で、特徴的な箱型のデザインが上手く再現されており、『トミカ』の中でも出色の出来ではないでしょうか。さらにフロント左右のドアが開閉できるなど充実感のあるものとなっています。

■メルセデスベンツ Gクラス G550主要諸元

全長×全幅×全高(mm):4575×1860×1970

ホイールベース(mm):2850

トレッド(前後・mm) :1525

車両重量(kg):2560

エンジン形式:M176型 V型8気筒DOHC ツインターボ

排気量(cc):3982

最高出力:310kW(421ps)/5250-5500rpm

最大トルク:610Nm(62.2kgm)/2000-4750rpm

トランスミッション:電子制御式7速AT

サスペンション:(前)ダブルウィッシュボーン (後)リジッド

ブレーキ:(前/後)ベンチレーテッド・ディスク

タイヤ:(前後): 275/55R19

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